概要:
前期は,青年期における自己形成と人間としての生き方について理解を深めさせるとともに,自らの問題として思索を深めさせる。自己,他者および社会との関わりを自覚するとともに,自らの人格形成に務める意欲を高め,以て自己の確立を促す。また,科学技術と社会,自然との関わりを意識し,人間としての生き方を意識させる。
後期は,現代社会の課題,国際社会に生きる人間として求められる基本的な知識を得させる。科学技術の発展とともに生じた種々の問題について理解させる。また,国際化の進展とともに生じた問題を理解させる。国際社会に生き,人類の課題解決を協働によって成し遂げるために必要となる,多様性の理解と尊重の態度を醸成するために,文化的・歴史的背景や宗教観の多様性について理解を得させる。
授業の進め方・方法:
主として講義による授業を行う。ただし,知識を獲得するだけでなく,考察し,表現するなど,言語を用いた思考力の向上を図る。
注意点:
まず,授業をしっかり聴いて,ノートを作成する。板書を写すだけでなく,口頭での説明のメモをとる習慣を身につけてください。
試験・レポートでは,「覚えている」だけでなく,「説明できる」「考えていることを表現できる」ということを求めています。それができるようにするための努力が勉強です。授業内容を暗記するのではなく,「何を問題にしているのか」「どのように考えられているのか」について,自分の言葉で説明できるよう練習することが必要です。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンス:哲学的思考について |
科目の概要について理解する 哲学とは何か,自然科学との違いについて説明できる
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2週 |
神話から哲学へ:世界の言語的意味構成 |
哲学の成立の流れを理解し,事象を説明する枠組みのひとつとしての哲学の特徴を説明できる
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3週 |
自然哲学(古代ギリシアの哲学1) |
初期ギリシア哲学の追求した問について説明できる
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4週 |
よく生きるということ(古代ギリシアの哲学2) |
ソクラテスの追求した問と倫理学の特徴について説明できる
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5週 |
認識と存在:普遍と個物(古代ギリシアの哲学3) |
プラトンのイデア論について,存在と認識の観点から説明できる
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6週 |
政治哲学と徳倫理学(古代ギリシアの哲学4) |
プラトンの政治哲学及びアリストテレスの徳倫理学について説明できる
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7週 |
ギリシア哲学と近代哲学 |
古代哲学で追及されていた問と近代以降の哲学的問題との類似点について説明できる。
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8週 |
〔中間試験〕 |
前半の授業内容について短答式及び論述式の問題で理解度を確認する
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2ndQ |
9週 |
倫理学の基本思想(1) 功利主義と義務論 |
功利主義と義務論について,具体的例を挙げながら説明できる。
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10週 |
倫理学の基本思想(2) 徳倫理学 |
徳倫理学の特徴とその重要性について理解できる。
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11週 |
自己形成と幸福:キャリア心理学,ポジティブ心理学 |
自己形成に関する近年の心理学的知見を理解し,自分に適用して説明できる。
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12週 |
現代における自由の諸問題 |
近代的自由の概念と現代社会における自由の問題について説明できる。
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13週 |
科学技術と自律:複雑性の増大と主体性の確立 |
科学技術の発達に伴う社会の複雑性増大という現象について説明できる。
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14週 |
科学技術の発達と現代社会 |
科学技術がもたらした正負の影響について理解し,具体例を挙げて説明できる。
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15週 |
科学技術の発達と倫理問題 |
科学技術の発達によってもたらされた倫理問題の特徴について説明できる。
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16週 |
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後期 |
3rdQ |
1週 |
近代思想(1) 経験論と合理論:近代科学の基盤 |
近代自然科学の基盤となるデカルトやベーコンの思想,近代的世界観について理解し,説明できる。
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2週 |
近代思想(2) 社会契約論:現代社会の基盤 |
ヨーロッパ市民革命の思想的基盤となった社会契約論について理解し,説明できる。
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3週 |
近代思想(3) 人格的存在と自由 |
カントの人格論について基本的考え方を理解し説明できる。
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4週 |
現代思想(1) 社会の近代化と人間の尊厳 |
近代化とともに生じた問題について,M.ウェーバーやK.マルクスらの考え方を理解し,説明できる。
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5週 |
現代思想(2) 自由と共同体 |
20世紀末の自由主義と共同体論の議論について,両者の考え方を理解し,説明できる。
