化学II

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 2019
授業科目 化学II
科目番号 0029 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 3
開設学科 生物化学システム工学科 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 3
教科書/教材 数研出版「化学」、数研出版「フォトサイエンス化学図録」、数研出版「リードLightノート化学」
担当教員 本田 晴香,大島 賢治

到達目標

1年生で学んだ化学の知識をベースに、「物質の状態」、「物質の変化」を大きなテーマとして取り扱う。
1. 化学結合に基づいて結晶の成り立ちを理解し、構造と種類、性質について理解する。
2. 気液平衡の概念や状態変化に伴うエネルギーの出入りについて理解する。
3. 気体の体積と圧力・温度の間に成り立つ法則、複数の種類の気体を混合したときに成り立つ法則を理解する。
4. 溶解のしくみや溶解量について学び、水溶液と純粋な水との物理的な性質の違いを理解する。
5. 熱の出入りに関する法則や、結合エネルギー、光が関わる代表的な反応を理解する。
6. 電池や電気分解のしくみとともに、回路に流れた電気量と物質の変化量の関係を理解する。
7.化学反応速度の表し方や、濃度・温度などの反応条件を変えたときの反応速度の変化、代表的な化学反応の仕組みを理解する。
8. 化学平衡について成り立つ法則や電解質水溶液の平衡を理解する。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
知識・理解講義の内容をすべて理解し、自身の言葉で説明し、問題に取り組むことができる。講義の内容をほぼ理解し、問題にとりくむことができる。講義の内容の理解が半分以下であり、問題に取り組むことができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
1年次の「化学」では、私たちの身の周りの物質が「原子」という小さな粒子から出来ていること、その原子の構造や化学結合といった物質の構造、そして基本的な化学反応式の立て方、無機化合物の一般的な化学性質について学んできました。
「化学Ⅱ」では、化学の基礎となる知識をさらに増やすために、「粒子の結合と結晶構造」、「物質の状態変化」、「気体の性質」、「溶液の性質」、「化学反応に伴うエネルギーの出入り」、「電池と電気分解」、「化学反応の速さとしくみ」、「化学平衡」について学びます。これらを通して、状態変化や化学変化の量的関係の扱い方、化学式からその化学物質の性質を推察できるようになることを目指します。
授業の進め方・方法:
基本的な座学形式で授業を行います。授業は教科書を中心に進めますが、必要に応じて補足資料のプリントを配布します。また、適宜課題を課すので、必ず取り組んでください。
1年間の授業の大まかな流れとして、前半では物質の状態、後半では物質の変化について学びます。
注意点:
*専門科目の基礎となる授業なので、日々の授業、課題にしっかり取り組むこと。
*質問はできる限り対応しますので、気軽に来室してください。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 結晶構造,非晶質

粒子の熱運動,三態の変化とエネルギー
結晶の充填率・原子半径など基本的な計算ができる。結晶の充填構造を理解できる。
物質を構成する分子・原子が常に運動していることが説明できる。
2週 気体の体積
気体の状態方程式①
気体の体積と物質量の関係を説明できる。
ボイルの法則、シャルルの法則、ボイル-シャルルの法則を説明でき、必要な計算ができる。
3週 気体の状態方程式② 気体の体積と物質量の関係を説明できる。
ボイルの法則、シャルルの法則、ボイル-シャルルの法則を説明でき、必要な計算ができる。
4週 混合気体の圧力

前期中間試験①
分圧とモル分率を説明でき、必要な計算ができる。
5週 実在気体と理想気体

溶解度
実在気体の状態方程式の取扱いについて説明できる。
固体の溶解度の説明ができ、溶解度の計算ができる。
6週 モル濃度・質量パーセント濃度

沸点上昇
質量パーセント濃度およびモル濃度の説明ができ、計算ができる。
束一的性質を説明できる。蒸気圧降下、沸点上昇より、溶質の分子量を計算できる。
7週 凝固点降下,浸透圧

