防災工学

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 防災工学
科目番号 0262 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 建築社会デザイン工学科 対象学年 5
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 防災工学」渕田邦彦,疋田 誠,檀 和秀 他著 コロナ社
担当教員 岩坪 要

到達目標

1.発生メカニズムなど地震の基礎的事項が説明できる。
2.耐震設計の基本を理解して設計水平震度の計算ができる。
3.各種構造物の地震時被害の特徴の概略を説明できる。
4.各種自然災害の内容とその対策が説明できる。
5.自然災害に対する公的機関の役割について説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
1.発生メカニズムなど地震の基礎的事項が説明できる。地震のメカニズムと防災上の災害状況を説明できる。地震のメカニズムを説明できる。地震のメカニズムを説明できない。
2.耐震設計の基本を理解して設計水平震度の計算ができる。耐震設計の基本に基づき,設計水平震度の計算ができる。耐震設計の基本を説明できる。耐震設計を説明できない。
3.各種構造物の地震時被害の特徴の概略を説明できる。構造物の被災状況と構造的なダメージを説明できる。構造物の被災状況を説明できる。構造物の被災状況を説明できない。
4.各種自然災害の内容とその対策が説明できる。各種災害とその対策を説明できる。各種災害を説明できる。各種災害を説明できない。
5.自然災害に対する公的機関の役割について説明できる。日本における災害に関する法律と官公庁・自治体の活動について説明できる。防災計画と災害発生時の公的機関の役割が説明できる。防災計画と公的機関の役割について説明できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 3-3 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 5-1 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 6-1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
自然災害の中で地震災害を主な対象として、地震工学および防災計画の基礎的内容について学ぶ。地震災害の原因となる地震動の特性、構造物の耐震設計の基本的な考え方とその基礎的な計算方法、地震災害の状況および各種自然災害への取り組みなどについて講義する。
授業の進め方・方法:
地震災害を主に、地震工学および防災計画の基礎的内容について講義する。地震動の特性、構造物の耐震設計の基本的な考え方とその基礎的な計算方法、地震災害の状況や地震防災への取り組みなどについて、地震防災に関連する種々の問題や、地震工学の背景となる事項を織り交ぜて講義を進める。具体的な耐震設計には振動学など力学的な基礎知識が重要であるが、ここでは設計の考え方などに重点を置く。また各種自然災害の内容および対策について講義する。さらに、防災システム全体像の概略を把握するため防災基本計画の基礎的な内容を講義する。
注意点:
わが国は自然災害の顕著な国土に位置しており、社会の調和的発展・維持のために自然災害を防ぐ、あるいは軽減することが重要といえる。特に最近は自然災害の強度が増しており、今後の対応が社会問題となってきている。防災工学は社会全般と広く関わりをもつ分野であり、そのような背景を理解し、技術者として防災の意識を高めるよう努力してもらいたい。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 講義ガイダンス、地震の発生メカニズム・震度階 地震断層、プレートテクトニクス、震度と震度階級を理解する。
2週 地震の規模(マグニチュード)、地震波の性質 マグニチュード算定の考え方、P波・S波・表面波の主な性質を理解する。
3週 地震動特性、地震計・地震観測 表層地盤の固有周期、地震計の簡単な原理を理解する。
4週 耐震設計基準の基礎事項1 
震度法、設計震度
震度法および設計震度の基礎的な考え方を理解する。
5週 耐震設計基準の基礎事項2
地震時保有水平耐力法、設計水平震度算定演習
地震時保有水平耐力法の基礎的な考え方を理解し、設計水平震度を算定する。
6週 動的解析手法 動的解析手法の概要について知識として学ぶ。
7週 各種構造物の地震被害、地震防災 構造物の地震被害の概略の内容を理解する。
8週 中間試験 地震,耐震設計,震度法に関する内容
4thQ
9週 中間試験返却と解説、グループ学習の説明 後半のガイダンス
10週 グループ学習(1)河川・土石流災害 担当となる自然災害について講義をする
11週 グループ学習(2)海岸災害 担当となる自然災害について講義をする
12週 グループ学習(3)地盤災害 担当となる自然災害について講義をする
13週 グループ学習(4)火山災害 担当となる自然災害について講義をする
