科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 公共
科目番号 0012 科目区分 一般 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 機械知能システム工学科 対象学年 1
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 矢野智司『公共』(数研出版)。講義プリントを配布する。その他、参考文献については、授業で適宜紹介する。
担当教員 遠山 隆淑,時松 雅史

到達目標

前期(遠山)は、日本の政治を中心とした政治学の分野、後期(時松)は、経済学の分野を扱う。
(1)政治の分野では、日本の政治体制である現代のデモクラシーを支えるしくみを次にあげる諸点から、原理的に理解することを目的とする。①現代デモクラシーを支える政治思想(三権分立や立憲主義、基本的人権など)、②現代デモクラシーを支える我が国の諸制度と戦後日本の政治史(選挙制度、政党、内閣、国会など)。今年度は、上記①、②の内容をふまえて、参院選をテーマにNIE(「教育に新聞を」)活動を行う。
(2)経済学の分野では、現代経済の仕組みを理解するとともに、政府が行う経済政策について市民の視点から考えることを目的とする。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
公共の基礎的な語句(新聞の内容程度)について知識を得て試験で正確に答えることができる。政治経済の基礎的な語句(新聞の内容程度)について知識を得て試験で正確に説明できる。政治経済の基礎的な語句(新聞の内容程度)について知識を得て試験で答えることができる。政治経済の基礎的な語句(新聞の内容程度)について語彙を覚えていない。
現代デモクラシーの基本的な考え方およびそれを支える基本的な制度について理解できる。現代デモクラシーの基本的な考え方およびそれを支える基本的な制度について正確に説明できる。現代デモクラシーの基本的な考え方およびそれを支える基本的な制度について知識を得て試験で答えることができる。現代デモクラシーの基本的な考え方およびそれを支える基本的な制度に関する語彙を覚えていない。
新聞を中心に主体的にメディアを活用して現代社会を理解できる。新聞を中心に主体的にメディアを活用して現代社会を理解できる。新聞を中心に主体的にメディアを活用できる。新聞を中心に主体的にメディアを活用できない。
現代経済の基本的な仕組みについて理解できる。現代経済の基本的な仕組みについて正確に説明できる。現代経済の基本的な仕組みについて知識を得て試験で答えることができる。現代経済の基本的な仕組みについて基本的な用語を覚えていない。
政府が行う金融財政政策について理解できる。政府が行う金融財政政策について正確に説明することができる。政府が行う金融財政政策について知識を得て試験で答えることができる。政府が行う金融財政政策について基本的用語を覚えていない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
【前期】現代の我が国を取り巻く政治状況について、「現代日本の政治」のしくみの理解に重点を置きながら、特にデモクラシーが成立するための諸条件の理解をめざす。
新聞やインターネットの情報を活用しながら、現代の政治問題を取り上げて、選択したテーマについて自分の考えをまとめ発表する。
【後期】現代経済の仕組みと政府の金融財政政策の理解を目指す。政府が行う政策について、貨幣とモノの流れをみながらその効果について考える。
授業の進め方・方法:
【前期】配付プリントを中心に、教科書を補足的に使用しながら「講義」を進める。また、講義内容のより十全な理解のために、映画などの視聴覚資料を用いることもある。また、NIE(Newspaper in Education)を採り入れて、各自で政治問題について情報を収集・分析して報告会で発表を行う。
【後期】教科書を中心に講義を進める。必要に応じて資料を配布する。学生に課題を与えて、数分議論してもらい、発表させる。
注意点:
・中学校での「公民」の知識を「前提に」講義を進めるので復習しておくこと。
・配付のプリントに沿って講義を進めます。しかし、テストに出るのは、プリントに書かれているものだけではなく、口頭で伝えるもののありますので、講義のポイントや論理的な展開を押さえながら、きちんとメモをとること。
・試験対応という点では、知識に習得を問うものが8割程度を占めるため、講義で紹介された「言葉を覚える」ことが主要な作業になる。そのため、学習時間をしっかりと確保できている者ほど、高得点を獲得できる。試験直前に知識を無理矢理詰め込むことのないよように、早めに学習習慣を身に着けること。
・講義内容をノートにとること。「経済学」の分野では、講義ノートも評価の対象とする。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 イントロダクション
視聴覚教材①-1
本講義の進め方、ねらい、プリントの使い方について理解する。本講義の基本的な視座になる視聴覚教材(映画)を鑑賞する。
2週 視聴覚教材①-2 引き続き視聴覚教材を鑑賞し、感想について議論する。それをふまえて教材の解説を行う。
3週 大衆社会①―大衆社会の諸相 現代社会の特質を大衆社会という観点から理解する。
4週 大衆社会②―大衆社会の問題点 現代社会の特質を大衆社会という観点から理解する。
5週 デモクラシーの基本原理①―主権国家の形成 主権国家の特質とその歴史について理解する。
6週 デモクラシーの基本原理②―デモクラシーの歴史 デモクラシーが成立する過程を理解する。
7週 デモクラシーの基本原理③―その制度(立憲主義、権力の分立) 立憲主義、憲法の役割について理解する。
