鉄筋コンクリート工学

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 平成29年度 (2017年度)
授業科目 鉄筋コンクリート工学
科目番号 0091 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 建築社会デザイン工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 1
教科書/教材 プリント配布
担当教員 浦野 登志雄,松家 武樹

到達目標

1.コンクリート構造に関する用語や記号を理解し、説明することができる。
2.RC構造物設計のためのコンクリートと鉄筋の基本事項が説明できる。
3.RC断面の中立軸が計算できる。
4.RC部材の応力計算、断面算定ができる。
5.RC部材の破壊メカニズムを説明できる。
6.許容応力度設計法など各種設計法の概要を説明することができる。
7.PC部材の基礎を理解し、説明することができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
RC構造物設計のためのコンクリートと鉄筋の基本事項が説明できる。コンクリートおよび鉄筋の基本事項について、テキスト以外に講義で取り上げた内容についても説明することができる。コンクリートおよび鉄筋の基本事項について、テキストに記載された要点を説明することができる。コンクリートおよび鉄筋の基本事項について、説明することができない。
RC部材の応力計算および断面算定ができる。RC部材の応力計算および断面算定について、計算できること以外に計算過程を理解し、説明することができる。RC部材の応力計算および断面算定について、計算を行うことができる。RC部材の応力計算および段名算定について、計算を行うことができない。
RC部材の破壊メカニズムを説明することができる。RC部材の破壊メカニズムについて、テキスト以外に講義で取り上げた内容についても説明することができる。RC部材の破壊メカニズムについて、テキストに記載された要点を説明することができる。RC部材の破壊メカニズムについて、説明することができない。
許容応力度設計法など各種設計法の概要を説明できる。許容応力度設計法など各種設計法について、テキスト以外に講義で取り上げた内容についても説明することができる。許容応力度設計法など各種設計法について、テキストに記載された要点を説明することができる。許容応力度設計法など各種石鹸法について、説明することができない。
PC構造物設計のための基本事項が説明できる。プレストレストコンクリートの基本事項について、テキスト以外に講義で取り上げた内容についても説明することができる。プレストレストコンクリートの基本事項について、テキストに記載された要点を説明することができる。プレストレストコンクリートの基本事項について、説明することができない。

