地形情報処理

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 平成29年度 (2017年度)
授業科目 地形情報処理
科目番号 0115 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 建築社会デザイン工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 高木方隆著「国土を測る技術の基礎 ―地理空間情報技術者を目指す人のために―」日本測量協会
担当教員 入江 博樹

到達目標

1. □緯度経度高度で指定された場所を電子地図で表示でき、また、電子地図から緯度・経度・高度を求めることができる。
2. □同一地点の座標値を異なる座標系で表記するために、数値計算で導出できる。
3. □GPS原理を説明でき、GPS測位での誤差要因について説明できる。
4. □RTK-GPSと単独測位についてそれぞれの違いを説明できる。
5. □RTK-GPSを利用して指定された2点間の距離と方位を導出することができる。
6. □GISを利用して、デジタル地図上に記号や図形等を描画することができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
1.GPS測位/測量の原理とその特徴を説明できる。球の方程式から単独測位の演算式を導くことができる。RTK-GPSに必要なRINEX様式データを用意できる。単独測位、相対測位(RTK-GPS測位、スタティク測位)の原理と特徴をそれぞれ説明できる。GPS測位に必要な衛星の数が分からない。GPSの利点や欠点、利用可能な場所等を説明できない。
2.単独測位の原理を計算で確かめることができる。測位原理の計算式から、PCの計算ツール(例えば,ExcelやC言語)を使って、演算結果を導くことができる。あらかじめ用意されたExcelシートに必要な数値を入力し、要求された演算結果を求めることができる。用意されたExcelシートを使って、測位演算ができない
3.デジタル地図上に任意の記号や図形を表示させることができる。Google Earth上に、住所リストから任意の記号や説明文を記すことができる。建築構造物などを描くことができる。Google EarthやArcGISなどのGISツールをつかって、任意の地点の位置、2点間の距離や面積を算出ことができる。Google Earthを使って任意の値手の緯度経度を調べることができない。
4.地面からの高さについての正しい取り扱いができる。GPSで得られた3次元情報とその地域のジオイドモデルから、標高を推定することができる。世界測地系と標高の取り扱いを理解している。楕円体高とジオイド高さから標高の関係を図にすることができる。ジオイドと準拠楕円体高の関係を理解していない。
5.座標の変換の計算式を理解し、任意の地点を異なる座標系での相互変換ができる。座標系の変換式をExcelシートに記述することができ、任意の地点の座標系を変換するための計算式をつくることができる。任意の地点の緯度経度と高さから、Excelシートを使って、世界測地系のXYZ値を求めることができる。世界測地系と地球の重心と地軸の関係を説明できない。

学科の到達目標項目との関係

本科到達目標 2-1 説明 閉じる
本科到達目標 2-2 説明 閉じる
本科到達目標 3-3 説明 閉じる

教育方法等

概要:
GIS(Geographic Information System)に不可欠な測位/測量技術について、電子工学と情報理論の領域からアプローチする。人工衛星を用いた位置計測システムであるGPS(Global Positioning System)についてその原理と応用技術を学ぶ。GPS測位の原理のとその限界についての知識を蓄える。
授業の進め方・方法:
前期は、地図とその取り扱い方を学び、GPSの原理とその電子的な基礎的な技術について学ぶ。後期は、精密測量に用いられるRTK-GPSの原理について学習し、GISに関する基本的な技術や法律を学ぶ。講義と並行してパソコンを使った確認作業を行う。GPS情報を電子地図にプロットして、地理情報として活用する。Google MapsやGoogle earth等のインターネット情報を処理するための技術を身につける。さらに、精密な測量に利用されるRTK-GPSの原理を知り、それらの機器の取り扱い方と、取得したデータの取り扱い方ついて学習する。

