構造力学III

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 構造力学III
科目番号 0084 科目区分 専門 / 必修
授業形態 演習 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 建築社会デザイン工学科 対象学年 3
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 PEL「構造力学」 監修:PEL編集委員会 編著:岩坪 要  実教出版
担当教員 岩坪 要

到達目標

1.静定構造物に外力が作用した場合の断面力図(N図,Q図,M図)を書くことができる.
2.部材断面に関する材料力学および曲げ応力度を正しく算定できる.
3.4階の微分方程式を用いた静定はりのたわみとたわみ角が算定できる.
4.2階の微分方程式を用いた静定はりのたわみとたわみ角が算定できる.
5.圧縮柱の座屈現象を理解できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1 静定構造物に外力が作用した場合の断面力図(N図,Q図,M図)を書くことができる.授業で説明した静定構造物以外にもレポート課題における構造物の断面力図を書くことができる.授業で説明した静定構造物に関して断面力図を書くことができる.外力が作用する静定構造物の応力図を書くことができない.
評価項目2 部材断面に関する材料力学および曲げ応力度を正しく算定できる.様々な断面を有する静定はりの曲げ応力度を算定できる.静定はりの曲げ応力度の算定ができる.曲げ応力度の算定ができない.
評価項目3 4階の微分方程式を用いた静定はりのたわみとたわみ角が算定できる.4階の微分方程式を用いて,様々な荷重状態でのたわみ計算ができる.4階の微分方程式を用いて単純はりのたわみ計算ができる.4階の微分方程式を用いてたわみ計算ができない.
評価項目4 2階の微分方程式を用いた静定はりのたわみとたわみ角が算定できる.2階の微分方程式を用いて,様々な荷重状態でのたわみ計算ができる.2階の微分方程式を用いて単純はりのたわみ計算ができる.2階の微分方程式を用いてたわみ計算ができない.
評価項目5 圧縮柱の座屈現象を理解できる.座屈荷重の計算ができる.座屈現象が説明できる.座屈現象が説明できない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
構造物の設計に必要な静力学の基礎の修得を目的とし,力の釣り合い,部材に生じる断面力や応力,構造物の変形など,静定構造物に関する基礎事項から,不静定構造物の解法まで習得することを目的とする。構造力学Ⅲでは,構造力学Ⅰに引続き,構造物の変形状態を表すたわみやたわみ角を算定する方法を学ぶ。
授業の進め方・方法:
構造物に働く力の作用を想い描けるように、実際の構造物の挙動や設計と関連付けながら、はりやラーメンの反力、断面力、応力・ひずみ及び静定はりの変位などを学ぶ。特に基礎となる断面力図(M図・Q図)の理解を中心に、演習等を通して自力で問題を解く力を養い、力と変形の関係を理解する。
注意点:
本科目は、理解することは勿論であるが、先の結果を用いて次の計算を行っていく積み上げ科目であり、実際に計算できる能力が必要である。講義に対応して、演習問題と課題を配布する。講義理解の確認・復習となる演習問題であるので必ず自力で解くこと、さらにその結果を基に力の流れ、変形等について考察することが大事である。
4年生まで続く教科であり、3年次の内容も以後の学習の基礎となる。最初は簡単な内容から始まるが、徐々に内容が深まって行くので、積み残しをしないよう毎回の予習・復習が大事である。講義の確認のためには、少なくとも課題は自力で解き、疑問点は質問して解決するなど自らの積極的な取り組みが重要である。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ガイダンス 学習内容を理解する
2週 圧縮部材と座屈 座屈現象を理解できる
3週 座屈の基礎式と座屈荷重 オイラー荷重を計算できる
4週 座屈の条件 境界条件と座屈モードが理解できる
5週 影響線とは 影響線が理解できる
6週 影響線を使った計算 任意面を向く断面の応力度が計算できる
7週 影響線の計算 単純はりの支点反力と断面力の影響線の計算ができる
8週 〔中間試験〕
4thQ
9週 後期中間試験の返却と解説、たわみに関する微分方程式の誘導 たわみに関する微分方程式の準備学習が理解できる
10週 たわみに関する微分方程式の誘導 たわみに関する微分方程式の誘導ができる
11週 4階の微分方程式による梁のたわみ算定説明 4階の微分方程式による梁のたわみ算定について理解できる
12週 4階の微分方程式による梁のたわみ算定 4階の微分方程式による様々な梁のたわみ算定ができる
13週 2階の微分方程式による梁のたわみ算定説明 2階の微分方程式による梁のたわみ算定について理解できる
14週 2階の微分方程式による梁のたわみ算定 2階の微分方程式による様々な梁のたわみ算定ができる
15週 弾性荷重法も含めたたわみ算定のまとめ たわみ式とたわみ計算のまとめをする
16週 後期試験の返却と解説 後期の理解度を試験で確認する