学科の到達目標項目との関係

本科到達目標 3-3 説明 閉じる

教育方法等

概要:
建設構造物に使用されるコンクリートと鉄筋の材料特性、複合材料である鉄筋コンクリート(RC)部材やプレストレストコンクリート(PC)部材の力学的特性および断面設計法について学ぶ。
授業の進め方・方法:
本講義は、コンクリート構造物を構成する部材の応力計算および断面算定について学び、理解を深める目的で項目ごとに問題演習を行う。また、本科開講科目「建設材料」および「建築一般構造」に関連して、鉄筋コンクリート構造の構法および施工の要点についても補足する。前期は松家教員が担当し、後期は浦野教員が担当する。
注意点:
本科目は2単位科目であるため、規定授業時数は60時間である。
鉄筋コンクリートを学ぶにあたっては、単に公式を暗記するのではなく、公式が理論的あるいは実験的に導かれている過程について理解することが重要である。
講義内容に関する質問は、オフィスアワーを利用して教員室に来室して下さい。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 受講上の注意、科目概要説明 本科目と建設業との関わりについて理解し、説明することができる。
2週 コンクリート構造の設計法 コンクリート構造の各種設計法(許容応力・限界状態)を理解し、説明することができる。
3週 鉄筋とコンクリートの付着特性と一般構造細目 鉄筋とコンクリートの付着機構を理解し、説明することができる。
4週 曲げを受けるRC部材の力学的挙動と破壊形式 曲げを受けるRC部材の力学的挙動および破壊形式を理解し、説明することができる。
5週 単鉄筋長方形断面の中立軸・応力度算定と基本設計(1) 単鉄筋長方形断面の基本設計を理解し、説明することができる。
6週 単鉄筋長方形断面の中立軸・応力度算定と基本設計(2) 同上
7週 腹鉄筋長方形断面の中立軸・応力度算定と基本設計 腹鉄筋長方形断面の基本設計を理解し、説明することができる。
8週 【中間試験】
2ndQ
9週 中間試験の答案返却・解説 講義内容で理解できていない部分を抽出し、理解を深める。
10週 前期講義の復習と等価応力ブロック法による終局曲げ耐力 等価応力ブロック法について理解し、説明することができる。
11週 RC部材のせん断挙動 RC部材のせん断挙動を理解し、説明することができる。
12週 曲げひび割れ幅の算定と鋼材の腐食に対する照査 曲げひび割れ幅の算定方法と鋼材の腐食に対する照査について理解し、説明することができる。
13週 RC部材のたわみ RC部材のたわみの算定方法を理解し、説明することができる。
14週 プレストレストコンクリートの使用性・安全性に関する照査 プレストレストコンクリート部材の使用性・安全性を理解し、説明することができる。
15週 【定期試験】
16週 定期試験の答案返却・解説 講義内容で理解できていない部分を抽出し、理解を深める。
後期
3rdQ
1週 構造物に作用する荷重・外力 固定荷重、積載荷重、地震力、土圧など、構造物に作用する荷重・外力について説明できる。
2週 構造計算の概要
一次設計と二次設計の概要、許容応力度、保有水平耐力、限界耐力計算の概要について説明できる。
3週 構造計画 鉄筋コンクリート建築物の構造計画の要点について説明できる。
4週 鉄筋コンクリートの施工
 視聴覚教材を使用する
鉄筋コンクリートの成り立ち、材料特性、構造計画について、視聴覚教材から学んだ内容について説明できる。
5週 鉄筋コンクリート問題演習(1)
 鉄筋コンクリートの構成材料
前期に履修した内容に基づいて、鉄筋およびコンクリートなどの構成材料について問題演習を行い、8割以上の正答率を到達目標とする。
6週 鉄筋コンクリート問題演習(2)
 荷重・外力
固定荷重、積載荷重、地震力、土圧など荷重・外力について問題演習を行い、8割以上の正答率を到達目標とする。
7週 鉄筋コンクリート問題演習(3)
 構造計算の概要、構造計画
構造計算の概要、構造計画について問題演習を行い、8割以上の正答率を到達目標とする。
8週 【中間試験】
4thQ
9週 中間試験の答案返却・解説
講義内容で理解できていない部分を抽出し、理解を深める。
10週 鉄筋コンクリート梁の断面設計 主筋・あばら筋の役割、釣り合い鉄筋比の意味など、鉄筋コンクリート梁の断面設計理論について説明できる。
11週 鉄筋コンクリート柱の断面設計 主筋・帯筋の役割、曲げ破壊とせん断破壊の特徴、柱の断面設計理論について説明できる。
12週 鉄筋コンクリートスラブ・耐震壁の断面設計 スラブおよび耐震壁の断面設計理論について説明できる。
13週 鉄筋コンクリート問題演習(4)
 柱・梁の断面設計
建築士、施工管理技士、コンクリート主任技士などの資格試験問題の演習を行い、8割以上の正答率を到達目標とする。
14週 鉄筋コンクリート問題演習(5)
 スラブ・耐震壁・その他
建築士、施工管理技士、コンクリート主任技士などの資格試験問題の演習を行い、8割以上の正答率を到達目標とする。
15週 【定期試験】
16週 定期試験の答案返却・解説 講義内容で理解できていない部分を抽出し、理解を深める。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学建設系分野材料材料の特徴・分類を説明できる。2前1
材料の力学的性質及び物理的性質を説明できる。2前1
金属材料の分類を説明できる。2前3
金属材料の一般的性質を説明できる。2前3
鉄鋼製品の用途・規格を説明できる。2前3
コンクリートの長所、短所について、説明できる。2前2
