建築社会工学実験III

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 建築社会工学実験III
科目番号 0241 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 学修単位: 1
開設学科 建築社会デザイン工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 1
教科書/教材 建設材料実験法,建設材料教育研究会編,鹿島出版会
担当教員 浦野 登志雄,岩坪 要,松家 武樹

到達目標

1. コンクリートの配合および配筋を理解し、鉄筋コンクリート梁の力学特性を説明できる。
2. 使用する実験機器の名称や役割などを理解し、適切に操作することができる。
3. 実験結果のデータを指示通りに整理し、グラフ作成などを行い、まとめることができる。
4. 得られたデータを工学的に分析し、考察を行うことができる。
5. 実験結果を検証するための理論計算を行うことができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
1.コンクリートの配合および配筋を理解し、鉄筋コンクリート梁の力学特性が説明できる。テキスト以外に、4年次までに履修した鉄筋コンクリート工学などの科目の達成目標をレポートに反映することができる。テキストに沿ってレポートを作成することができる。テキストに記載された必要な項目についてレポートを作成することができない。
2. 実験結果のデータを指示通りに整理し、グラフ作成などを行い、まとめることができる。実験データの傾向を的確に表すような、分かりやすいグラフの作成ができる。指示通りにデータを整理し、グラフを作成することができる。得られたデータをグラフ作成することができない。
3. 得られたデータを工学的に分析し、考察を行うことができる。データの分析に対して、配付資料以外の参考文献を使って考察を行うことができる。配付資料に従って考察を行うことができる。配布された資料が理解できず、考察を行うことができない。
4. 実験結果を検証するための理論計算を行うことができる。 配付された資料以外に、参考文献を提示し、理論計算を行うことができる。配付された資料を参考に理論計算を行うことができる。配布された資料が理解できず、理論計算を行うことができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
本科目は、複数の専門科目に関連した総合科目であり、3年から5年まで開講する科目である。5年前期では、鉄筋コンクリート梁を作成し、配合設計から鉄筋加工、コンクリート打設、鉄筋コンクリート梁の破壊試験までを行う。
授業の進め方・方法:
本科目は、鉄筋コンクリート梁を作製して破壊試験を行い、力学挙動を理解することを目的としている。データ整理の手法や工学的な見地による考察手法を学び、工学レポートを作成する能力を養う。実験は12~14人程度の班別により実施する。
注意点:
・実験結果の整理は各自で行い、考察は各自で考えた内容を工学的に表現することに努める。
・実験を円滑に実施できるように、予定課題については事前にプリントなどを熟読しておくこと。
・実験は、講義で学んだことを目で確認する良い機会であるので、積極的に取り組むこと。
・実験機器の取り扱いや安全については、各自で留意すること。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 コンクリートの配合設計(土木) コンクリートの配合設計について、計算結果をレポートにまとめ説明することができる。
2週 鉄筋コンクリート梁の配筋設計 諸条件に留意しながら鉄筋コンクリート梁の配筋図を描くことができる。
3週 コンクリートの調合設計(建築) コンクリートの調合設計について、計算結果をレポートにまとめ説明することができる。
4週 鉄筋加工と引張試験片の作製 鉄筋の曲げ加工およびJIS試験方法に準拠した引張試験片の作製ができる。
5週 鉄筋加工と引張試験片の作製 同 上
6週 鉄筋の引張試験と配筋作業 引張試験結果について、データをまとめ、降伏強度・引張強度・ヤング係数について説明できる。また、なまし鉄線による梁主筋とあばら筋の配筋作業ができる。
7週 鉄筋の引張試験と配筋作業 同 上
8週 〔中間試験〕
2ndQ
9週 コンクリート打設と圧縮強度試験体作製 コンクリートの示方配合の計算結果から現場配合を求め、各材料の計量を行い、棒形振動機を用いてコンクリートの打設作業ができる。また、打設前に行うスランプ試験・空気量試験の手順を説明できる。
10週 鉄筋の引張試験 適切な方法により鉄筋の引張試験を行い、実験結果から降伏強度、ヤング係数、引張強度を適切に評価できる。
11週 コンクリート供試体の圧縮強度試験 円柱供試体を用いて強度試験を行い、圧縮強度およびヤング係数を適切に評価することができる。