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学建設系分野構造断面1次モーメントを理解し、図心を計算できる。4
断面2次モーメント、断面係数や断面2次半径などの断面諸量を理解し、それらを計算できる。4
各種静定ばりの断面に作用する内力としての断面力(せん断力、曲げモーメント)、断面力図(せん断力図、曲げモーメント図)について、説明できる。4
トラスの種類、安定性、トラスの部材力の意味を説明できる。4
節点法や断面法を用いて、トラスの部材力を計算できる。4
影響線を利用して、支点反力や断面力を計算できる。3
影響線を応用して、与えられた荷重に対する支点反力や断面力を計算できる。3後5,後6,後7
ラーメンの支点反力、断面力(軸力、せん断力、曲げモーメント)を計算し、その断面力図(軸力図、せん断力図、曲げモーメント図)を描くことができる。3
応力とその種類、ひずみとその種類、応力とひずみの関係を理解し、弾性係数、ポアソン比やフックの法則などの概要について説明でき、それらを計算できる。3
断面に作用する垂直応力、せん断応力について、説明できる。3
はりのたわみの微分方程式に関して、その幾何学的境界条件と力学的境界条件を理解し、微分方程式を解いて、たわみやたわみ角を計算できる。4後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
圧縮力を受ける柱の分類(短柱・長柱)を理解し、各種支持条件に対するEuler座屈荷重を計算できる。3後2,後3,後4
建築系分野構造力の定義、単位、成分について説明できる。4
力のモーメントなどを用い、力のつり合い(合成と分解)に関する計算ができる。4
断面一次モーメントを理解し、図心を計算できる。4
断面二次モーメント、断面相乗モーメント、断面係数や断面二次半径などの断面諸量を計算できる。4
弾性状態における応力とひずみの定義、力と変形の関係を説明でき、それらを計算できる。4後2,後4
曲げモーメントによる断面に生じる応力(引張、圧縮)とひずみの関係を理解し、それらを計算できる。4
はり断面内のせん断応力分布について説明できる。4
骨組構造物の安定・不安定の判定ができる。4
トラスの種類を説明でき、トラスの部材力の意味について説明できる。4
節点法や切断法を用いて、トラスの部材応力を計算できる。4
はりの支点の種類、対応する支点反力、およびはりの種類やその安定性について説明できる。4
はりの断面に作用する内力としての応力(軸力、せん断力、曲げモーメント)、応力図(軸力図、せん断力図、曲げモーメント図)について説明することができる。4
応力と荷重の関係、応力と変形の関係を用いてはりのたわみの微分方程式を用い、幾何学的境界条件と力学的境界条件について説明でき、たわみやたわみ角を計算できる。4後9,後10,後12,後13,後14
不静定構造物の解法の基本となる応力と変形関係について説明できる。3
はり(単純ばり、片持ちはり)の応力を計算し、応力図を描くことができる。4
圧縮力を受ける柱の分類(短柱・長柱)が出来、各種支持条件に対するEuler座屈荷重を計算できる。3
偏心圧縮柱の応力状態を説明できる。3
ラーメンやその種類について説明できる。4
ラーメンの支点反力、応力(軸力、せん断力、曲げモーメント)を計算し、その応力図(軸力図、せん断力図、曲げモーメント図)をかくことができる。4

評価割合

試験課題合計
総合評価割合1000100
専門的能力1000100
基礎的能力000
分野横断的能力000