概要:
講義とグループワーク等の演習により、古代から近世にわたる日本と西洋の建築について学ぶ。建築は単なる工学的所産ではなく、各時代・地域の風土、社会制度、生活習慣、心性、意志・願望、宗教観等を反映し、伝統を継承しつつ、技術の制限や飛躍によって具体化されるものであり、生活・社会・文化に密着している。歴史上の建築を時系列に沿って学習するとともに、この点を理解させ、さらに現代に応用できる素養を会得させる。この授業の成果も踏まえて、地域に寄りそう真摯な建築を心がける技術者になることを期待する。
授業の進め方・方法:
講義においては、毎回目標を掲げ、学習内容をレジュメで確認したうえで始める。事前予習を振り返るかたちで実施するので、予習は必須である。プリントやプロジェクターを使い、他の文化領域との関係、利用されている技術・設計手法、関連する保存等事例にも言及しながら、多角的な把握ができるようにする。スケッチや実測調査等の個人・グループでの演習、理解度チェックのためのクイズやゲームを織り交ぜながら行う。
注意点:
身の回りのもの全てに、歴史があります。作られた時代の、使われてきた時代の蓄積があり、かたちに落とし込まれていたり雰囲気を漂わせていたりします。そこには、例えば地域性や場所の固有性から切り離されて生活している我々が失っている、その地域でのあるべき暮らしのヒントが隠されています。この授業では大きな歴史の流れをあつかっていますが、それは、みなさんが将来活躍する地域で、みなさん自身がその地域の豊かさを発見するときのものさしになります。秘密のカギを探し当てるような、ワクワクした、そんないい授業をみなさんと作っていきたいと思います。
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 工学基礎 | 技術史 | 技術史 | 歴史の大きな流れの中で、科学技術が社会に与えた影響を理解し、自らの果たしていく役割や責任を理解できる。 | 3 | 前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 建築系分野 | 計画・歴史 | 古代(例えば、エジプト、オリエント、エーゲ海、ギリシャ、ローマなど)の特徴について説明できる。 | 2 | 後3,後4,後5,後10,後11,後12,後13,後14 |
中世(例えば、ビザンチン、イスラム、ロマネスク、ゴシックなど)の特徴について説明できる。 | 2 | 後6,後7,後8,後9,後10 |
近世(例えば、ルネサンス、マニエリスム、バロック、ロココなど)の特徴について説明できる。 | 2 | 後11,後12,後13,後14 |
古代(例えば、住宅建築、寝殿造、都市計画、神社建築、寺院建築など)の特徴について説明できる。 | 2 | 前1,前2,前3,前4,前5,前8,前11 |
中世(例えば、住宅建築、神社建築、寺院建築(大仏様、禅宗様、折衷様など))の特徴について説明できる。 | 2 | 前2,前6,前7,前12 |
近世(例えば、住宅建築、書院造、数寄屋風書院、町屋、農家、茶室、霊廟、社寺建築、城郭)の特徴について説明できる。 | 2 | 前2,前8,前9,前10,前12,前13,前14,後1 |