8週 選挙と議会①―衆議院と選挙制度 衆議院の選挙制度を学んで、選挙制度から衆議院の役割を理解する。
2ndQ
9週 選挙と議会②―参議院と選挙制度 参議院の選挙制度を学んで、選挙制度から参議院の役割を理解する。
10週 選挙と議会③―選挙と国民 公職選挙法などを学んで、選挙に対する国民の関わり方を理解する。
11週 政党①―政党の役割と性格 政党の役割や保守、革新などの特色を理解する。
12週 政党②―政党システムと各国の政党政治 政党システムを学び、各国におけるその影響について理解する。
13週 戦後日本の政党政治史①―五五年体制の形成 自民党を中心とした戦後の政党政治の歴史を学んで、現在の日本の政治が抱えている問題を理解する。
14週 戦後日本の政党政治史②―「改革」の時代
自民党を中心とした戦後の政党政治の歴史を学んで、現在の日本の政治が抱えている問題を理解する。
15週 戦後日本の政党政治史③―21世紀の政党政治 自民党を中心とした戦後の政党政治の歴史を学んで、現在の日本の政治が抱えている問題を理解する。
16週 前期期末試験 これまでの授業の理解を問う。
後期
3rdQ
1週 イントロダクション
経済とは何か・経済活動の3つの主体
本講義の進め方、ねらいを理解し、経済という基本的な定義を説明できる。
2週 市場の働きと限界 市場での価格決定とその限界について説明できる。
3週 寡占市場 寡占市場の弊害と独禁法の考え方について説明できる。
4週 現代の企業 株式会社と株式市場について基本的な用語で説明できる。
5週 経済循環 景気変動の種類とその要因について説明できる。
6週 GDPと成長率 GDPの構成要素を説明できる。また各国GDPの大きさと成長率について説明できる。
7週 金融市場と金融機関 銀行の種類と機能について説明できる。
8週 中央銀行の働きと金融政策 日本銀行の働きについて説明できる。また金融政策の方法について説明できる。
4thQ
9週 財政の機能と財政政策 財政政策の方法とその効果について説明できる。
10週 国債発行と財政について 国債の発行と償還について説明できる。また日本の財政事情も説明できる。
11週 貿易について 自由貿易と保護貿易の理論について説明できる。
12週 為替について 為替が貿易に与える影響について説明できる。
13週 戦後の国際経済体制について ブレトンウッズ体制の基本的枠組みについて説明できる。
14週 GATTとWTO、地域経済協定 自由貿易体制に向けての仕組みづくりや現代の地域経済協定について説明できる。
15週 日本の農業問題 自由貿易進展と日本の農業問題を絡めて説明できる。
16週 後期定期試験 これまでの講義内容の理解を問う。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力人文・社会科学社会地理歴史的分野民族、宗教、生活文化の多様性を理解し、異なる文化・社会が共存することの重要性について考察できる。3前1
第二次世界大戦後の冷戦の展開からその終結に至る日本を含む世界の動向の概要を説明し、そこで生じた諸問題を歴史的に考察できる。3
公民的分野人間の生涯における青年期の意義と自己形成の課題を理解し、これまでの哲学者や先人の考え方を手掛かりにして、自己の生き方および他者と共に生きていくことの重要性について考察できる。2
自己が主体的に参画していく社会について、基本的人権や民主主義などの基本原理を理解し、基礎的な政治・法・経済のしくみを説明できる。4
現代社会の考察現代社会の特質や課題に関する適切な主題を設定させ、資料を活用して探究し、その成果を論述したり討論したりするなどの活動を通して、世界の人々が協調し共存できる持続可能な社会の実現について人文・社会科学の観点から展望できる。4
分野横断的能力汎用的技能汎用的技能汎用的技能他者の意見を聞き合意形成することができる。3
書籍、インターネット、アンケート等により必要な情報を適切に収集することができる。2
あるべき姿と現状との差異(課題)を認識するための情報収集ができる2
課題の解決は直感や常識にとらわれず、論理的な手順で考えなければならないことを知っている。3
どのような過程で結論を導いたか思考の過程を他者に説明できる。2
事実をもとに論理や考察を展開できる。2
態度・志向性(人間力)態度・志向性態度・志向性周囲の状況と自身の立場に照らし、必要な行動をとることができる。2
自らの考えで責任を持ってものごとに取り組むことができる。2
社会の一員として、自らの行動、発言、役割を認識して行動できる。3
リーダーがとるべき行動や役割をあげることができる。1
法令やルールを遵守した行動をとれる。3
他者のおかれている状況に配慮した行動がとれる。2
技術が社会や自然に及ぼす影響や効果を認識し、技術者が社会に負っている責任を挙げることができる。2
高専で学んだ専門分野・一般科目の知識が、企業や大学等でどのように活用・応用されるかを説明できる。3
企業人としての責任ある仕事を進めるための基本的な行動を上げることができる。1
企業には社会的責任があることを認識している。3
企業が国内外で他社(他者)とどのような関係性の中で活動しているか説明できる。3
技術者として、幅広い人間性と問題解決力、社会貢献などが必要とされることを認識している。2
高専で学んだ専門分野・一般科目の知識が、企業等でどのように活用・応用されているかを認識できる。1
企業人として活躍するために自身に必要な能力を考えることができる。1
コミュニケーション能力や主体性等の「社会人として備えるべき能力」の必要性を認識している。3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合75250000100
基礎的能力5020000070
専門的能力255000030
分野横断的能力0000000