エネルギー変換工学

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 エネルギー変換工学
科目番号 0164 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 機械知能システム工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 教科書 プリントを配布 / 教材「エネルギー変換工学」西川兼康・長谷川修 理工学社
担当教員 山下 徹,古嶋 薫

到達目標

1.蒸気動力プラントの機器構成やシステムの特性およびボイラやタービンの種類や構造について理解し説明できる。
2.熱計算を行ない,熱効率やボイラ効率などの性能を計算できる。
3. 燃焼の基礎式を理解し、与えられた燃料に対して燃焼時に必要な理論空気量、発熱量、また燃焼生成物の組成割合等を求めることができる。
4. 断熱燃焼ガス温度を求めることができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1蒸気動力プラントの機器構成やシステムの特性およびボイラの種類や構造について十分に理解し,明確に説明することができる。蒸気動力プラントの機器構成やシステムの特性およびボイラの種類や構造についてある程度理解し,多少の不足はあるが説明することができる。蒸気動力プラントの機器構成やシステムの特性およびボイラの種類や構造についての理解が不十分で,明確に説明することができない。
評価項目2熱計算を行なうに必要な知識を有し,熱効率やボイラ効率などを計算する上での手順を的確に提示し,計算することができる。熱計算を行なうに必要な基礎的知識を一部不完全であるが有し,熱効率やボイラ効率などを計算する上で,多少の誤りはあるが手順を提示することができる。熱計算を行なうに必要な知識が不十分で,熱効率やボイラ効率などを計算する上での手順を提示することができない。
評価項目3燃焼の基礎式を理解し、与えられた燃料に対して燃焼時に必要な理論空気量、発熱量、また燃焼生成物の組成割合等を求めることができる。燃焼の基礎式を理解し、与えられた燃料に対して燃焼時に必要な理論空気量、発熱量、また燃焼生成物の組成割合等を概ね求めることができる。燃焼の基礎式を理解し、与えられた燃料に対して燃焼時に必要な理論空気量、発熱量、また燃焼生成物の組成割合等を求めることができない。
評価項目4断熱燃焼ガス温度を求めることができる。断熱燃焼ガス温度を概ね求めることができる。断熱燃焼ガス温度を求めることができない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 3-3 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 6-1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
本科目は,実際に使われている流体力学と熱力学を基盤としたエネルギー変換機器の特長と性能についての知識習得を目的としている。流体分野では,エネルギー授受に「運動している羽根や翼の作用力を利用する」ターボ形のポンプを中心に取り扱い,熱分野では,燃料の燃焼エネルギーからタービン軸動力までの蒸気動力サイクルを中心に取り扱うことで,熱流体に関連するエネルギー変換機器の効率・性能を定量的に考察し,機器の設計・評価に活かす力を身につけさせる。
この科目は企業で事業用ボイラの設計を担当していた教員が,その経験を活かし,熱機関の種類や特性,設計に必要な知識について講義形式で授業を実施するものである。
授業の進め方・方法:
前後半の2部構成とし,前半は流体機械,後半は蒸気動力をキーワードに講義を行なう。流体機械ではポンプの流体力学的背景(角運動量の理論と翼列理論)と基本的な性能および特性について解説を行ない,後半の蒸気動力では蒸気動力プラントの種類と特性および性能計算としての熱勘定について解説,および他の熱エネルギー変換機器についての解説を行なう。
注意点:
熱・流体エネルギー分野の職種では実務に直結する重要な科目です。職務上での設計力・考察力を身に付けるために,基本的な作動原理,力学的法則と性能の関係,運転上の諸現象と対策などを十分に理解して下さい。また,オフィスアワーなど授業時間外の質問に対応しますので活用して下さい。
講義後は,①配布プリントから要点をノートに整理してまとめる②教科書や図書館に置いてある参考書を読む③問題集の練習問題を解く,等の自学によって,内容の深い理解に努めること。
講義後に,説明された内容を総括し理解を深めること。また,教科書や参考書の演習課題等は,まず自力で取り組むことが大切です。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 熱エネルギー変換工学の意義と熱機関の歴史,蒸気動力システム 現代のエネルギー事情と熱動力変換の歴史,蒸気動力システムについて説明できる.
2週 蒸気動力プラントとガスタービン 蒸気動力プラントとガスタービンの特徴について熱力学的サイクルの視点から説明できる.
3週 複合発電,コジェネレーション 複合発電の種類および,コジェネレーションの意義について説明できる.
4週 ボイラ ボイラの種類や構造,特徴について説明し、ボイラでの熱交換について基礎的な計算ができる.
5週 タービン タービンの特徴について説明し、タービン仕事についての基礎的な計算ができる。
6週 熱サイクル計算 蒸気表や熱力学第一法則からエンタルピー等の変化量を求め,蒸気動力プラントの出力や熱効率が計算できる.
7週 まとめと補足および課題演習
8週 前期中間試験
2ndQ
9週 燃焼の概説 燃料の組成、燃焼の基礎を理解できる。
10週 燃焼の基礎式 燃焼の基礎式を理解できる。
11週 理論および実際の燃焼過程
与えられた燃料に対して燃焼時に必要な理論空気量、発熱量、また燃焼生成物の組成割合等を求めることができる。
12週 流れ系の燃焼過程 流れ系について、燃焼時に必要な理論空気量、発熱量、また燃焼生成物の組成割合等を求めることができる。
13週 断熱火炎温度 断熱火炎温度を求めることができる。
14週 まとめと補足および課題演習 課題演習を理解することができる。
15週 前期定期試験
16週 前期末試験の返却と解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野熱流体閉じた系と開いた系について、エネルギー式を用いて、熱、仕事、内部エネルギー、エンタルピーを計算できる。4前13
内部エネルギーやエンタルピーの変化量と温度の関係を説明できる。4前13
等圧変化、等積変化、等温変化、断熱変化、ポリトロープ変化の意味を理解し、状態量、熱、仕事を計算できる。4前10,前13
サイクルの意味を理解し、熱機関の熱効率を計算できる。4前10,前13
カルノーサイクルの状態変化を理解し、熱効率を計算できる。4前10
サイクルをT-s線図で表現できる。4前10,前13
電気・電子系分野電力電気エネルギーの発生・輸送・利用と環境問題との関わりについて説明できる。4

評価割合

試験(1stQ)レポート(1stQ)試験(2ndQ)合計
総合評価割合302050100
基礎的能力0000
専門的能力302050100
分野横断的能力0000