12週 曲げ破壊試験準備(表面塗装とひずみゲージ貼付) ひずみゲージの貼り付け作業ができ、ひずみゲージの測定原理について説明できる。
13週 曲げ載荷試験 載荷試験で得られたデータをまとめることができる。また、曲げ載荷試験方法について説明できる。
14週 レポート作成方法解説 鉄筋コンクリート梁の曲げ載荷試験による曲げ理論計算、曲げ破壊、せん断破壊のメカニズムについてレポートにまとめ、説明することができる。
15週 〔前期末試験〕
16週 レポートの返却と解説 不適切な部分を適切に訂正し、それぞれについて正しく説明することができる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。3前10,前11,前13,前14,前16
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。3前10,前11,前13,前14,前16
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。3前10,前11,前13,前14,前16
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。3前14,前16
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。3前14,前16
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。3前14,前16
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。3前14,前16
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。3前4,前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。3前4,前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。3前4,前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。3前14
専門的能力分野別の専門工学建築系分野材料建築材料の規格・要求性能について説明することができる。2
コンクリートの調合のうち、水セメント比の計算ができる。2前3
スランプ、空気量について、強度または、耐久性の観点でその影響について説明できる。2前9,前10
コンクリートの強度(圧縮、引張、曲げ、せん断)の関係について説明できる。2前9,前10
構造弾性状態における応力とひずみの定義、力と変形の関係を説明でき、それらを計算できる。2前14,前16
曲げモーメントによる断面に生じる応力(引張、圧縮)とひずみの関係を理解し、それらを計算できる。2前14,前16
はり断面内のせん断応力分布について説明できる。2前14,前16
はりの断面に作用する内力としての応力(軸力、せん断力、曲げモーメント)、応力図(軸力図、せん断力図、曲げモーメント図)について説明することができる。2前14,前16
断面内の応力の分布について説明できる。2前14,前16
許容曲げモーメントを計算できる。2前14,前16
主筋の算定ができる。2前14,前16
釣合い鉄筋比について説明ができる。2前14,前16
中立軸の算定ができる。2前14,前16
許容せん断力を計算できる。2前14,前16
せん断補強筋の算定ができる。2前14,前16
終局曲げモーメントについて説明できる。2前14,前16
終局剪断力について説明できる。2前14,前16
分野別の工学実験・実習能力建設系分野【実験・実習能力】建設系【実験実習】コンクリートのスランプ試験について理解し、器具を使って実験できる。4前9
コンクリートの空気量試験について理解し、器具を使って実験できる。4前9
コンクリートの強度試験について理解し、器具を使って実験できる。4前11
各種構造形式(コンクリート、金属などによる)による試験体を用いた載荷実験を行い、変形の性状などを力学的な視点で観察することができる。4前10,前11
建築系分野【実験・実習能力】建築系【実験実習】実験の目的と方法を説明できる。3前10,前11,前13
建築に用いる構造材料(例えば木、コンクリート、金属など)の物理的特性を実験により明らかにすることができる。4前10,前11,前13
実験結果を整理し、考察できる。3前14,前16
実験の目的と方法を説明できる。4前10,前11,前13
構造材料(例えば木、コンクリート、金属など)によるいずれかの構造形式(ラーメン、トラスなど)の試験体を用い、載荷実験を行い、破壊形状と変形の性状を観察することができる。4前13
実験結果を整理し、考察できる。4

評価割合

試験レポート合計
総合評価割合0100100
基礎的能力03030
専門的能力07070
分野横断的能力000