応用物理

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 2018
授業科目 応用物理
科目番号 0219 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 建築社会デザイン工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 1
教科書/教材 原康夫著 「基礎物理学(第4版)」 学術図書
担当教員 森下 功啓,浦野 登志雄,入江 博樹

到達目標

現代の便利な生活を支えている自動車や電気機器などの基本的な原理である熱力学、剛体の回転運動と電磁気学について、正しく理解し、原理に基づくいろいろな現象や働きについて定量的に評価できる力を養う。工学エンジニアとして、これらの考え方を応用し、様々な問題に適応できる力を養う。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
1.エネルギーとしての熱の意味、エネルギーの保存を理解し説明できる。現実の多様なエネルギーについてエネルギー保存則を満たす事を計算できる。エネルギー保存則を理解して説明できる。エネルギー保存の考え方を説明できない。
2.理想気体の状態方程式を用いて気体の状態を決める事ができる。いろいろな状態にある現実的な気体に対して状態方程式を適用できる。状態方程式の意味を理解し説明できる。状態方程式の意味を説明できない。
3.熱放射および熱伝導による熱伝達を評価できる。熱伝導および熱放射の意味を理解し、現実の問題に適用できる。熱放射と熱伝導について熱伝達の原理が説明できる。熱放射と熱伝導について熱伝達の原理を説明できない。
4.熱機関とヒートポンプの原理を理解し評価できる。熱機関とヒートポンプの原理を理解し現実問題に適用できる。熱機関とヒートポンプの原理を理解し説明できる。熱機関とヒートポンプの原理を説明できない。
5.静電気の性質を理解し点電荷の間に働く力を計算できる。静電気の性質を理解し現実的な点電荷の間に働く力を計算できる。静電気の性質を理解し点電荷の間に働く力を説明できる。静電気の性質および、点電荷の間に働く力を説明できない。
6.いろいろな静電場の作る電場を計算できる。現実的な静電場の作る電場を計算できる。いろいろな静電場の作る電場を理解し説明できる。いろいろな静電場の作る電場を説明できない。
7.コンデンサーの容量や抵抗が計算できる。現実的なコンデンサーの容量や抵抗を計算できる。コンデンサーの容量や抵抗について理解し説明できる。コンデンサーの容量や抵抗について説明できない。
8.電流に働く磁気力を計算し、力の大きさと向きを計算できる。現実的な問題において電流に働く磁気力を理解し、力の大きさと向きを計算できる。電流に働く磁気力について理解し説明できる。電流に働く磁気力について説明できない。
9.電磁誘導の原理を理解し、誘導起電力の計算ができる。現実的な電磁誘導の場で、誘導起電力を理解し計算ができる。電磁誘導の原理を理解し、誘導起電力の説明ができる。電磁誘導の原理を説明できない。
10.力のモーメントと角運動量を理解し計算できる。力のモーメントと角運動量について計算し、説明できる。力のモーメントと角運動量について説明できる。力のモーメントと角運動量について説明できない。
11.角運動量保存則と面積速度について理解し、説明できる 角運動量保存則と面積速度について計算し、説明できる。角運動量保存則と面積速度について説明できる。角運動量と面積速度について説明できない。
12.剛体の釣り合い条件について理解し、計算できる。剛体の釣り合い条件について計算し、説明できる。剛体の釣り合い条件について説明できる。剛体の釣り合い条件について説明できない。
13.剛体の回転運動について理解し、計算できる。剛体の慣性モーメントと回転運動の法則について計算し、説明できる。剛体の慣性モーメントと回転運動の法則が説明できる。剛体の慣性モーメントと回転運動の法則について説明できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
自然現象を理解する場合,原子そのものを対象とする微視的な立場と,集合体として考える巨視的な立場がある.講義では,巨視的立場に立ち,現代の便利な生活を支えている自動車や電気機器などの基本的な原理である熱力学と電磁気学を取り扱う.熱力学では,熱伝達,熱機関,空調機の原理などを取り扱う.電磁気学では,静電気と電流の関係,電流の作る磁場,電流に働く磁気力から動力モーターの仕組み,また誘導起電力の原理から発電機の仕組みを理解させる.
授業の進め方・方法:
 教科書に沿って講義を進めるが,できる限り実験を取り入れ,応用例も示しながら理解させる.また問題練習を通して概念の理解とともに,物理量の概略の大きさを見積もることができるように指導する.また,単位の成り立ちから物理概念の体系を理解させる.
注意点:
・講義ごとに関連した課題を提示するので教科書や講義ノートを参考に自ら取り組むこと.授業ごとに復習し,深い理解ができるように心がけ,問題意識をもって授業に参加して欲しい.
・練習問題を自力で解いてみること.解答するだけに終ることなく,実際の身の回りの現象にも思いを馳せ,限られた法則からいろいろなことが説明できる面白さを実感して欲しい.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 熱とは何か? 熱と温度の違い。 エネルギーとしての熱の意味を理解し説明できる.