(予習)教科書と配布プリントは事前に目を通しておく。
(授業)実際に利用する時の状況を想定しながら、話を聞くと良い。
(復習)授業後には、ノートを整理して、不足する知識がないかを確認する。
(テスト)テスト前までに、断片的な情報をまとまった知識になるように整理する。一夜漬けは禁止。
注意点:
GPSはとても便利な装置です。その物理的な原理を理解した上で活用することが望ましいです。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 地形情報処理ガイダンス (GISとGPS/GNSS)
2週 地図の歴史とその取り扱い方
3週 座標系/時刻系
4週 座標系の変換
5週 インターネットを利用した地理情報活用(1)
6週 インターネットを利用した地理情報活用(2)
7週 インターネットを利用した地理情報活用(3)
8週 〔中間試験〕
2ndQ
9週 テスト返却とその回答.地理情報の応用
10週 GPSの原理と基礎的な数学知識
11週 GPSの測位演算(1)
12週 GPSの測位演算(2)
13週 GPSの測位演算(3)
14週 GPS測位における誤差要因
15週 〔前期末試験〕
16週 前期末試験の返却と解説
後期
3rdQ
1週 GPSを使った精密測量と電子基準点
2週 RTK-GPSの機器や処理ソフトの取り扱い
3週 RTK-GPSの原理
4週 RTK−GPSによるデータ処理(1)
5週 RTK−GPSによるデータ処理(2)
6週 RTK−GPSによるデータ処理(3)
7週 RTK−GPSによるデータ処理(4)
8週 〔中間試験〕
4thQ
9週 テスト返却と回答。GPSの抱える問題点と未来
10週 地理情報に関する社会的な利用
11週 地理情報に関する法規
12週 GISとは?
13週 GISのデータ構造(空間データ構造)
14週 GISのデータ構造(数値地図)
15週 〔後期学年末試験〕
16週 学年末試験の返却と解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学建設系分野測量距離の種類を説明できる。3前3,前4
平坦地や傾斜地の距離測量を説明でき、測量結果から計算ができる。3前3,前4
地形図を理解している。3前2,前5,前6
地形測量の方法を説明できる。3前2,前6
等高線の性質とその利用について、説明できる。3前2,前5,前6
計測プラットフォームや計測センサーなどを理解している。2
放射・反射の理論や衛星データを理解している。1
測量に用いる座標系を説明できる。2前3,前4
測量における誤差の種類を説明でき、これを考慮した計算ができる。2前11,前12,前13,前14
最小二乗法の原理を説明でき、これを考慮した計算ができる。2前11,前12,前13,前14
水理河川の分類と流域について、説明できる。1前5
情報処理ワードプロセッサソフウェアトによる文書の作成ができる。3前1
ワードプロセッサソフトウェアを利用し簡単な作画ができる。3前1
表計算ソフトウェアの基本的な使い方を理解している。3前1
表計算ソフトウェアにより基本的なグラフが作成できる。3前1
プレゼンテーションソフトウェアの基本的な使い方を理解している。3前1
コンピュータを構成するハードウェア・ソフトウェアについて説明できる。2前1
プログラム言語の利用法について説明できる。2前1
いろいろなコンピュータの利用について説明できる。2前1
製図CADソフトウェアの機能を説明できる。3
図形要素の作成と修正について、説明できる。3
画層の管理を説明できる。3
図面の出力(印刷)ができる。3
建築系分野環境・設備建設地と太陽位置について説明できる。1前7
時間別の日影図を書くことが出来る。1前7
情報処理表計算ソフトウェアの基本的な使い方を理解している。3前11,前12,前13
表計算ソフトウェアにより基本的なグラフが作成できる。3前11,前12,前13
いろいろなコンピュータの利用について説明できる。3前5,前6,前7
コンピュータを用いたデータ処理方法について説明でき、簡単なデータ処理ができる。3前5,前6,前7
設計・製図ソフトウェアを用い、各種建築図面を作成できる。3前5,前6,前7
分野別の工学実験・実習能力建築系分野【実験・実習能力】建築系【実験実習】建築生産で利用されている測量(例えば、レベル、トランシット、トータルステーション、GPS測量など)について機器の取り扱いができる。3前11,前12,前13,前14,後4,後5,後6,後7
測量の結果を整理できる。3前11,前12,前13,前14,後4,後5,後6,後7

評価割合

試験レポート相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80200000100
基礎的能力4010000050
専門的能力4010000050
分野横断的能力0000000