都市計画Ⅱ

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 都市計画Ⅱ
科目番号 0195 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 建築社会デザイン工学科 対象学年 5
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 【テキスト】プリント配布、スライド、国土交通省HP等
【参考書】ハンディブック土木、粟津清蔵、森北出版(1年次購入済)
みんなの都市計画、脇田祥尚、理工図書(3年都市計画Ⅰの教科書)
担当教員 橋本 淳也,柴田 祐,森山 学

到達目標

都市における「交通」「景観」について、土地利用と交通の密接な関係、景観の保全と環境形成の関係を知り、様々な施策やその計画・立案に関する手法について説明できるとともに、具体的な分析や提案を検討できることを目的とする。
具体的な到達目標をルーブリックに示す。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
【交通】交通流動調査と交通需要予測の手順ならびに手法を理解し,交通量を理論的に予測することができる.交通流動調査と交通需要予測の手順ならびに手法を詳しく説明でき,適切な手法で交通量を理論的に予測することができる.交通流動調査と交通需要予測の手順ならびに手法を理解し,将来交通量を算出することができる.交通流動調査と交通需要予測の手順,手法を説明できない.交通量を理論的に予測することができない.
【交通】交通流調査と交通流の様子を表す交通流率,交通密度,速度の関係から,交通現象を説明できる.交通流調査と交通流の様子を表す指標から,交通現象を説明することができ,その他の指標の算出などへ適用できる.交通流調査と交通流の様子を表す指標から,交通現象を説明することができる.交通流調査と交通流の様子を表す指標から,交通現象を説明することができない.
【交通】道路構造令に基づいた道路線形を提示できる道路構造令の規定の適用とその根拠をふまえ、地域の状況を踏まえた道路線形を描くことができる道路構造令の規定ををふまえた道路線形を描くことができる.道路構造令の規定をふまえた道路線形を描くことができない.
【計画】公共事業のプロジェクト評価である費用便益分析と環境アセスメントについて説明できる.公共事業のプロジェクト評価である環境アセスメントについて説明でき、簡単な費用便益分析を行うことができる.公共事業のプロジェクト評価である費用便益分析と環境アセスメントについて説明できる.公共事業のプロジェクト評価である費用便益分析と環境アセスメントについて説明でない.
【計画】数理計画法の代表的解法であるシンプレックス法や図解法を用いて解くことができる.線形計画問題を定式化でき,代表的解法であるシンプレックス法や図解法を用いて最適解を求めることができる.線形計画問題を代表的解法であるシンプレックス法や図解法を用いて解くことができる.数理計画法の代表的解法であるシンプレックス法や図解法を用いて解くことができない.
【景観】景観形成に関わる上で必要な基礎的考え方を理解することができる。景観に関する考え方を完全に理解し,それらを駆使して様々な景観を解説することができる。景観に関する考え方の一部を理解し,基本的な用語を用いて代表的な景観を説明することができる。景観に関する考え方を全く理解することができない。
【景観】周辺環境の違いを考慮し、より良いまちなみ景観を創造するために必要な景観計画手法について、基本的な理解ができる。住宅地,商業地,歴史的街並みなど周辺環境の違いを考慮した景観計画や修景の手法について理解することができる。周辺環境の違いを考慮した景観計画手法をいくつか理解理解することがきる。周辺環境の違いを考慮した景観計画手法について、全く理解することができない。
【景観】景観法や景観条例等の制度について理解することができる。景観法や景観計画,景観条例等の制度について、事例も含め基本的な内容を理解することができる。景観法や景観条例等の制度について、一部の内容を理解することができる。景観法や景観条例等の制度について理解することができない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 3-2 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 3-3 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 5-2 説明 閉じる

教育方法等

概要:
この科目は、都市の秩序ある発展のための具体的な施策について学ぶ都市計画系の科目である。
特に、ここ都市計画Ⅱでは、都市における社会・経済活動に不可欠な「交通」と秩序ある街を演出する「景観」に焦点をあて、人々が経済的、精神的、時間的に豊かな生活を送るための基盤となる都市の計画について学ぶものである。あわせて公共施策の計画策定や評価手法について学習する。
■交通:自動車交通を工学的に扱うための数学的表現を中心に講義し,交通事故や渋滞などの社会問題を認識しそれを解決する政策や技術的手法について講義する.
■計画:公共事業のプロジェクト評価手法や数理計画法など、計画策定プロセスについて講義する。
■景観:Gカレンは著書の中で「一つの建物は建築だが二つの建物はタウンスケープである」と述べている。建築は単体から街なみまでを創造する仕事であり、建築を学ぶ者にとって景観に関する知識を得る事は必要不可欠である。そこでこの講義では、建築物による景観形成や都市デザインに必要な専門的知識を習得することを目的に、主に住宅景観、商業建築を中心とした景観、歴史的建築を中心とした景観を対象として、景観に影響を与える建築要素の把握、景観計画・景観形成の手法、景観評価などについて講義を行う。
授業の進め方・方法:
【授業方法】
●交通・計画…橋本が担当
配布資料、スライドに沿った講義を行い、交通や計画策定に関する諸問題を解決する政策や技術的手法について学ぶ。
各回の授業内容に沿った簡単なレポートを提示し、これに基づき評価する。
普段の学習では以下の点に留意すること
・授業中に問題提起を行う.それに対する意見を述べることができるよう自学自習に取り組む.また,そのための情報収集も積極的に行う.
・日常の生活に欠かせない交通.現在は生活環境破壊,交通事故をはじめとした大きな社会問題となっています.この授業を通して皆さんと考えていきたいと思います.
・交通、計画の分野は幅広く,社会情勢により変化するため,新聞,インターネット等のメディアを通して主体的,積極的に情報収集することが必要です.
●景観…柴田が担当
配布資料、スライドに沿った講義を行い、各回の授業内容に沿った試験を学年末に実施する。この試験に基づき評価する。
景観を考える際に必要な知識・概念、景観形成やまちなみデザインの手法、景観行政や国内外でのさまざまな事例などについて学び、良好な景観を形成し、まちをデザインしていくために必要な知識の習得を目指す。教科書やプリントを用いて景観についての基本的な考え方の説明を行うと同時に、スライドなどにより事例の紹介も行い、理解が深まるよう考慮する。また、授業中に学生による景観に関する発表を行ってもらう。

