建築環境工学

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 平成28年度 (2016年度)
授業科目 建築環境工学
科目番号 0011 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 建築社会デザイン工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 1
教科書/教材 「最新 建築環境工学」 田中俊六他 井上書院
担当教員 齊藤 郁雄

到達目標

1.熱や温度についての基本原理を理解し、人体生理と室内環境の関係から快適条件を説明できる。
2.日射制御や建築伝熱の基本を理解し、冷暖房を前提とした時の建築要素のあり方を説明できる。
3.湿気や汚染物質に対する室内空気環境のあり方や効率的な換気方法を説明できる。
4.人間の光感覚や音感覚について理解し、採光計画や室内音響計画の考え方を説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1熱や温度についての基本原理を十分に理解し、人体生理と室内環境の関係から快適条件やその指標を説明できる。熱や温度についての基本原理を理解し、人体生理と室内環境の関係を説明できる。熱や温度についての基本原理や単位などを説明することができない。
評価項目2日射制御や建築伝熱の基本事項を十分に理解し、定常熱伝導計算を正確に行うことができるとともに、冷暖房を前提とした時の建築要素のあり方を説明できる。日射制御や建築伝熱の基本事項を説明できるとともに、定常熱伝導計算ができる。日射制御や建築伝熱の基本事項を説明することができない。
評価項目3湿気や結露、換気や通風に関する基本事項を十分に理解し、室内空気環境のあり方や効率的な換気方法を説明できる。湿気や結露、換気や通風に関する基本事項を説明することができる。湿気や結露、換気や通風に関する基本事項を説明することができない。
評価項目4人間の光感覚や音感覚の基本事項を十分に理解し、採光計画や室内音響計画の基本的な考え方を説明できる。人間の光感覚や音感覚に関する基本事項を説明することができる。人間の光感覚や音感覚に関する基本事項を説明することができない。

学科の到達目標項目との関係

本科到達目標 3-3 説明 閉じる

教育方法等

概要:
建築環境工学は建築設計上の対応によって安全で快適な空間を確保するための技術に関する学問である。本授業では人間と環境との関係について考え、より良い建築環境を創造するための基礎知識を学ぶ。
授業の進め方・方法:
本授業では建築環境工学を熱、空気、光、音の4分野に分け、主に熱環境を中心に講義を行う。また、近年の都市環境や地球環境問題とも関連づけて捉えることにより、建築環境のあるべき姿について考える。
注意点:
本授業では教科書は参考書的に使用するだけなので、講義ノートが重要である。丸暗記的な学習ではなく、よりよい建築環境を作るにはどのようにあるべきかという視点から、要点を整理しながら受講すること。質問や要望は随時受け付けるので、教員室前の掲示を見て空き時間に訪れること。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 授業ガイダンス、建築環境工学とは 建築環境工学の概要について理解する。
2週 建築と自然環境 建築と自然環境の関わりについて理解する。
3週 建築環境工学の基礎知識 建築環境工学に関する基礎事項について理解する。
4週 快適条件(人体生理と室内環境) 人体の熱収支を通して、人体生理と室内環境の関わりについて理解する。
5週 快適条件(温熱環境の快適指標) 代表的な温熱環境の快適指標の違いとその測定法を理解する。
6週 日照と日射(太陽放射と地球大気) 太陽放射と地球大気の影響について理解する。
7週 日照と日射(太陽放射と地球大気) 日射・日照の効用について理解する。
8週 〔中間試験〕
2ndQ
9週 答案の返却と解説,日照と日射(太陽位置) 太陽位置の求め方を理解する。
10週 日照と日射(太陽位置) 太陽位置の求め方を理解する。
11週 日照と日射(日射熱量) 太陽位置図や日影曲線の使い方を理解し、日影図を描くことができる。
12週 日照と日射(日射熱量) 各種日射量の算出方法について理解する。
13週 日照と日射(日照調整) 日射・日照の調整方法を理解する。
14週 日照と日射(日照調整) 日射・日照の調整方法を理解する。
15週 〔前期末試験〕
16週 前期末試験の返却と解説
後期
3rdQ
1週 建築伝熱(熱伝導) 熱伝導の基礎式について理解する。
2週 建築伝熱(熱伝達) 対流熱伝達と放射熱伝達について理解する。
3週 建築伝熱(熱貫流) 熱貫流について理解し、熱貫流計算を行うことができる。
4週 建築伝熱(建物の熱損失) 建物の省エネルギー性を示す各種指標について理解する。
5週 建築伝熱(建物の室温変動) 各種建物要素が室温変動率に与える影響と快適性の関係について理解する。
6週 湿気と結露(湿り空気) 湿度を表す各種指標について理解する。
7週 湿気と結露(湿気と結露) 結露の発生条件とその防止法について理解する。
8週 〔中間試験〕
4thQ
9週 答案の返却と解説,換気と通風(換気計算) 各種換気方法について理解し、必要換気量を求めることができる。
10週 換気と通風(換気計画) 自然換気を行う場合の留意点を理解し、風力換気による換気量を算定できる。
11週 採光と照明(測光量) 各種測光量の違いと、光に対する人体の反応の仕方について理解する。
12週 採光と照明(採光・照明計画) 各種採光計画や照明計画のありかたについて理解する。
13週 建築音響(音の単位、騒音と遮音) 音に対する人体の反応の仕方とデシベル単位について理解する。
14週 建築音響(室内音響計画) 室内音響の設計方法について理解する。
15週 〔後期学年末試験〕
16週 学年末試験の返却と解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学建築系分野材料建築材料の特徴・分類を説明できる。1後1
断熱材料の熱的性質、種類について理解している。2後1
環境・設備風土と建築について説明できる。1前1,前2
環境マネージメント(たとえば、環境負荷、省エネルギーなど)の概要について理解している。1後4
気候、気象について説明できる。1前2
気温、温度、湿度および気温と湿度の形成について説明できる。1前3
風および風の形成について理解している。1前3
都市環境における緑の役割について説明できる。1前14
建設地と太陽位置について説明できる。2前9,前10,前11
時間別の日影図を書くことが出来る。3前11
日照と日射、紫外線、および可視光線について説明できる。2前6
日照および日射の調節方法について説明できる。3前7,前12,前13,前14
視覚と光の関係について説明できる。1後11
測光量について理解している。1後11
明視、グレアの現象について説明できる。1後11
採光および採光計画について説明できる。2後12
人工照明について説明できる。1後12
伝熱の基礎について説明できる。2後1,後2
熱貫流について説明できる。3後3,後13
室温の形成について理解している。1後4,後5
人体と熱について説明できる。2前4
温熱環境要素について説明できる。2前4
温熱環境指標について説明できる。2前5
湿り空気、空気線図について説明できる。1後6
結露現象について説明できる。2後7
空気汚染の種類と室内空気環境基準について説明できる。2後9
必要換気量について計算できる。2後9
自然換気と機械換気について説明ができる。2後9,後10
音の物理的特性について説明できる。1後13
音の単位について説明できる。1後13
吸音と遮音、残響について説明できる。1前2,後13
遮音材料の仕組み、音響計画について説明できる。1後14
省エネルギー(コジェネレーション等を含む)について説明できる。1後4

評価割合

試験レポート合計
総合評価割合8020100
基礎的能力000
専門的能力8020100
分野横断的能力000