14週 グループ学習(5)災害計画と防災計画 担当となる自然災害について講義をする
15週 期末試験
16週 期末試験返却と解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学速度と加速度の概念を説明できる。3後3
直線および平面運動において、2物体の相対速度、合成速度を求めることができる。3
等加速度直線運動の公式を用いて、物体の座標、時間、速度に関する計算ができる。3後1
平面内を移動する質点の運動を位置ベクトルの変化として扱うことができる。3
物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる。3後3
平均の速度、平均の加速度を計算することができる。3
物体に作用する力を図示することができる。3後1
力の合成と分解をすることができる。3後1
重力、抗力、張力、圧力について説明できる。3後1,後2
フックの法則を用いて、弾性力の大きさを求めることができる。3
質点にはたらく力のつりあいの問題を解くことができる。3
慣性の法則について説明できる。3後1,後2
作用と反作用の関係について、具体例を挙げて説明できる。3後2
運動方程式を用いた計算ができる。3
簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。3
運動の法則について説明できる。3後2
周期、振動数など単振動を特徴づける諸量を求めることができる。3後1,後2,後3
単振動における変位、速度、加速度、力の関係を説明できる。3後2,後3
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。3後3
波動波の振幅、波長、周期、振動数、速さについて説明できる。3後1,後2
横波と縦波の違いについて説明できる。3後2
ライフサイエンス/アースサイエンスライフサイエンス/アースサイエンス陸地および海底の大地形とその形成を説明できる。2後1,後11
地球の内部構造を理解して、内部には何があるか説明できる。2後1,後10
マグマの生成と火山活動を説明できる。2後12,後13
地震の発生と断層運動について説明できる。2後1,後2,後4,後5,後12
地球科学を支えるプレートテクトニクスを説明できる。2後1,後4,後5,後10,後13
プレート境界における地震活動の特徴とそれに伴う地殻変動などについて説明できる。2後1,後4,後5,後13
専門的能力分野別の専門工学建設系分野構造断面1次モーメントを理解し、図心を計算できる。3
断面2次モーメント、断面係数や断面2次半径などの断面諸量を理解し、それらを計算できる。3
各種静定ばりの断面に作用する内力としての断面力(せん断力、曲げモーメント)、断面力図(せん断力図、曲げモーメント図)について、説明できる。3
応力とその種類、ひずみとその種類、応力とひずみの関係を理解し、弾性係数、ポアソン比やフックの法則などの概要について説明でき、それらを計算できる。3
断面に作用する垂直応力、せん断応力について、説明できる。3
はりのたわみの微分方程式に関して、その幾何学的境界条件と力学的境界条件を理解し、微分方程式を解いて、たわみやたわみ角を計算できる。3
圧縮力を受ける柱の分類(短柱・長柱)を理解し、各種支持条件に対するEuler座屈荷重を計算できる。3
仮想仕事の原理を用いた静定の解法を説明できる。3
構造物の安定性、静定・不静定の物理的意味と判別式の誘導ができ、不静定次数を計算できる。3
重ね合わせの原理を用いた不静定構造物の構造解析法を説明できる。3
応力法と変位法による不静定構造物の解法を説明できる。3
鋼構造物の種類、特徴について、説明できる。3
橋の構成、分類について、説明できる。3
橋梁に作用する荷重の分類(例、死荷重、活荷重)を説明できる。3後5
各種示方書に基づく設計法(許容応力度、終局状態等)の概要を説明でき、安全率、許容応力度などについて説明できる。3後2,後5
軸力を受ける部材、圧縮力を受ける部材、曲げを受ける部材や圧縮と曲げを受ける部材などについて、その設計法を説明でき、簡単な例に対し計算できる。3後5
接合の定義・機能・種類、溶接と高力ボルト接合について、説明できる。3
鋼桁橋(プレートガーダー橋)の設計の概要、特徴、手順について、説明できる。3
水理津波と高潮の特徴を説明できる。1
計画国土と地域の定義を説明できる。3後14
都市の防災構造化を説明できる。3後14
建築系分野計画・歴史都市・地区・地域・建築物の規模に応じた防災に関する計画、手法などを説明できる。3後14
分野横断的能力総合的な学習経験と創造的思考力総合的な学習経験と創造的思考力総合的な学習経験と創造的思考力課題や要求に対する設計解を提示するための一連のプロセス(課題認識・構想・設計・製作・評価など)を実践できる。3
提案する設計解が要求を満たすものであるか評価しなければならないことを把握している。3
経済的、環境的、社会的、倫理的、健康と安全、製造可能性、持続可能性等に配慮して解決策を提案できる。3

評価割合

試験発表課題合計
総合評価割合801010100
基礎的能力0000
専門的能力801010100
分野横断的能力0000