演習問題
凝固点降下、浸透圧より、溶質の分子量を計算できる。
8週 前期中間試験②
2ndQ
9週 コロイド溶液
コロイド溶液の性質を説明できる。
10週 化学反応とエネルギー① 化学反応を反応物、生成物、係数を理解して組み立てることができる。
化学反応の種類と反応熱、状態変化に伴う熱などの種類を理解し、熱化学方程式で表すことができる。
11週 化学反応とエネルギー②
ヘスの法則を理解し、未知の熱量を計算によって求めることができる。
12週 電池 電池の仕組みが説明できる。
13週 電池 電池の仕組みが説明でき、計算ができる。
14週 電気分解 電気分解の仕組みが説明でき、計算できる。
15週 演習問題 電池と電気分解の仕組みが説明でき、計算できる。
16週 前期期末試験
後期
3rdQ
1週 化学反応の速さ 化学反応の速さの表し方が説明でき、計算できる。
2週 化学反応の速さ
化学反応の速さの表し方が説明でき、計算できる。
3週 反応条件と反応速度
化学反応の速さに影響を与える因子について、説明できる。
4週 反応条件と反応速度 化学反応の速さに影響を与える因子について、説明できる。
5週 化学反応のしくみ 活性化エネルギーについて説明できる。
6週 化学反応のしくみ 活性化エネルギーについて説明できる。
7週 演習問題
8週 後期中間試験
4thQ
9週 後期中間試験の答案返却と解説
10週 可逆反応と化学平衡 化学平衡について説明できる。
11週 平衡状態の変化
平衡定数の計算ができる。
12週 平衡状態の変化 ルシャトリエの原理を説明できる。
13週 電解質溶液の化学平衡 酸塩基の定義を理解し、電離度・電離定数を用いた計算、pHの計算ができる。
14週 電解質溶液の化学平衡 酸塩基の定義を理解し、電離度・電離定数を用いた計算、pHの計算ができる。
15週 演習問題
酸塩基の定義を理解し、電離度・電離定数を用いた計算、pHの計算ができる。
16週 後期期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学化学(一般)化学(一般)物質を構成する分子・原子が常に運動していることが説明できる。3前1,前2
水の状態変化が説明できる。3前2
物質の三態とその状態変化を説明できる。3前2
ボイルの法則、シャルルの法則、ボイル-シャルルの法則を説明でき、必要な計算ができる。3前2
気体の状態方程式を説明でき、気体の状態方程式を使った計算ができる。3前3,前4,前5
気体の体積と物質量の関係を説明できる。3前4
化学反応を反応物、生成物、係数を理解して組み立てることができる。3前10
化学反応を用いて化学量論的な計算ができる。3前11
電離について説明でき、電解質と非電解質の区別ができる。3後13,後14
質量パーセント濃度の説明ができ、質量パーセント濃度の計算ができる。3前6
モル濃度の説明ができ、モル濃度の計算ができる。3前6
酸・塩基の定義(ブレンステッドまで)を説明できる。3後13,後14
酸・塩基の化学式から酸・塩基の価数をつけることができる。3後13,後14
電離度から酸・塩基の強弱を説明できる。3後13,後14
pHを説明でき、pHから水素イオン濃度を計算できる。また、水素イオン濃度をpHに変換できる。3後15
酸化還元反応について説明できる。3前12,前13
イオン化傾向について説明できる。3前12,前13
金属の反応性についてイオン化傾向に基づき説明できる。3前12,前13
ダニエル電池についてその反応を説明できる。3前12,前13
鉛蓄電池についてその反応を説明できる。3前12,前13
一次電池の種類を説明できる。3前12,前13
二次電池の種類を説明できる。3前12,前13
電気分解反応を説明できる。3前14
電気分解の利用として、例えば電解めっき、銅の精錬、金属のリサイクルへの適用など、実社会における技術の利用例を説明できる。3前14
ファラデーの法則による計算ができる。3前15
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野無機化学イオン結合と共有結合について説明できる。3前1
結晶の充填構造・充填率・イオン半径比など基本的な計算ができる。3前2
配位結合の形成について説明できる。3前1
水素結合について説明できる。3前1
分析化学電離平衡と活量について理解し、物質量に関する計算ができる。2後13
溶解度・溶解度積について理解し必要な計算ができる。2後15
強酸、強塩基および弱酸、弱塩基についての各種平衡について説明できる。2後14
強酸、強塩基、弱酸、弱塩基、弱酸の塩、弱塩基の塩のpHの計算ができる。2後14
緩衝溶液とpHの関係について説明できる。2後14
物理化学純物質の状態図(P-V、P-T)を理解して、蒸気圧曲線を説明できる。3前3
束一的性質を説明できる。3前9
蒸気圧降下、沸点上昇より、溶質の分子量を計算できる。3前9
凝固点降下と浸透圧より、溶質の分子量を計算できる。3前9
平衡の記述(質量作用の法則)を説明できる。4後10,後11
諸条件の影響(ルシャトリエの法則)を説明できる。4後12
反応速度の定義を理解して、実験的決定方法を説明できる。2後1,後2,後3,後4,後5,後6
電池反応と電気分解を理解し、実用例を説明できる。3前15

評価割合

定期試験・確認テスト課題相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力700000070
専門的能力300000030
分野横断的能力0000000