機械力学II

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 機械力学II
科目番号 0093 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 機械知能システム工学科 対象学年 4
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 「機構学」 岩本太郎著 森北出版,「機械力学」 小寺・矢野共著 森北出版
担当教員 柿ヶ原 拓哉

到達目標

1.多自由度非減衰振動系において,連成振動,自由振動,強制振動(調和)が理解できる.
2.ラグランジュ方程式による運動方程式の導出,変位等の一般解を求めることができる.
3.1自由度および多自由度線形系における,強制振動(周期,任意)が理解できる.
4.弦の振動を理解できる.
5.巻き掛け伝動機構,歯車,平面カム,他機構の解析方法を理解できる.
6.様々な機構について,その役割と実際にどのような場面で用いられるのか理解できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安(可)
1.多自由度非減衰振動系において,連成振動,自由振動,強制振動(調和)が理解できる.多自由度非減衰振動系の連成振動,自由振動,強制振動(調和)の問題を解くことができる.2自由度非減衰振動系の連成振動,自由振動,強制振動(調和)の問題を解くことができる.2自由度非減衰振動系の連成振動,自由振動,強制振動(調和)の問題を解くことができない.
2.ラグランジュ方程式による運動方程式の導出,変位等の一般解を求めることができる.ラグランジュ方程式による運動方程式の導出,変位等の一般解を十分に理解して求めることができる.ラグランジュ方程式による運動方程式の導出,変位等の一般解を概ね理解して求めることができる.ラグランジュ方程式による運動方程式の導出,変位等の一般解の理解が不足している.
3.1自由度および多自由度線形系における,強制振動(周期,任意)が理解できる.フーリエ級数展開やインパルス応答法,ラプラス変換などを使用し,調和振動以外の外力による強制振動を解くことができる.フーリエ級数展開やインパルス応答法,ラプラス変換などを用い,任意の数式を振動の式に変換することができる.任意の数式を振動の式に変換することができない.
4.弦の振動を理解できる.弦の振動について,時間と座標の2つの変位を持つことを理解し,説明できる.波動方程式を解くことができる.波動方程式を解くことができない.
5.巻き掛け伝動機構,歯車,平面カム,他機構の解析方法を理解できる.巻き掛け伝動機構,歯車,平面カム,他機構の種類と各部品の役割,動作が理解でき,任意の問題を解くことができる.巻き掛け伝動機構,歯車,平面カム,他機構の種類と各部品の役割,動作が理解でき,簡単な問題を解くことができる.巻き掛け伝動機構,歯車,平面カム,他機構の種類と各部品の役割,動作が理解できるものの,問題を解くことはできない.
6.様々な機構について,その役割と実際にどのような場面で用いられるのか理解できる.色々な機構がどのような機械に使われているのか,または様々な機械にどんな機構が使われているのかを自ら調べ,その働きを理解し,何故その機構が用いられているのかを説明できる.色々な機構がどのような機械に使われているのか,または様々な機械にどんな機構が使われているのかを自ら調べることができる.色々な機械に用いられている機構を調べることができなかった.

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 3-3 説明 閉じる

教育方法等

概要:
これまで学んだ数学,物理を基に,機械系技術者に不可欠な機械力学の知識を身につける.まず,基本的な機械の力学,振動学等の基礎的事項を学ぶ.さらに,数多くの演習問題に取組み,それらを機械運動の解析に利用する実際的な方法について学ぶ.
授業の進め方・方法:
教科書を中心に行い,適宜,演習を行う.評価は達成目標(項目1~5)についての達成度によって判断する.
特に達成目標5は学修単位を満たすための自学自習の評価に関わる項目であり,各自でレポートを作成してもらい,そこから評価する.

〇自学について
(事前学習)
授業計画の授業内容および到達目標を確認の上,教科書の該当箇所に目を通しておくこと。
(事後学習)
授業中の説明や配布資料を参考に,指定した教科書の演習問題や,
配布した課題プリントに取り組むことで,学んだことの理解を深め,
学んだ内容の実践力を養うこと。

