生体工学

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 生体工学
科目番号 0102 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 1
開設学科 機械知能システム工学科 対象学年 5
開設期 後期 週時間数 1
教科書/教材 林紘三郎「バイオメカニクス」コロナ社
担当教員 柿ヶ原 拓哉

到達目標

1.骨,生体軟組織および動脈の力学的性質を理解することができる.
2.生体の環境に対する機能適用について理解することができる.
3.生体組織の力学的取扱いについて理解することができる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
1.骨,生体軟組織および動脈の力学的性質を理解することができる.骨,生体軟組織および動脈の力学的性質について,構造等からくる理由も踏まえて説明できる.骨,生体軟組織および動脈の力学的性質について,それぞれの特徴を説明できる.骨,生体軟組織および動脈の力学的性質がどの部位でどうであるか説明できない.
2.生体の環境に対する機能適用について理解することができる.生体の機能適応について,環境に応じてどのような変化をするのかも踏まえて説明できる.生体の機能適応について,どんな変化があるのかを数例説明できる.生体の機能適応にどんなものがあるのか説明できない.
3.生体組織の力学的取扱いについて理解することができる.生体組織を数式でとらえ,適切な物性を選ぶことで,生体を力学的に解析できる.骨や血管など一部の部位については数式を用いて力学的に解くことができる.生体を力学的に解くことができない.

学科の到達目標項目との関係

本科(準学士課程)での学習・教育到達目標 3-3 説明 閉じる

教育方法等

概要:
生体工学は体の構造や働きを力学的,工学的手法を用いて解析する学問であり,その結果を工業的に応用することを目的としている.また生体を調べることにより,治療や診断,またはそのために必要な治療計画や治療具,計測装置,さらに身体機能代替機器等の設計・開発にも繋がっている.解析の例として,例えば骨格系は材料力学を基礎として解析され,血流の解析には流体力学が用いられる.
本科目は力学的,工学的手法を用いて生体の構造と働きを解析する生体工学の手法を学ぶことで,生体への理解を深めることと,生体の問題の要点の理解と解決のための基礎能力を養成することを目的とする.
授業の進め方・方法:
授業は教科書を中心に生体の力学的特性を学び,そしてそれを力学的手法で解析する方法を学ぶ.その際,工業材料と生体組織の特性の違いは注視すべき点である.特に生体は機能適応により環境に応じてその特性を変化させるため,その理解の有無は生体の力学的,工学的アプローチにおいて注意すべき点の一つである.
成績評価は,2回の定期試験の結果の平均を評価点とし,合格点は60点とする.また授業に関連する内容について自主的にレポートを作成し,提出したものについては,自主性を評価し,評価点に加点することもある.
注意点:
生体工学は身体という大変身近なものを取り扱う分野である.自分たちの身体が一体どのようなものなのか,そういったことを考えれば自然と興味もわくと思われるので,その興味を満たすよう積極的に取り組み,特に興味を持った部位・構造については自主的に知識の根を広げていくことを目指してもらいたい.
なお本科目の名称は生体工学(バイオニクス)であるのに対し,授業は生体力学(バイオメカニクス)の教科書を用いているが,双方とも生体を力学的,工学的に解析することは同じなので生体工学の基礎を学習するにあたって問題はない.
両者は,生体工学がメカニズムの工業的応用を目指すのに対し,生体力学は解析により生体の働きの解明が目的であるという,目的の違いがあるため違う学問として取り扱われるが,その解析手法と必要な知識は重なるところが多い.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 バイオメカニクスとは
2週 骨,生体軟組織の解析に用いられる数式
3週 骨の力学的性質
4週 生体軟組織の力学的性質
5週 生体軟組織の力学的特性
6週 動脈の力学的特性
7週 動脈の病変と力学的変化
8週 中間試験
4thQ
9週 中間試験の返却と解説
血液の力学的特徴
10週 血流解析に用いられる数式
11週 血流の力学的特性
血流と血管を組み合わせた解析
12週 骨格系の力学的特性と病変の力学的解析
13週 生体組織の最適設計と機能適応
14週 生体組織の力学解析の復習
15週 学年末試験
16週 学年末試験の返却と解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野力学荷重が作用した時の材料の変形を説明できる。4後2,後3,後4,後5,後6,後11,後12,後13,後14
応力とひずみを説明できる。4後2,後3,後4,後5,後6,後11,後12,後13,後14
フックの法則を理解し、弾性係数を説明できる。4後2,後3,後12,後13,後14
断面が変化する棒について、応力と伸びを計算できる。4後2,後3,後12,後13,後14
ねじりを受ける丸棒のせん断ひずみとせん断応力を計算できる。4後2,後3,後12,後13,後14
丸棒および中空丸棒について、断面二次極モーメントと極断面係数を計算できる。4後2,後3,後12,後13,後14
熱流体流体の性質を表す各種物理量の定義と単位を理解し、適用できる。4後9,後10,後11,後14
ニュートンの粘性法則、ニュートン流体、非ニュートン流体を説明できる。4後9,後10,後11,後14
定常流と非定常流の違いを説明できる。4後9,後10,後11,後14
質量保存則と連続の式を説明できる。4後9,後10,後11,後14
連続の式を理解し、諸問題の流速と流量を計算できる。4後9,後10,後11,後14
オイラーの運動方程式を説明できる。4後9,後10,後11,後14
層流と乱流の違いを説明できる。4後9,後10,後11,後14
ハーゲン・ポアズイユの法則を説明できる。4後9,後10,後11,後14
材料引張試験の方法を理解し、応力-ひずみ線図を説明できる。4後2,後3,後4,後5,後6,後7,後12,後13,後14

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力0000000
専門的能力600000060
分野横断的能力400000040