科学技術と現代

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 科学技術と現代
科目番号 0132 科目区分 一般 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 建築社会デザイン工学科 対象学年 4
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 河上正秀・小林秀樹ほか 『変容する社会と人間』 北樹出版 (必要に応じて補足資料を配布)
担当教員 永野 拓也

到達目標

1.科学の正当性の起源と技術との関わりについて理解する。
2.科学技術の方向性と限界について理解する。
3.科学技術とわたしたちの日常的な関わりについて理解する。
4.主体的に問題を考察し,自分の考えを述べることができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
1.科学の正当性の起源と技術との関わりについて理解する。科学の正当性の思想的起源と技術との関わりについて、授業での解説内容を理解するとともに、自分の意見を述べることができる。科学の正当性の思想的起源と技術との関わりについて、授業での解説内容を知識として修得し、説明できる。科学の正当性の思想的起源と技術との関わりについて説明することができない。
2.科学技術の方向性と限界および技術者の責任について理解する。科学技術の方向性と限界および技術者の責任について、授業での解説内容を理解するとともに、自分の意見を述べることができる。科学技術の方向性と限界および技術者の責任について、授業での解説内容を理解し、説明することができる。科学技術の方向性と限界および技術者の責任について説明することができない。
3.科学技術とわたしたちの日常的な関わりについて理解する。科学技術の発展によってわたしたちの日常の社会的関係にもたらされる変容と、維持すべき基礎的な社会的関係の性格について理解し、自分の意見を述べることができる。科学技術の発展によってわたしたちの日常の社会的関係にもたらされる変容と、維持すべき基礎的な社会的関係の性格について理解し,説明することができる。科学技術の発展によってわたしたちの日常の社会的関係にもたらされる変容と、維持すべき基礎的な社会的関係の性格について説明することができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
現代社会が科学技術に依存し支えられる度合いが深まるにつれ、技術者の責任と役割は大きくなっている。本科目では科学技術への信頼の根拠、その成果と現代社会への影響を理解し、科学技術の役割と限界について考察することを通じて、技術者としての責務について自覚することを目標とする。
授業の進め方・方法:
主として講義による。具体的な問題について受講者が自らの問題として考えるためにグループディスカッション等も予定している。
注意点:
授業を通じて基本的な知識を得る。また新聞などの各種メディアを通じて主体的に情報を集め、現代社会の様々な問題・私たちの課題について理解することに務める。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ガイダンス:本科目の内容について 現代社会における科学技術の重要性を把握し、技術者の役割や責務について学ぶ意義を理解し,説明できる
2週 科学の正当性:機械としての自然・利用対象としての自然 自然の数理的取り扱いの由来と自然の利用の関係、この関係のもとで科学が自然利用としての技術を正当化する状況について理解し、説明できる。
3週 社会によって条件づけられる「科学の正当性」 科学技術の発展は絶えず社会に準拠することで方向づけられること、しかし科学技術がその方向のもとで社会に及ぼす影響を検知し方向修正することが科学技術そのものにとってはむつかしいことを理解し、説明できる。
4週 科学技術の方向性と限界(1)技術者の責任 技術者は企業の一員として雇用される場合、産業・経済から科学技術が被る制約を引き受ける存在となる一方、社会に対して安全性を担保する責任があり、ジレンマに陥りやすいことを理解し、説明できる。
5週 科学技術の方向性と限界(2)リスク評価 科学技術にとって、確率論を用いたリスク評価という手法が、具体的かつ安全な体制を定めるうえで重要であることを理解し、説明できる。
6週 科学技術の方向性と限界(3)リスク評価の限界 リスク評価の困難な場合として、事象の特性、評価者の先入観が挙げられること、科学技術が自認しにくい先入観ゆえにリスク評価が絶対無謬とみなされうることを理解し、説明できる。
7週 ディスカッション 前半の講義内容の主要な論点を論題として、具体的な事例を提示し、自分の考えをまとめることができる。