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6週 |
応用倫理学(1) 生命倫理学と環境倫理学 |
生命倫理学と環境倫理学で議論される問題について理解し,説明できる。
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7週 |
応用倫理学(2) 情報倫理学と技術者の倫理 |
情報倫理学で議論される問題について理解し,説明できる。また,技術者の倫理的責任の背景について理解し,説明できる。
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8週 |
(中間試験) |
前半の授業内容について短答式及び論述式の問題で理解度を確認する
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4thQ |
9週 |
日本人の伝統的な人間観・自然観・宗教観 |
日本の伝統的な人間観や自然観,宗教観について理解し,説明できる。
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10週 |
さまざまな宗教 ユダヤ教,キリスト教,イスラム教他 |
世界的に影響のある宗教思想について理解し,説明できる。
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11週 |
文化的多様性と国際社会 |
文化的背景の差異によって生じる様々な問題について理解するとともに,多様性を承認,尊重する態度について考える。
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12週 |
国際社会の問題 |
現代社会が直面している種々の問題について理解し,説明できる。
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13週 |
持続可能な社会に向けて(1) MDGsとその背景 |
国際協調に基づき解決すべき問題について,ミレニアム開発目標が定められた背景を理解し,その成果について概要を理解し,説明できる。
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14週 |
自足可能な社会に向けて(2) SDGsと国際貢献 |
持続可能性の理念について理解し,国際協調に基づき達成すべき目標について理解し,説明できる。
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15週 |
持続可能な社会実現に対する科学技術の貢献 |
持続可能な社会の実現に対する科学技術の貢献例について知識を得て,科学技術が果たすべき役割について考える。
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16週 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 人文・社会科学 | 社会 | 地歴 | 産業活動(農牧業、水産業、鉱工業、商業・サービス業等)などの人間活動の歴史的発展過程または現在の地域的特性、産業などの発展が社会に及ぼした影響について理解できる。 | 1 | |
人間活動と自然環境との関わりや、産業の発展が自然環境に及ぼした影響について、地理的または歴史的観観点から理解できる。 | 2 | |
社会や自然環境に調和した産業発展に向けた現在までの取り組みについて理解できる。 | 2 | |
日本を含む世界の様々な生活文化、民族・宗教などの文化的諸事象について、歴史的または地理的観点から理解できる。 | 2 | |
国家間や国家内で見られる、いわゆる民族問題など、文化的相違に起因する諸問題について、地理的または歴史的観点から理解できる。 | 2 | |
文化の多様性を認識し、互いの文化を尊重することの大切さを理解できる。 | 2 | |
公民 | 哲学者の思想に触れ、人間とはどのような存在と考えられてきたかについて理解できる。 | 2 | |
諸思想や諸宗教において、自分が人としていかに生きるべきと考えられてきたかについて理解できる。 | 2 | |
諸思想や諸宗教において、好ましい社会と人間のかかわり方についてどのように考えられてきたかを理解できる。 | 2 | |
民主政治の基本的原理、日本国憲法の成り立ちやその特性について理解できる。 | 1 | |
資本主義経済の特質や財政・金融などの機能、経済面での政府の役割について理解できる。 | 1 | |
現代社会の政治的・経済的諸課題、および公正な社会の実現に向けた現在までの取り組みについて理解できる。 | 1 | |
地歴・公民 | 現代科学の考え方や科学技術の特質、科学技術が社会や自然環境に与える影響について理解できる。 | 2 | |
社会や自然環境に調和し、人類にとって必要な科学技術のあり方についての様々な考え方について理解できる。 | 2 | |
今日の国際的な政治・経済の仕組みや、国家間の結びつきの現状とそのさまざまな背景について理解できる。 | 2 | |
環境問題、資源・エネルギー問題、南北問題、人口・食糧問題といった地球的諸課題とその背景について理解できる。 | 2 | |
国際平和・国際協力の推進、地球的諸課題の解決に向けた現在までの取り組みついて理解できる。 | 2 | |
工学基礎 | 技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史 | 技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史 | 技術者倫理が必要とされる社会的背景や重要性を理解し、社会における技術者の役割と責任を説明できる。 | 2 | |
情報技術の進展が社会に及ぼす影響、個人情報保護法、著作権などの法律について説明できる。 | 2 | |
高度情報通信ネットワーク社会の中核にある情報通信技術と倫理との関わりを説明できる。 | 2 | |
環境問題の現状についての基本的な事項について把握し、科学技術が地球環境や社会に及ぼす影響を説明できる。 | 2 | |
国際社会における技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。 | 2 | |
知的財産の社会的意義や重要性の観点から、知的財産に関する基本的な事項を説明できる。 | 1 | |
社会性、社会的責任、コンプライアンスが強く求められている時代の変化の中で、技術者として信用失墜の禁止と公益の確保が考慮することができる。 | 2 | |
全ての人々が将来にわたって安心して暮らせる持続可能な開発を実現するために、自らの専門分野から配慮すべきことが何かを説明できる。 | 2 | |