水理学

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 水理学
科目番号 0140 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 建築社会デザイン工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 「水理学」 日下部重幸・壇和秀・湯城豊勝共著 コロナ社
担当教員 上久保 祐志

到達目標

1.水の物理的性質(表面張力、毛管現象)について説明することができる。
2.静止している流体の静水圧や全水圧、浮力を計算で求めることができる。
3.ベルヌーイの定理、連続方程式を用いることで、水路内の流量や流速を計算することができる。
4.運動量方程式を用いることで、流体中の物体や水路壁に作用する力を計算することができる。
5.層流・乱流の違いを理解することができる。
6.摩擦損失水頭・形状損失水頭を求めることで、エネルギー損失を考慮した水路での流体の流量や流速を計算できることができる。
7.堰から流出する流量を計算することができる。
8.開水路の定常流れについて,水路内の流速や流量を計算することができる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
1.水の物理的性質(表面張力、毛管現象)について説明することができる。水の物理的性質(表面張力、毛管現象)について説明することができ、計算によってそれらの現象を裏付けできる。水の物理的性質(表面張力、毛管現象)について説明することができる。水の物理的性質(表面張力、毛管現象)について説明することができない。
2.静止している流体の静水圧や全水圧、浮力を計算で求めることができる。静止している流体の静水圧や全水圧、浮力を計算で求めることができ,更に船舶等における排水量も計算に加味することができる.静止している流体の静水圧や全水圧、浮力を計算で求めることができる。静止している流体の静水圧や全水圧、浮力を計算で求めることができない。
3.ベルヌーイの定理、連続方程式を用いることで、水路内の流量や流速を計算することができる。ベルヌーイの定理、連続方程式を用いることで、水路内の流量や流速を計算することができ、実際の河川や管路への応用計算も実施することができる。ベルヌーイの定理、連続方程式を用いることで、水路内の流量や流速を計算することができる。ベルヌーイの定理、連続方程式を用いることで、水路内の流量や流速を計算することができない。
4.運動量方程式を用いることで、流体中の物体や水路壁に作用する力を計算することができる。 運動量方程式を用いることで、流体中の物体や水路壁に作用する力を計算することができる。また、運動量方程式を導くことができる。 運動量方程式を用いることで、流体中の物体や水路壁に作用する力を計算することができる。 運動量方程式を用いることで、流体中の物体や水路壁に作用する力を計算することができない。
5.層流・乱流の違いを理解することができる。 層流・乱流の違いを理解することができ、その特性ならびに適用範囲もレイノルズ数を用いて説明することができる。 層流・乱流の違いを理解することができる。層流・乱流の違いを理解することができない。
6.摩擦損失水頭・形状損失水頭を求めることで、エネルギー損失を考慮した水路での流体の流量や流速を計算できることができる。 摩擦損失水頭・形状損失水頭を求めることで、エネルギー損失を考慮した水路での流体の流量や流速を、マニングの式を絡めて計算できることができる。摩擦損失水頭・形状損失水頭を求めることで、エネルギー損失を考慮した水路での流体の流量や流速を計算できることができる。摩擦損失水頭・形状損失水頭を求めることで、エネルギー損失を考慮した水路での流体の流量や流速を計算できることができない。
7.堰から流出する流量を計算することができる。どのような形状の堰であっても,そこから流出する流量を計算することができる。四角堰および三角堰から流出する流量を計算することができる。四角堰から流出する流量を計算することができない。
8.開水路の定常流れについて,水路内の流速や流量を計算することができる. 開水路の定常流れについて,水路内の流速や流量について,等流・不等流の違いや,定常・非定常の違いについても理解しつつ計算することができる. 開水路の定常流れについて,水路内の流速や流量を計算することができる. 開水路の定常流れについて,水路内の流速や流量を計算することができない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
水理学は、河川・海岸・湖沼・地下水・用水排水システム・揚水における水の流動や波動現象に関わる力学的基礎を与える。水の力学的な基礎理論および工学的応用について学び、自然界に存在する水の現象的理解と解析能力を養う。