8週 後期前半の振り返り
小論文演習
前半の学習内容について、自分自身の理解度を確認する。自分の考えをまとめ,小論文を作成することができる。
4thQ
9週 技術構成的な社会(1) 二種類の人間関係 対峙的な人間関係と鳥瞰的な人間関係、および両者と科学技術の関わりについて理解し、説明できる。
10週 技術構成的な社会(2) データサイエンスやAIがもたらす社会の変化 人間関係の鳥瞰的な展望が情報技術、通信機器の発展を促し、生活を合理化するとともに個人間の関係を全体化すること、この方向性はアプリを通してビッグデータを集積し、AIを稼働してニーズの高い商品・サービスを提供する情報産業によって加速し、生活が快適化するととものに人々の欲求が誘導されるようになることを を理解し、説明できる。
11週 客観的身体と現象的身体 測定可能なメカニズムとしての身体と、運動の内的な認知の連なりとしての身体の関係を、鳥瞰的な人間関係と対峙的な人間関係に関連づけて理解し、説明できる。
12週 技術の中立性・媒介の地位・みえない領域 「使用者を問わない技術の中立性」という考え方の問題点、媒介としての技術は目立たなくなるほうが有効であること、技術には明示されない背後があることについて理解し、説明できる。
13週 強化と共感 技術を用いて自分の能力を向上させようとすることの社会的な観点からの問題点と、対峙的な関係の拠りとなる他者への関わりについて理解し、説明できる。
14週 ディスカッション 対峙的関係を復権させる技術はあるか:人間らしい知的活動とAIの接点を探る ここまでの講義内容を踏まえて、媒介として利用されるのではなく対峙によって人間の関与を引き出す技術製品がないか、またニーズの分布を割り出して人々の欲求を誘導するだけではなく、対峙的なかかわりを推進するようなAIの用法がないかどうかを調査し、自分の考えを述べることができる。
15週 後期後半の振り返り
小論文演習
講義全体を通して技術者の役割,責務等について考察し、主張を提示する。自分の考えをまとめ,小論文を作成することができる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史説明責任、製造物責任、リスクマネジメントなど、技術者の行動に関する基本的な責任事項を説明できる。3後1,後4,後5,後6,後7,後8,後14,後15
現代社会の具体的な諸問題を題材に、自ら専門とする工学分野に関連させ、技術者倫理観に基づいて、取るべきふさわしい行動を説明できる。3後1,後3,後4,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後13,後14,後15
技術者倫理が必要とされる社会的背景や重要性を認識している。3後1,後4,後5,後6,後7,後8,後10,後13,後14,後15
社会における技術者の役割と責任を説明できる。3後1,後4,後5,後6,後7,後8,後10,後11,後12,後13,後14,後15
国際社会における技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。3後1,後2,後4,後5,後7,後8,後13,後14,後15
過疎化、少子化など地方が抱える問題について認識し、地域社会に貢献するために科学技術が果たせる役割について説明できる。3後1,後4,後6,後7,後8,後14,後15
知的財産の社会的意義や重要性の観点から、知的財産に関する基本的な事項を説明できる。3後1,後4,後7,後8,後14,後15
知的財産の獲得などで必要な新規アイデアを生み出す技法などについて説明できる。3後1,後4,後7,後8,後14,後15
技術者の社会的責任、社会規範や法令を守ること、企業内の法令順守(コンプライアンス)の重要性について説明できる。3後1,後4,後6,後7,後8,後14,後15
技術者を目指す者として、諸外国の文化・慣習などを尊重し、それぞれの国や地域に適用される関係法令を守ることの重要性を把握している。3後1,後4,後6,後7,後8,後9,後10,後12,後13,後14,後15
全ての人々が将来にわたって安心して暮らせる持続可能な開発を実現するために、自らの専門分野から配慮すべきことが何かを説明できる。3後1,後4,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
科学技術が社会に与えてきた影響をもとに、技術者の役割や責任を説明できる。3後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15

評価割合

レポート発表その他合計
総合評価割合80200000100
基礎的能力80200000100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000