電子回路

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 電子回路
科目番号 0106 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 機械知能システム工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 「新版 電子工学概論」 相川,石田,橋口 共著  コロナ社
担当教員 木場 信一郎

到達目標

1.物質の中の原子、さらには原子核、陽子、電子、中性子について説明できる。
2.導体、絶縁体、半導体の違いを説明できる。
3.各種半導体素子について説明できる。
4.電界や磁界中の電子の動きについて、物理的に説明できる。
5.トランジスタ回路の動作や等価回路について計算できる。
6.オペアンプについて計算できる。
7.帰還回路や電源回路の概略がわかる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
物質の中の原子、さらには原子核、陽子、電子、中性子について説明できる。原子の構造を、原子核、陽子、電子、中性子を用いて構成し、ボーアの原子模型について説明できる物質の成り立ちについて、原子の立場から捕らえて説明できる物質の成り立ちについて、原子の立場から捕らえることができない
導体、絶縁体、半導体の違いを説明できる。導体、絶縁体、半導体の違いを原子の結合の様子から、エネルギーバンド構造の違いに着目して説明できる導体、絶縁体、半導体の違いを原子の結合の様子から、電子の運動に置き換え説明できる。導体、絶縁体、半導体の違いを原子の結合と結びつけることができない
各種半導体素子について説明できる。各種の半導体素子の特徴について、バンド構造を元に図などに表し、同時に電子の動きをバンド構造を用いて説明できる各種の半導体素子の種類と構造について、図などを駆使して表し、同時に電子の動きを説明できる各種の半導体素子の種類と構造について図などに表し、電気的な特性を把握することができない
電界や磁界中の電子の動きについて、物理的に説明できる。 電界や磁界中の電子の物理について、電磁気的に計算し説明できる 電界や磁界中の電子の動きについて、電磁気的に説明できる 電界や磁界中の電子の動きを説明できない
トランジスタ回路の動作や等価回路について計算できる。 トランジスタ回路について、その動作を把握し、特性の計算や等価回路を用いた回路応用ができる MOSまたはバイポーラトランジスタ回路について、特性を把握し、動作を解析できる。 MOSまたはバイポーラトランジスタ回路について、特性の解析をすることができない
オペアンプについて計算できる。 OPアンプ回路の特性を把握し、応用例について機能と特性の解析ができる。 OPアンプ回路の応用例について、機能と動作の説明ができる。 OPアンプ回路の特徴を生かして、典型的な回路を構成することはできるが、その特性を現す計算ができない。