2週 熱の移動とプランクの放射法則 理想気体の状態方程式から,気圧,温度,体積の関係および気体のする仕事を計算できる.
3週 理想気体の状態方程式と気体分子運動論 熱伝導と放射について理解し,伝達されるエネルギーを見積もることができる.
4週 熱力学の第一法則 熱力学第一法則を理解しエネルギー保存測を説明できる
5週 熱力学の第二法則
熱の関与する現象は不可逆過程であることを理解し,説明できる.
6週 熱機関の効率とカルノーサイクルにおける仕事 仕事の最大効率を説明し計算できる.
7週 ヒートポンプ型空調機の性能、問題演習 ヒートポンプの原理を理解し計算ができる.問題解決に、原理や考え方を適用できる。
8週 問題演習
2ndQ
9週 〔中間試験〕
10週 試験解答,補足説明
回転運動と剛体の概略についての説明
力のモーメントを求めることができる。
11週 質点の回転運動 角運動量を求めることができる。また、角運動量保存則について理解し、具体的な例を挙げて説明できる。
12週 剛体の釣り合い 力が釣り合うための2つの条件について理解し、釣り合いに関する計算ができる。
13週 重心 重心に関する計算ができる。
14週 剛体の回転運動 剛体の慣性モーメントを求めることができる。また、剛体の回転運動について、回転の運動方程式を立てて解くことができる。
15週 〔前期末試験〕
16週 前期末試験の返却と解説 正答が得られなかった問題について正しく理解し、解き直すことができる。
後期
3rdQ
1週 クーロンの法則、電場・電気力線導体と電場, 静電気を理解し,点電荷間に働くクーロン力が計算できる.基本的電場とその電位を求めることがで
2週 ガウスの法則 静電気を理解し,点電荷間に働くクーロン力が計算できる.基本的電場とその電位を求めることがで
3週 電位・電場のエネルギー
静電気を理解し,点電荷間に働くクーロン力が計算できる.基本的電場とその電位を求めることがで
4週 コンデンサーに関する問題演習 コンデンサーの容量および電気抵抗の大きさを求めることができる.
5週 磁石と磁場,ビオ-サバールの法則磁性体(反磁性体,常磁性体,強磁性体) 電流に働く磁気力の大きさを計算し,力の方向を説明できる.磁性体の種類と性質について説明できる。
6週 導体、絶縁体、半導体 導体と不導体の違いについて、自由電子と関連させて説明できる。
7週 静電界に関する問題演習 静電界での力学の計算方法ができる
8週 〔中間試験〕
4thQ
9週 試験解答,電流に働く磁気力 磁場中にある電流に働く力を評価できる。
10週 オームの法則、 キルヒホッフの法則 オームの法則から、電圧、電流、抵抗に関する計算ができる。
11週 直列・並列の合成抵抗、電力、ジュール熱 抵抗を直列接続、及び並列接続したときの合成抵抗の値, ジュール熱や電力を求めることができる。
12週 電磁誘導・レンツの法則、コイルの働き
電磁誘導の原理を理解し,誘導起電力の計算ができる.
13週 正弦波交流、LCR交流回路、フェーザ コイルの働きと変圧器の原理について説明でき、電圧の変換を評価できる。
14週 交流回路,問題演習 交流回路で電波の発信や受信の原理が理解でき、インピーダンスを計算できる。
15週 〔後期学年末試験〕
16週 学年末試験の返却と解説 正答が得られなかった問題について正しく理解し、解き直すことができる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学力のモーメントを求めることができる。3前10
角運動量を求めることができる。3前11
角運動量保存則について具体的な例を挙げて説明できる。3前11
剛体における力のつり合いに関する計算ができる。3前12
重心に関する計算ができる。3前13
一様な棒などの簡単な形状に対する慣性モーメントを求めることができる。3前14
剛体の回転運動について、回転の運動方程式を立てて解くことができる。3前14
原子や分子の熱運動と絶対温度との関連について説明できる。3前2
時間の推移とともに、熱の移動によって熱平衡状態に達することを説明できる。3前2,前4
物体の熱容量と比熱を用いた計算ができる。3前4
熱量の保存則を表す式を立て、熱容量や比熱を求めることができる。3前4
動摩擦力がする仕事は、一般に熱となることを説明できる。3前4
ボイル・シャルルの法則や理想気体の状態方程式を用いて、気体の圧力、温度、体積に関する計算ができる。3前2
気体の内部エネルギーについて説明できる。3前2
熱力学第一法則と定積変化・定圧変化・等温変化・断熱変化について説明できる。3前1
エネルギーには多くの形態があり互いに変換できることを具体例を挙げて説明できる。3前1
不可逆変化について理解し、具体例を挙げることができる。3前4,前5
熱機関の熱効率に関する計算ができる。3前5,前6
電気導体と不導体の違いについて、自由電子と関連させて説明できる。3後6,後7
電場・電位について説明できる。3後1,後2,後3,後7
クーロンの法則が説明できる。3後1,後2,後3,後7
クーロンの法則から、点電荷の間にはたらく静電気力を求めることができる。3後1,後2,後3,後7
オームの法則から、電圧、電流、抵抗に関する計算ができる。3後10
抵抗を直列接続、及び並列接続したときの合成抵抗の値を求めることができる。3後11
ジュール熱や電力を求めることができる。3後11

評価割合

試験レポート相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80200000100
基礎的能力5010000060
専門的能力2010000030
分野横断的能力100000010