授業の進め方・方法:
教科書に沿って作成した「要点まとめプリント」を中心にプロジェクタを用い、流体、特に水についてその基本的性質を講義する。また、流体を扱う際には使用する定理や公式が数多く存在するために、その定理や式の持つ意味、扱う際の条件などを的確に把握できるようにする。
注意点:
授業の前に必ず予習をしておく。授業後は、学んだ内容の目的と背景をしっかりと確認しつつ,その応用と発展について確認し定着を図る。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 水の性質(水理学の役割と概説)
2週 水の性質(水の物理的性質と単位・次元) 水理学で用いる単位系を説明できる。
3週 静水力学(静水圧の強さと測定) 静水圧の表現、強さ、作用する方向について、説明できる。
4週 静水力学(全水圧) 平面と曲面に作用する全水圧の大きさと作用点を計算できる。
5週 静水力学(浮力とアルキメデスの原理) 浮力と浮体の安定を計算できる。
6週 流体力学の基礎方程式(連続の式) 完全流体における連続の式を説明できる。
7週 演習 前期前半の復習
8週 前期中間試験
2ndQ
9週 試験の返却と解説
10週 エネルギー保存則・ベルヌーイの定理(1) ベルヌーイの定理を説明でき、これを応用(ベンチュリーメータなど)した 計算ができる。
11週 エネルギー保存則・ベルヌーイの定理(2) ベルヌーイの定理を説明でき、これを応用(ベンチュリーメータなど)した 計算ができる。
12週 エネルギー保存則・ベルヌーイの定理(3) ベルヌーイの定理を説明でき、これを応用(ベンチュリーメータなど)した 計算ができる。
13週 運動量保存則(1) 運動量保存則を説明でき、これを応用した計算ができる。
14週 運動量保存則(2) 運動量保存則を説明でき、これを応用した計算ができる。
15週 演習 前期後半の復習
16週 試験の返却と解説
後期
3rdQ
1週 層流と乱流(レイノルズ数) 層流と乱流について、説明できる。
2週 層流と乱流(円管内の流速分布) 流体摩擦(レイノルズ応力、混合距離)を説明できる。
3週 管水路の定常流れ(平均流速公式) 菅水路における平均流速公式について説明できる。
4週 管水路の定常流れ(摩擦損失水頭) 摩擦損失について説明できる。
5週 管水路の定常流れ(形状損失水頭) 管水路の摩擦以外の損失係数について、説明できる。
6週 管水路の定常流れ(分流と合流) 各種の管路の流れが計算できる。
7週 演習 後期前半の復習
8週 前期中間試験
4thQ
9週 試験の返却と解説
10週 常流と射流(堰から流出する流量) 堰から流出する流量を計算で求めることができる。
11週 常流と射流(開水路の基礎) 比エネルギー、フルード数、常流と射流、限界水深(ベスの定理、ベランジェの定理)、跳水現象について、説明できる。
12週 開水路の定常流れ(開水路流れの基礎方程式) 比エネルギー、フルード数、常流と射流、限界水深(ベスの定理、ベランジェの定理)、跳水現象について、説明できる。
13週 開水路の定常流れ(開水路の等流) 開水路の等流(平均流速公式、限界水深、等流水深)について、計算できる。
14週 演習 後期後半の復習
15週 演習 1年間の復習
16週 試験の返却と解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学建設系分野水理水理学で用いる単位系を説明できる。4前2
静水圧の表現、強さ、作用する方向について、説明できる。4前3
平面と曲面に作用する全水圧の大きさと作用点を計算できる。3前4
浮力と浮体の安定を計算できる。3前5
完全流体の運動方程式(Eulerの運動方程式)を説明できる。4前6
連続の式を説明できる。4前6
ベルヌーイの定理を説明でき、これを応用(ベンチュリーメータなど)した 計算ができる。4前10,前11,前12
運動量保存則を説明でき、これを応用した計算ができる。4前13,前14
比エネルギー、フルード数、常流と射流、限界水深(ベスの定理、ベランジェの定理)、跳水現象について、説明できる。4後11,後12
層流と乱流について、説明できる。4後1
流体摩擦(レイノルズ応力、混合距離)を説明できる。3後2,後4
管水路の摩擦以外の損失係数について、説明できる。4後5
各種の管路の流れが計算できる。3後6
開水路の等流(平均流速公式、限界水深、等流水深)について、計算できる。3後13
開水路不等流の基礎方程式を説明できる。3後13

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合90100000100
基礎的能力0000000
専門的能力90100000100
分野横断的能力0000000