学科の到達目標項目との関係

本科(準学士課程)での学習・教育到達目標 3-3 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 現代はエレクトロニクス時代であり、電子回路はそのエレクトロニクスの一番大切な分野の科目である。
科目名の英語表記のElectronicとは物質内にある電子の動きによっていろいろな電子素子の働きが得られる。そこで、まず、電子と原子、個体中の電子等について学習し、半導体の性質、電界、磁界中の電子の動き等について理解する。後期では半導体素子、特にトランジスタについて学習し、電子回路の動作を理解できるようにする。
授業の進め方・方法:
電子の動き、半導体の性質等に着目して、説明を進める、。目に見えないものを数学で表現することもあるので、基本的な数学は理解しておく必要がある。授業に使用する教科書やプリント等による演習も加えて、自学による予習を前提とした授業となるので、授業中の演習問題等で積極的に発表すること。
注意点:
4回の定期試験の平均点で評価し、60%以上を合格とする。
合格点に達しない者は、再試験を実施することもある。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 電子回路についてのガイダンス
2週 原子の構造と結合力 原子の構造を説明できる。
パウリの排他律を理解し、原子の電子配置を説明できる。
3週 固体(結晶)中の電子 パウリの排他律を理解し、原子の電子配置を説明できる。
4週 固体中の電子とエネルギーバンド 結晶、エネルギーバンドの形成、フェルミ・ディラック分布を理解し、金属と絶縁体のエネルギーバンド図を説明できる。
5週 導体、絶縁体および半導体 金属の電気的性質を説明し、移動度や導電率の計算ができる。
結晶、エネルギーバンドの形成、フェルミ・ディラック分布を理解し、金属と絶縁体のエネルギーバンド図を説明できる。
6週 真性半導体と不純物半導体 真性半導体と不純物半導体を説明できる。
7週 P型半導体とN型半導体(ダイオードの電気的特性) pn接合の構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてpn接合の電流―電圧特性を説明できる
8週 中間試験
2ndQ
9週 バイポーラトランジスタの特性 バイポーラトランジスタの構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてバイポーラトランジスタの静特性を説明できる
10週 バイポーラトランジスタ回路の電気的特性 バイポーラトランジスタの特徴と等価回路を説明できる
11週 バイポーラトランジスタの増幅特性 バイポーラトランジスタの特徴と等価回路を説明できる
12週 金属と半導体の接触 半導体のエネルギーバンド図を説明できる。
13週 MOSトランジスタの特性 電界効果トランジスタの構造と動作を説明できる。
14週 MOSトランジスタ回路の増幅特性 FETの特徴と増幅特性を説明できる。
15週 前期定期試験の返却・説明
16週 RLC回路の考え方 発振回路の基本的な特性を説明できる。トランジスタ回路の動作や等価回路について計算できる。
後期
3rdQ
1週 トランジスタの等価回路
4端子等価回路(hパラメータ)
トランジスタの等価回路を図示することができる。
2週 バイポーラトランジスタ増幅回路Ⅰ 4端子等価回路を用いて基本的な増幅回路の種類について説明できる。
3週 バイポーラトランジスタ増幅回路Ⅱ 基本的な増幅回路の増幅特性を説明できる。
4週 バイポーラトランジスタ増幅回路Ⅲ 典型的な増幅回路の増幅特性をhパラメータを用いて計算・説明できる。
5週 MOSトランジスタ増幅回路Ⅰ 基本的な増幅回路の増幅特性を説明できる。
6週 MOSトランジスタ増幅回路Ⅱ 基本的なアナログ回路・デジタル回路への応用ができる。
7週 OPアンプ回路を用いた増幅(理想OPアンプの考え方)と
OPアンプ回路の応用回路
OPアンプで構成される電子回路を説明できる。
8週 中間試験
4thQ
9週 MOSトランジスタ集積回路への応用 論理回路をCMOSトランジスタ回路で構成できる。
10週 CMOS集積回路プロセスⅠ プロセス工程の流れとトランジスタ構造の関係を説明できる。
11週 CMOS集積回路プロセスⅡ 使用されるプロセス要素を流れに沿って説明できる。
12週 CMOS集積回路プロセスⅢ 使用されるプロセス要素を流れに沿って説明できる。
13週 電子工学応用Ⅰ 最新の応用例(超伝導現象など)について、その原理を物理的に説明できる。
14週 電子工学応用Ⅱ 最新の応用例(超伝導現象など)について、電子工学・回路への応用を説明できる。
15週 (後期定期試験の返却)
電子工学応用Ⅲ
最新の応用例(超伝導現象など)について、電子工学・回路への応用を説明できる。
16週 電子工学応用まとめ

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電子回路ダイオードの特徴を説明できる。4
バイポーラトランジスタの特徴と等価回路を説明できる。4
FETの特徴と等価回路を説明できる。4
電子工学電子の電荷量や質量などの基本性質を説明できる。4
エレクトロンボルトの定義を説明し、単位換算等の計算ができる。4
原子の構造を説明できる。3
パウリの排他律を理解し、原子の電子配置を説明できる。3
結晶、エネルギーバンドの形成、フェルミ・ディラック分布を理解し、金属と絶縁体のエネルギーバンド図を説明できる。3
金属の電気的性質を説明し、移動度や導電率の計算ができる。3
真性半導体と不純物半導体を説明できる。3
半導体のエネルギーバンド図を説明できる。3
pn接合の構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてpn接合の電流―電圧特性を説明できる。3
バイポーラトランジスタの構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてバイポーラトランジスタの静特性を説明できる。3
電界効果トランジスタの構造と動作を説明できる。3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力0000000
専門的能力10000000100
分野横断的能力0000000