熱流体現象論

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 熱流体現象論
科目番号 0117 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 機械知能システム工学科 対象学年 5
開設期 通年 週時間数 1
教科書/教材 教科書「流体力学の基礎(1)」中林功一ほか コロナ社,「伝熱学の基礎」吉田駿 理工学社,参考書「流体力学(前編)」今井功 裳華房,「伝熱学」西川兼康・藤田恭伸 理工学社
担当教員 田中 禎一,山下 徹

到達目標

1.連続の式,およびオイラーの運動方程式を理解できる。また,流体塊の変形と回転を把握し,流れ場の循 環と渦度の関係が理解できる。
2.流れ場の速度ポテンシャル,流れ関数および複素ポテンシャルの概念を理解でき,複素ポテンシャルを使 って,簡単な流れ場の解法ができる。
3.熱伝導(フーリエの法則,熱伝導方程式)・熱伝達(ニュートンの冷却の法則,無次元数,熱伝達整理式)・ 熱放射(ステファン・ボルツマンの法則,灰色体の熱放射)を理解し,基礎的な熱計算ができる。
4.熱交換(対数平均温度差,熱交換有効率)・熱通過を理解し,簡単な熱交換器の計算ができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1連続の式,オイラーの運動方程式が理解でき,簡単な流れに適用できる。流体塊の変形と回転を把握し,流れ場の循環と渦度の関係が理解でき,簡単な流れに適用できる。連続の式,およびオイラーの運動方程式が理解できる。流体塊の変形と回転を把握し,流れ場の循環と渦度の関係が理解できる。連続の式,およびオイラーの運動方程式の理解が不足している。流体塊の変形と回転を把握し,流れ場の循環と渦度の関係の理解が不足している。
評価項目2速度ポテンシャル,流れ関数および複素ポテンシャルの概念が理解出来、それらの関係を例題等に適用することができる。速度ポテンシャル,流れ関数および複素ポテンシャルの概念が理解出来る。速度ポテンシャル,流れ関数および複素ポテンシャルの概念の理解が不足している。
評価項目3熱伝導・熱伝達・熱放射について十分な理解ができており,基礎的な熱計算において,適切な手順を提示し,解を得ることができる。熱伝導・熱伝達・熱放射について基礎的な理解ができており,基礎的な熱計算において,多少の誤りはあるが手順を提示できる。熱伝導・熱伝達・熱放射についての理解が不足しており,基礎的な熱計算において,適切な手順を提示することができない。
評価項目4熱交換・熱通過について十分な理解ができており,簡単な熱交換器の計算において,適切な手順を提示し,解を得ることができる。熱交換・熱通過について基礎的な理解ができており,簡単な熱交換器の計算において,多少の誤りはあるが手順を提示できる。熱交換・熱通過についての理解が不足しており,簡単な熱交換器の計算において,適切な手順を提示することができない。