またレポート課題は学修単位を満たす自学自習を行っているのかの確認も含んでいる.
そのため,提出締切の直前に急いで取り組むのではなく,余裕をもって挑み,
分からないところがあれば,学友や教員に質問を行い,着実に理解を深めること.
注意点:
教科書をよく読み,例題,演習問題を自分で解くこと.授業の日に1時間程度の復習が効果的である.定期試験毎の定着を目指した自学自習を望む.講義後は、①要点をノートに整理してまとめ、②教科書や図書館の参考書を読み、③演習問題等を解いて内容の深い理解に努めること。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ガイダンス
「プロペラ工場間台車物流キズ対策」の再説明
2週 多自由度不減衰振動系の連成振動 多自由度不減衰振動系の一般解を求め,モードについて理解する.
3週 多自由度不減衰振動系の自由振動と強制振動 多自由度不減衰振動系の自由振動と強制振動を求められるようになる.
4週 ラグランジュ方程式
「プロペラ工場間台車物流キズ対策」の続き
力学的エネルギの式から運動方程式を求められるようになる.
また多自由度振動系の学習を踏まえ,「キズ対策」のアイデアのモデル化を行う.
5週 周期外力,一般外力による振動
「プロペラ工場間台車物流キズ対策」の続き
フーリエ変換等を用いた数式の変換方法を学ぶ.
また「キズ対策」のモデルへ外力が加わった場合を計算する.
6週 弦の振動
「プロペラ工場間台車物流キズ対策」の続き
連続体の振動として,弦の振動を学ぶ.
また「キズ対策」の設計をSolidWorksを用いて行う.
7週 「プロペラ工場間台車物流キズ対策」の続き 「キズ対策」についてまとめる.
8週 後期中間試験 後期中間試験
4thQ
9週 試験返却と解説、まとめ
巻きか掛け伝動機構(可撓性ベルト)
試験返却と解説、まとめ
可撓性ベルトについて巻き掛け角や必要なベルトの長さ,V字ベルトの摩擦を求めることができる.
10週 巻きか掛け伝動機構(組立式ベルト) 組立式ベルトについて必要なコマの数を求められるようになる.またベルトの仕事を求められるようになる.
11週 歯車機構 歯車機構の変速,回転数について理解し,遊星歯車機構の速比等を求められるようになる.
12週 歯車機構の仕組み 歯車の力や速度の伝達について学び,かみ合い率や転位などの歯車の仕組みや構造を理解できる
13週 摩擦伝動機構 摩擦伝動機構の条件や速比等を求められるようになる.
14週 カム機構,その他機構 カムの仕組みを学び,カム線図を描けるようになる.
またねじ機構,間欠運動機構について,その仕組みを学ぶ.
15週 後期定期試験 学年末試験
16週 試験返却と解説、まとめ 試験返却と解説、まとめ

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野力学力は、大きさ、向き、作用する点によって表されることを理解し、適用できる。4後9,後10,後11,後12,後13,後14
一点に作用する力の合成と分解を図で表現でき、合力と分力を計算できる。4後9,後10,後12,後13,後14
一点に作用する力のつりあい条件を説明できる。4後9,後10,後12,後13,後14
重心の意味を理解し、平板および立体の重心位置を計算できる。4後9,後10
速度の意味を理解し、等速直線運動における時間と変位の関係を説明できる。4後11,後12,後13,後14
加速度の意味を理解し、等加速度運動における時間と速度・変位の関係を説明できる。4後11,後12,後13,後14
運動の第一法則(慣性の法則)を説明できる。4後2,後3,後4,後5,後6
運動の第二法則を説明でき、力、質量および加速度の関係を運動方程式で表すことができる。4後2,後3,後4,後5,後6
運動の第三法則(作用反作用の法則)を説明できる。4後9,後10
仕事の意味を理解し、計算できる。4後4,後10,後12,後13
てこ、滑車、斜面などを用いる場合の仕事を説明できる。4後12,後13
エネルギーの意味と種類、エネルギー保存の法則を説明できる。4後4
位置エネルギーと運動エネルギーを計算できる。4後4,後14
動力の意味を理解し、計算できる。4後9,後10,後13,後14
すべり摩擦の意味を理解し、摩擦力と摩擦係数の関係を説明できる。4後9,後12,後13,後14
運動量および運動量保存の法則を説明できる。4後4,後9,後10,後13
剛体の回転運動を運動方程式で表すことができる。4後9,後10,後12,後13,後14
平板および立体の慣性モーメントを計算できる。4後2,後3,後4,後9,後10,後14
振動の種類および調和振動を説明できる。4後2,後3,後4,後5,後6
不減衰系の自由振動を運動方程式で表し、系の運動を説明できる。4後2,後3,後6
減衰系の自由振動を運動方程式で表し、系の運動を説明できる。4後4
調和外力による減衰系の強制振動を運動方程式で表し、系の運動を説明できる。4後3,後5
調和変位による減衰系の強制振動を運動方程式で表し、系の運動を説明できる。4後3,後5

評価割合

試験課題合計
総合評価割合7030100
基礎的能力40040
専門的能力303060
分野横断的能力000