応用物理

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 応用物理
科目番号 0076 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 建築社会デザイン工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 原康夫著,基礎物理学,第5版.
担当教員 浦野 登志雄,森下 功啓

到達目標

1.エネルギーとしての熱の意味、エネルギーの保存を理解し説明できる。
2.理想気体の状態方程式を用いて気体の状態を決める事ができる。
3.熱放射および熱伝導による熱伝達を評価できる。
4.熱機関とヒートポンプの原理を理解し評価できる。
5.静電気の性質を理解し点電荷の間に働く力を計算できる。
6.いろいろな静電場の作る電場を計算できる。
7.コンデンサーの容量や抵抗が計算できる。
8.力のモーメントと角運動量を理解し計算できる。
9.角運動量保存則と面積速度について理解し、説明できる
10.剛体の釣り合い条件について理解し、計算できる。
11.剛体の回転運動について理解し、計算できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
エネルギーとしての熱の意味、エネルギーの保存を理解し説明できる。現実の多様なエネルギーについてエネルギー保存則を満たす事を計算できる。エネルギー保存則を理解して説明できる。エネルギー保存の考え方を説明できない。
理想気体の状態方程式を用いて気体の状態を決める事ができる。いろいろな状態にある現実的な気体に対して状態方程式を適用できる。状態方程式の意味を理解し説明できる。状態方程式の意味を説明できない。
熱放射および熱伝導による熱伝達を評価できる。熱伝導および熱放射の意味を理解し、現実の問題に適用できる。熱放射と熱伝導について熱伝達の原理が説明できる。熱放射と熱伝導について熱伝達の原理を説明できない。
熱機関とヒートポンプの原理を理解し評価できる。熱機関とヒートポンプの原理を理解し現実問題に適用できる。熱機関とヒートポンプの原理を理解し説明できる。熱機関とヒートポンプの原理を説明できない。
静電気の性質を理解し点電荷の間に働く力を計算できる。静電気の性質を理解し現実的な点電荷の間に働く力を計算できる。静電気の性質を理解し点電荷の間に働く力を説明できる。静電気の性質および、点電荷の間に働く力を説明できない。
いろいろな静電場の作る電場を計算できる。現実的な静電場の作る電場を計算できる。いろいろな静電場の作る電場を理解し説明できる。いろいろな静電場の作る電場を説明できない。
コンデンサーの容量や抵抗が計算できる。現実的なコンデンサーの容量や抵抗を計算できる。コンデンサーの容量や抵抗について理解し説明できる。コンデンサーの容量や抵抗について説明できない。
力のモーメントと角運動量を理解し計算できる。力のモーメントと角運動量について計算し、説明できる。力のモーメントと角運動量について説明できる。力のモーメントと角運動量について説明できない。
角運動量保存則と面積速度について理解し、説明できる角運動量保存則と面積速度について計算し、説明できる。角運動量保存則と面積速度について説明できる。角運動量と面積速度について説明できない。
剛体の釣り合い条件について理解し、計算できる。剛体の釣り合い条件について計算し、説明できる。剛体の釣り合い条件について説明できる。剛体の釣り合い条件について説明できない。
剛体の回転運動について理解し、計算できる。剛体の慣性モーメントと回転運動の法則について計算し、説明できる。剛体の慣性モーメントと回転運動の法則が説明できる。剛体の慣性モーメントと回転運動の法則について説明できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
 この講義では,現代の便利な生活を支えている自動車やエアコンなどの電気機器の基本的な原理である,熱力学,物体の運動,電磁気学を学ぶ.熱力学では,熱伝達,熱機関,空調機の原理などを取り扱う.また,物体の運動では,剛体の重心や回転運動を扱う.電磁気学では,静電気と電流の関係を取り扱う.
※実務との関係
 この科目は,企業で電子回路と機械構造を含むハードウェアを開発していた教員らが,その経験を活かし,土木・建築系技術者に必要な物理学について講義形式で授業を行うものである.
授業の進め方・方法:
 教科書に沿って講義を進めながら,できる限り実験を取り入れ,応用例も示しながら理解を促していく.また,問題練習を通して,原理への理解の定着を図るとともに,物理量の大きさを見積もる能力と事象を単純化(モデル化)して考えるの能力の向上を目指す.
注意点:
*分かった気にならずに練習問題を解きましょう.
*実際の身の回りの現象に注目し,学んだことを適用・応用してみましょう.
*電磁気学の内容については、3年生以前の学習状況を鑑みて変更することがあります.
*新型コロナウイルス対応によっては、試験を実施せず、課題のみで成績を決めることがあります.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 熱とは何か? 熱と温度の違い。 エネルギーとしての熱の意味を理解し説明できる.
2週 熱の移動とプランクの放射法則 理想気体の状態方程式から,気圧,温度,体積の関係および気体のする仕事を計算できる.
3週 理想気体の状態方程式と気体分子運動論 熱伝導と放射について理解し,伝達されるエネルギーを見積もることができる.
4週 熱力学の第一法則 熱力学第一法則を理解しエネルギー保存測を説明できる
5週 熱力学の第二法則
熱の関与する現象は不可逆過程であることを理解し,説明できる.
6週 熱機関の効率とカルノーサイクルにおける仕事 仕事の最大効率を説明し計算できる.
7週 ヒートポンプ型空調機の性能、問題演習 ヒートポンプの原理を理解し計算ができる.問題解決に、原理や考え方を適用できる。
8週 問題演習
2ndQ
9週 〔中間試験〕
10週 試験返却と解説
11週 クーロンの法則、電場・電気力線 静電気を理解し、点電荷間に働くクーロン力が計算できる。
12週 導体と電場,ガウスの法則 ガウスの法則を説明できる
13週 電位・電場のエネルギー 電位と電場のエネルギーについて説明できる。