学科の到達目標項目との関係

本科(準学士課程)での学習・教育到達目標 3-3 説明 閉じる

教育方法等

概要:
本科目は流れ現象を取り扱う流体力学と熱移動現象を取り扱う伝熱工学を主な対象としている。
流体力学は,流線,すなわち流れ場がどのような形になるのかを明らかにする学問であり,伝熱工学は,物体間の温度差に因果した熱移動速度を論ずる学問である。これらは,工業製品で広く利用されるポンプや熱交換器の設計・評価等において重要な知識である。
授業の進め方・方法:
流体力学では,流れ場の運動を記述する連続の式,NS運動方程式,オイラー運動方程式について講義を行う。伝熱工学では熱伝導,熱伝達,放射という三つの熱エネルギー移動現象について講義・演習を行なう。
注意点:
講義後は,①配布プリントから要点をノートに整理してまとめる,②教科書や図書館に置いてある参考書を読む,③問題集の練習問題を解く等の自学によって,内容の深い理解に努めること。演習を主体とした復習を行なうと良い。演習を主体とした復習を行なうと良い。その際,教科書の問題や配布課題について,まず参考書を使わずに独力で取り組むことで,理解度の確認を行うこと。式を丸暗記するのではなく,現象の本質について理解を深める努力を欠かさず行なうこと。
オフィスアワーなど授業時間外でも質問に対応します。どうしても教員と時間が合わない場合は,シラバスに記載のメールアドレス宛てに質問してください。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 流体力学の数学表現,速度と加速度の表示
2週 流線の式と連続の式
3週 理想流体の運動方程式とベルヌーイの定理
4週 流体塊の変形と回転
5週 循環と渦度
6週 粘性流体の運動方程式
7週 問題演習
8週 〔中間試験〕
2ndQ
9週 前期中間試験の返却と解説
10週 速度ポテンシャル流れ関数
11週 等速度ポテンシャルと流線
12週 複素ポテンシャル
13週 複素ポテンシャルの応用
14週 問題演習
15週 〔前期末試験〕
16週 前期末試験の返却と解説
後期
3rdQ
1週 伝熱の三形態と基礎用語 伝熱の基本形態を理解し,各形態における伝熱機構を説明できる.
2週 フーリエの法則と熱伝導方程式,境界条件 フーリエの法則および熱伝導率を説明できる.また,熱伝導方程式と計算に必要な境界条件を説明できる.
3週 定常熱伝導と非定常熱伝導 平板および多層平板の定常熱伝導について,熱流束,温度分布,熱抵抗を計算するとともに,非定常熱伝導の近似解法について説明できる.
4週 熱抵抗と実際の熱伝導問題 熱抵抗が実際に問題となる熱的諸問題について,具体的な例をあげながら説明できる.
5週 ニュートンの冷却の法則と境界層,熱通過 ニュートンの冷却の法則および熱伝達率を説明できる.自然対流と強制対流や層流と乱流などの流れの違いによる熱伝達率の変化を境界層の視点から説明できる.
6週 無次元数と熱伝達率予測式 無次元数について説明でき,様々な流れにおける熱伝達整理式を用いることができる.
7週 問題演習 対流を伴う熱通過問題について,熱流束,温度分布,熱通過率を計算できる.
8週 〔中間試験〕
4thQ
9週 後期中間試験の返却と解説
10週 沸騰熱伝達 沸騰熱伝達について,流動様相と熱伝達特性を関連付けながら説明できる.
11週 熱交換器と熱計算 熱交換器に関する基礎知識を用いて,交換熱量,熱交換有効率,伝熱面積の計算ができる.
12週 熱放射の基本法則と形態係数 黒体の定義を説明でき,プランクの法則,ステファン・ボルツマンの法則,ウィーンの変位則を説明できる.単色ふく射率および全ふく射率を説明できる.
13週 灰色面間の放射伝熱とガス放射 形態係数,等価回路を用いて,黒体面間,灰色面間の放射伝熱について計算することができる.
14週 問題演習
15週 〔後期学年末試験〕
16週 学年末試験の返却と解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野熱流体層流と乱流の違いを説明できる。4後5
レイノルズ数と臨界レイノルズ数を理解し、流れの状態に適用できる。4後5
伝熱の基本形態を理解し、各形態における伝熱機構を説明できる。4後1
フーリエの法則および熱伝導率を説明できる。4後2
平板および多層平板の定常熱伝導について、熱流束、温度分布、熱抵抗を計算できる。4後3
対流を伴う平板の定常熱伝導について、熱流束、温度分布、熱通過率を計算できる。4後7
ニュートンの冷却法則および熱伝達率を説明できる。4後5
自然対流と強制対流、層流と乱流、温度境界層と速度境界層、局所熱伝達率と平均熱伝達率を説明できる。4後5
平板に沿う流れ、円管内の流れ、円管群周りの流れなどについて、熱伝達関係式を用いることができる。4後6
黒体の定義を説明できる。4後12
プランクの法則、ステファン・ボルツマンの法則、ウィーンの変位則を説明できる。4後12
単色ふく射率および全ふく射率を説明できる。4後12

評価割合

試験合計
総合評価割合100100
基礎的能力00
専門的能力100100
分野横断的能力00