【評価方法】交通・計画:レポート(50%) 景観:学年末試験(50%) とし、60点以上を合格とする
【関連科目】都市計画Ⅰ、建築計画Ⅰ・Ⅱ、応用数学、数学Ⅰ~Ⅲ

■自学について
(事前学習)
各週の講義資料、情報等をTeamsにて案内する。授業内容を確認の上,資料等の該当箇所に目を通しておくこと。
(事後学習)
配布プリントと教科書から要点をノートに整理してまとめる等によって,内容の深い理解に努めること。
課題を通して、授業内容の理解を深めるとあわせて、実践力を養うこと。実施にあたっては配布プリントやインターネット等を活用すること。
注意点:
交通も景観も、自分たちの生活と密接する身近な話題でもある。それだけに様々な情報が発信されている。ニュースや新聞などの社会情勢に関心をもち、知識を広げてもらいたい。

・ 景観は日常生活に密接に関連するものでもある。日々の生活で常に意識するよう心がける。
・ 各種メディアによって関連する情報が発信されることが多いので、注意深く情報収集に勤める。
・ 質問は随時受け付ける。メールも活用してもらいたい。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 都市と交通 交通に関する身近な問題に気づくことができる。
TDM、MM、Maas、バリアフリーなど都市交通の具体的施策について説明できる。
【課題1】 身の回りの問題について考える(論述)
2週 都市交通調査 主な都市交通調査であるの目的と方法、代表的調査であるパーソントリップ調査、道路交通センサスの概要について説明できる。
3週 交通需要予測 四段階推定法について説明できる。
【課題2】交通需要予測(解析)
4週 交通流理論 交通流の数学モデルの説明ができる。
【課題3】交通流モデル(解析)
5週 道路構造令 道路の役割と道路構造令の内容について説明できる。
【課題4】道路の線形設計(設計)
6週 プロジェクトの評価 費用便益分析について考え方を説明でき、これに関する計算ができる。 環境アセスメントについて説明できる。
【課題5】公共事業の評価(分析・事例調査)
7週 数理計画法 線形計画法(図解法、シンプレックス法)を説明できる。
【課題6 】 線形計画法
8週 景観形成の意義、建築と景観の関係 景観の意義を理解できる
4thQ
9週 景観の構造、景観に関するボキャブラリー 景観に関する基本的な考え方や捉え方を理解できる
10週 まちなみを造る建築群の特性 周辺環境に応じた景観の特徴を理解できる
11週 地域特性や周辺環境に応じた景観計画手法 周辺環境に応じた景観の特徴を理解できる
12週 景観法の概要と意義 景観に関する法制度等を理解できる
13週 景観計画、景観条例、建築デザインガイドラインについて 景観に関する法制度等を理解できる
14週 歴史的景観の特性 歴史的景観の特性を理解できる
15週 試験返却、解説 4thQの範囲の内容を理解できる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学建設系分野計画国土と地域の定義を説明できる。3
交通流調査(交通量調査、速度調査)、交通流動調査(パーソントリップ調査、自動車OD調査)について、説明できる。4後2
交通需要予測(4段階推定)について、説明できる。4後3
風景、景観と景観要素について、説明できる。3後8,後9,後10
交通流、交通量の特性、交通容量について、説明できる。4後4
性能指標に関する道路構造令の概要を説明できる。4後5
線形計画法(図解法、シンプレックス法)を説明できる。4後7
費用便益分析について考え方を説明でき、これに関する計算ができる。4後6
建築系分野計画・歴史景観形成・風景計画、用途・形態規制の仕組みについて説明できる。4後9
地区計画制度について説明できる。3後12
建築協定・緑化協定などの住民参加・協働のまちづくりの体制について説明できる。3後13
都市と農村の計画について説明できる。3後11

評価割合

試験発表レポート態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合50050000100
基礎的能力0000000
専門的能力50050000100
分野横断的能力0000000