制御工学

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 制御工学
科目番号 0094 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 機械知能システム工学科 対象学年 5
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 「演習で学ぶ基礎制御工学 (新装版)」森 泰親,森北出版
担当教員 小田 明範

到達目標

1.ラプラス変換の働きを理解し,これを使った基本的な数式計算が行える.
2.s領域で,線形システムの入力X,伝達要素G,出力Yの関係がY=G・Xとなることを知っており,入力と出力から系の伝達関数が求められる.
3.ブロック線図の形でシステムを示し簡単化によって,ひとつの伝達要素にまとめられる.
4.インパルス入力,ステップ入力といった基本的な入力パターンに対する系の応答が示せる.
5.周波数応答の意味を理解しており,ボード線図などを描いて,その特性が説明できる.
6.系の安定性について,基本的な手法を理解しており,考え方が説明できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1ラプラス変換を用いて制御対象を伝達関数で表現でき時間応答を計算できるラプラス変換や基本的な時間応答が計算できるラプラス変換ができない
評価項目2対象のボード線図を描いて周波数特性を説明できる対象のボード線図が描ける対象のボード線図が描けない
評価項目3系の安定性について説明し適切な方法を用いて安定判別ができる系の安定判別ができる系の安定判別ができない

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 3-3 説明 閉じる

教育方法等

概要:
  ワットの蒸気機関以来,機械が自動的に動き続けるには自律的な制御機構が不可欠である.ここでは主として古典制御理論の伝達関数の手法を使って,その基本的な考え方・捉え方を学ぶ.制御工学は,現代のモノ作りに欠かせない複合的工学技術であり,機械設計やロボット工学等の基礎となる科目である.
授業の進め方・方法:
 本講義は,「古典制御理論」を基に授業を進める.授業では,機械や電気系のシステムを,入力→伝達関数→出力の関係で捉え,いろいろな入力に対する応答の表われ方を理解し,実際の制御システム設計の基本となる理解力と問題把握力の育成をめざす.

・講義ごとに「まとめ」として簡単な課題を提示する。次回の講義で解説するので、それまでに整理しておくこと。
・毎回,次回の講義予告をするので,教科書の該当する箇所を読んでくること。
注意点:
* 授業では教科書を中心に進めるので、何より教科書をよく読むこと。
* 質問等は随時受け付ける。オープンソースのSCILABを利用してのシミュレーションが,内容の理解を助けるので,各自でも利用を検討してほしい.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 授業ガイダンス、システムと制御 制御の定義と構成要素について説明できる
2週 代表的な時間関数のラプラス変換 定義により代表的な関数のラプラス変換が計算できる
3週 ラプラス変換に関する定理 ラプラス変換に関する定理を計算に応用できる
4週 ラプラス変換とラプラス逆変換を使った微分方程式解法 ラプラス変換とラプラス逆変換を使い微分方程式を解くことができる
5週 入力信号から出力信号までの伝達関数(1) インパルス応答やステップ応答について説明できる
6週 入力信号から出力信号までの伝達関数(2) インパルス応答やステップ応答について計算できる
7週 演習問題 これまでの知識を利用して様々な問題を解くことができる
8週 (前期中間試験)
2ndQ
9週 試験答案の返却と解説,ブロック線図(1) 基本的なブロック線図を説明できる
10週 ブロック線図(2) 伝達関数とブロック線図を相互に変換できる
11週 ブロック線図の等価変換 ブロック線図を等価変換できる
12週 電気回路のブロック線図 電気回路においてブロック線図を導出できる
13週 周波数応答とは 周波数応答を理解し,基本的な問題で計算できる
14週 基本要素のベクトル軌跡 基本要素のベクトル軌跡を計算し描画できる
15週 (前期定期試験)
16週 試験答案の返却と解説,少し複雑なシステムのベクトル軌跡(1) 一般的なシステムのベクトル軌跡を描画方法を理解できる
後期
3rdQ
1週 少し複雑なシステムのベクトル軌跡(2) 一般的なシステムのベクトル軌跡を描画できる
2週 ボード線図とは ボード線図とは何かについて説明できる
3週 基本要素のボード線図 基本要素(積分要素,微分要素,一次遅れ要素等)のボード線図について描画できる
4週 2 次遅れ要素のボード線図 2 次遅れ要素のボード線図について描画できる
5週 少し複雑なシステムのボード線図 より複雑なシステムのボード線図について描画できる
6週 基本要素の時間応答 基本要素の時間応答を計算できる
7週 1 次遅れ,オーバーシュート,逆応答する要素の時間応答 1 次遅れ,オーバーシュート,逆応答する要素の時間応答を計算できる
8週 (後期中間試験)
4thQ
9週 2 次遅れ要素の時間応答 2 次遅れ要素の時間応答を計算できる
10週 システムの安定判別 システムの安定判別の基本的事項を理解し説明できる
11週 ラウス― フルビッツの安定判別法 ラウス― フルビッツの安定判別法を理解し実際の問題に適用できる
12週 ナイキストの安定判別法 ナイキストの安定判別法を理解し実際の問題に適用できる
13週 制御系の設計:定常特性と定常偏差 目標値の様々な変化に対する定常偏差を理解し、それを計算できる
14週 演習問題 これまでの知識を利用して様々な問題を解くことができる
15週 (後期定期試験)
16週 試験答案の返却と解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野計測制御自動制御の定義と種類を説明できる。4前1
フィードバック制御の概念と構成要素を説明できる。4前1
基本的な関数のラプラス変換と逆ラプラス変換を求めることができる。4前2,前3
ラプラス変換と逆ラプラス変換を用いて微分方程式を解くことができる。4前3,前4
伝達関数を説明できる。4前9
ブロック線図を用いて制御系を表現できる。4前9,前10,前12
制御系の過渡特性について説明できる。4前5,前6,後6,後7,後9,後10
制御系の定常特性について説明できる。4後13
制御系の周波数特性について説明できる。4前13
安定判別法を用いて制御系の安定・不安定を判別できる。4後12,後13
電気・電子系分野制御伝達関数を用いたシステムの入出力表現ができる。4前11
ブロック線図を用いてシステムを表現することができる。4前12
システムの過渡特性について、ステップ応答を用いて説明できる。4後6
システムの定常特性について、定常偏差を用いて説明できる。4後13
システムの周波数特性について、ボード線図を用いて説明できる。4後1,後2,後3,後4,後5
フィードバックシステムの安定判別法について説明できる。4後11,後12,後13

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力800000080
専門的能力200000020
分野横断的能力0000000