ひびわれを理解している。2前12
耐久性を理解している。2前1
コンクリート構造物を構成する材料の性質を説明できる。2前1
鉄筋コンクリートの特徴を説明できる。2前1
複合材料としてのコンクリート構造を説明できる。2前1
一般構造細目を説明できる。2前3
限界状態設計法と許容応力度設計法を説明できる。2前2
使用限界状態を説明できる。2前2
コンクリート構造物の設計方法を理解している。2前2
コンクリート構造物の設計方法を説明できる。2前2
単鉄筋コンクリートはりを説明できる。2前5,前6,前13
複鉄筋コンクリートはりを理解している。2前7,前13
曲げモーメントを受ける部材(使用限界状態)を説明でき、計算できる。2前5,前6
曲げモーメントを受ける部材(終局限界状態)を説明でき、計算できる。2前10
せん断を受ける部材を説明でき、計算できる。2前11
せん断応力(終局限界状態)を説明できる。2前11
プレストレストコンクリートの特徴、分類について、説明できる。2前14
プレストレストコンクリートの基礎(使用限界状態・終局限界状態など)を理解している。2前14
プレストレストコンクリートの設計を理解している。1前14
コンクリート及び鋼材の劣化を説明できる。2前12
構造力の定義、単位、要素について説明できる。2前5,前6
力のモーメント、偶力のモーメントについて理解している。2前5,前6
力の合成と分解について理解し、計算できる。2前5,前6
力のつり合いについて理解している。2前5,前6
構造物に作用する荷重の種類について理解している。1前5,前6
断面1次モーメントを理解し、図心を計算できる。2前5,前6
断面2次モーメント、断面係数や断面2次半径などの断面諸量を理解し、それらを計算できる。2前5,前6
はりの支点の種類、対応する支点反力を理解し、はりの種類やその安定性について説明できる。2前5,前6
はりに作用する外力としての荷重の種類を理解している。2前5,前6
はりの断面力と荷重の相互関係を理解している。2前5,前6
各種静定ばりの断面に作用する内力としての断面力(せん断力、曲げモーメント)、断面力図(せん断力図、曲げモーメント図)について、説明できる。2前5,前6
はりにおける変形の基本仮定を理解し、断面力と応力(軸応力、せん断応力、曲げ応力)について説明でき、それらを計算できる。2前5,前6
はりに生じる応力から、簡単なはりの設計ができる。2前5,前6
応力とその種類、ひずみとその種類、応力とひずみの関係を理解し、弾性係数、ポアソン比やフックの法則などの概要について説明でき、それらを計算できる。2前4,前13
応力とその種類、ひずみとその種類、応力とひずみの関係(フックの法則、弾性係数、ポアソン比)について説明でき、それらを活用できる。2前4,前13
鋼材の力学的性質について理解している。2前4,前13
曲げモーメントによる断面に生じる応力(圧縮、引張)とひずみを理解し、それらを計算できる。2前4,前13
断面に作用する垂直応力、せん断応力について、説明できる。2前11
垂直応力とせん断応力について説明できる。2前11
主応力と主軸について説明できる。1前11
モールの応力円を利用して、構造物内部の応力状態を説明できる。1前11
平面応力と平面ひずみについて説明できる。2前5,前13
弾性・塑性の概念について説明できる。2前5
橋梁に作用する荷重の分類(例、死荷重、活荷重)を説明できる。2前5,前6,前13
建築系分野材料コンクリートの強度(圧縮、引張、曲げ、せん断)の関係について説明できる。2前4
応力とひずみの関係について説明できる。2前4
弾性係数の意味について説明できる。2前4
クリープ現象と構造物に対する影響について理解している。2前14
乾燥収縮について理解している。2前14
中性化現象と鉄筋の腐食の関係について説明できる。2前12
塩害現象と抑制方法について説明できる。2前12
構造力の定義、単位、成分について説明できる。1前2
力のモーメント、偶力のモーメントについて理解している。1前2
力の合成と分解について理解し、計算できる。1前2
力のつり合いについて理解している。1前2
力の単位系について理解し、単位系の相互変換が計算できる。1前2
断面一次モーメントを理解し、図心を計算できる。2前5,前6
断面二次モーメント、断面相乗モーメント、断面係数や断面二次半径などの断面諸量を計算できる。2前5,前6
弾性状態における応力とひずみの定義、力と変形の関係を説明でき、それらを計算できる。2前5,前6
曲げモーメントによる断面に生じる応力(引張、圧縮)とひずみの関係を理解し、それらを計算できる。2前5,前6
はり断面内のせん断応力分布について説明できる。2前5,前6
鉄筋コンクリート造(ラーメン構造、壁式構造、プレストレストコンクリート構造など)の特徴・構造形式について説明できる。2前4
鉄筋材料の種類・性質について説明できる。2前4
コンクリート材料の種類・性質について説明できる。2前4
コンクリートおよび鉄筋について説明できる。2前4
断面内の応力の分布について説明できる。2前5,前6
許容曲げモーメントを計算できる。2前5,前6
主筋の算定ができる。2前5,前6
釣合い鉄筋比について説明ができる。2前5,前6
中立軸の算定ができる。2前5,前6
許容せん断力を計算できる。2前5,前6
せん断補強筋の算定ができる。2前11
終局曲げモーメントについて説明できる。2前10
終局剪断力について説明できる。2前11

評価割合

試験合計
総合評価割合100100
基礎的能力00
専門的能力100100
分野横断的能力00