14週 コンデンサー,問題演習 コンデンサーの容量を計算し評価できる。
15週 〔前期末試験〕
16週 試験返却と解説
後期
3rdQ
1週 回転運動と剛体の概略についての説明 力のモーメントを求めることができる。
2週 質点の回転運動 角運動量を求めることができる。また、角運動量保存則について理解し、具体的な例を挙げて説明できる。
3週 剛体の釣り合い 力が釣り合うための2つの条件について理解し、釣り合いに関する計算ができる。
4週 問題演習 配付した演習問題の解答・解説内容を理解することができる。
5週 剛体の回転運動 剛体の慣性モーメントを求めることができる。また、剛体の回転運動について、回転の運動方程式を立てて解くことができる。
6週 重心、図心 重心・図心に関する計算ができる。
7週 問題演習 配付した演習問題の解答・解説内容を理解することができる。
8週 〔中間試験〕
4thQ
9週 試験解答 試験結果を見直し、理解させる。理解が不足している学生に対しては再試験を実施する。
10週 断面の性質(1) 断面一次モーメント、断面二次モーメントについて理解し、計算ができる。
11週 断面の性質(2) 断面一次モーメント、断面二次モーメントについて理解し、計算ができる。
12週 座屈理論 座屈の原理を説明できる。オイラーの公式を用いて計算することができる。
13週 断面力 断面内の応力分布を計算することができる。
14週 問題演習 配付した演習問題の解答・解説内容を理解することができる。
15週 〔後期学年末試験〕
16週 試験返却と解説 試験結果を見直し、理解させる。理解が不足している学生に対しては再試験を実施する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学速度と加速度の概念を説明できる。3
直線および平面運動において、2物体の相対速度、合成速度を求めることができる。3
等加速度直線運動の公式を用いて、物体の座標、時間、速度に関する計算ができる。3
平面内を移動する質点の運動を位置ベクトルの変化として扱うことができる。3
物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる。3
平均の速度、平均の加速度を計算することができる。3
自由落下、及び鉛直投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3
水平投射、及び斜方投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3
物体に作用する力を図示することができる。3
力の合成と分解をすることができる。3
重力、抗力、張力、圧力について説明できる。3
フックの法則を用いて、弾性力の大きさを求めることができる。3
質点にはたらく力のつりあいの問題を解くことができる。3
慣性の法則について説明できる。3
作用と反作用の関係について、具体例を挙げて説明できる。3
運動方程式を用いた計算ができる。3
簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。3
運動の法則について説明できる。3
静止摩擦力がはたらいている場合の力のつりあいについて説明できる。3
最大摩擦力に関する計算ができる。3
動摩擦力に関する計算ができる。3
仕事と仕事率に関する計算ができる。3
物体の運動エネルギーに関する計算ができる。3
重力による位置エネルギーに関する計算ができる。3
弾性力による位置エネルギーに関する計算ができる。3
力学的エネルギー保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3
物体の質量と速度から運動量を求めることができる。3
運動量の差が力積に等しいことを利用して、様々な物理量の計算ができる。3
運動量保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3
周期、振動数など単振動を特徴づける諸量を求めることができる。3
単振動における変位、速度、加速度、力の関係を説明できる。3
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。3
万有引力の法則から物体間にはたらく万有引力を求めることができる.3
万有引力による位置エネルギーに関する計算ができる。3
力のモーメントを求めることができる。3前10
角運動量を求めることができる。3前11
角運動量保存則について具体的な例を挙げて説明できる。3前11
剛体における力のつり合いに関する計算ができる。3前12
重心に関する計算ができる。3前13
一様な棒などの簡単な形状に対する慣性モーメントを求めることができる。3前14
剛体の回転運動について、回転の運動方程式を立てて解くことができる。3前14
原子や分子の熱運動と絶対温度との関連について説明できる。3前2
時間の推移とともに、熱の移動によって熱平衡状態に達することを説明できる。3前2,前4
物体の熱容量と比熱を用いた計算ができる。3前4
熱量の保存則を表す式を立て、熱容量や比熱を求めることができる。3前4
動摩擦力がする仕事は、一般に熱となることを説明できる。3前4
ボイル・シャルルの法則や理想気体の状態方程式を用いて、気体の圧力、温度、体積に関する計算ができる。3前2
気体の内部エネルギーについて説明できる。3前2
熱力学第一法則と定積変化・定圧変化・等温変化・断熱変化について説明できる。3前1
エネルギーには多くの形態があり互いに変換できることを具体例を挙げて説明できる。3前1
不可逆変化について理解し、具体例を挙げることができる。3前4,前5
熱機関の熱効率に関する計算ができる。3前5,前6
電気導体と不導体の違いについて、自由電子と関連させて説明できる。3後6,後7
電場・電位について説明できる。3後1,後2,後3,後7
クーロンの法則が説明できる。3後1,後2,後3,後7
クーロンの法則から、点電荷の間にはたらく静電気力を求めることができる。3後1,後2,後3,後7
オームの法則から、電圧、電流、抵抗に関する計算ができる。3後10
抵抗を直列接続、及び並列接続したときの合成抵抗の値を求めることができる。3後11
ジュール熱や電力を求めることができる。3後11

評価割合

試験レポート合計
総合評価割合8020100
基礎的能力501060
専門的能力201030
分野横断的能力10010