生物化学実験I

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 生物化学実験I
科目番号 0030 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 生物化学システム工学科 対象学年 2
開設期 後期 週時間数 4
教科書/教材 「生物化学実験1 実習テキスト」生物化学システム工学科/フォトサイエンス生物図録,フォトサイエンス化学図録
担当教員 最上 則史,若杉 玲子,富澤 哲,大島 賢治

到達目標

実験で必要となる内容を、基本的な実験を通して修得する。まずは、安全に実験が行えるように、薬品や火気の取扱いについて理解する。また、代表的な器具の取扱いやその操作方法、実験の原理について各実習テーマを通して学ぶ。さらに、実験データの取扱い、必要な計算、レポート作成の方法を身に付けることを目指す。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
安全グループで協力して、安全かつ迅速に実験を行うことができる。グループで協力して、安全に実験を行うことができる。グループで協力して、安全に実験を行うことができない。
生物化学実験の基本操作1実験に必要な試薬の濃度や量の計算を迅速に行い、精度よく調製することができる。実験に必要な試薬の濃度や量の計算を行い、調製することができる。実験に必要な試薬の濃度や量の計算ができず、調製することができない。
生物化学実験の基本操作2実験に必要な器具を目的に応じて適切に選択し、正しく使うことができる。実験に必要な器具を、指示通りに正しく使うことができる。実験に必要な器具を理解できず、正しく使うことができない。
pHの測定・中和滴定中和反応を理解し、中和滴定の実験操作を安全かつ的確に行うことができる。中和反応について概ね理解し、中和滴定の実験操作を指示通りに正しく安全に行うことができる。中和反応について理解できず、中和滴定の実験操作を指示通りに行うことができない。
光学顕微鏡による観察顕微鏡の仕組みや観察手法を理解し、的確に実施することができる。顕微鏡の仕組みや観察手法を概ね理解し、実施することができる。顕微鏡の仕組みや観察手法を理解できず、実施することができない。
混合物の分離操作クロマトグラフィーや蒸留などの分離操作の原理を理解し、操作を的確に行うことができる。クロマトグラフィーや蒸留などの分離操作の原理や目的を概ね理解し、操作を行うことができる。クロマトグラフィーや蒸留などの分離操作の原理や目的が理解できず、操作を行うことができない。
レポートの書き方規定の構成に沿って,実験方法や結果・考察について分かりやすく記すことができる。規定の構成に沿って,実験方法や結果・考察について概ね記すことができる。規定の構成に沿って,実験方法や結果・考察について記すことができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
生物・化学分野に対する求知心の育成と基礎学力の充実を目的として、基礎となる生物・化学の現象や自然・環境とのかかわり、バイオ技術の基礎の一端を、実験を通じて実体験させる。本実習を通じて、好奇心・探究心を持続させつつ、実験の基礎技術を習得し、バイオ・ケミカルエンジニアとしての基盤づくりを行う。
授業の進め方・方法:
生物・化学分野の基礎的な実験テーマに沿って実習を行う。テーマ毎にレポートを作成し、担当教員の指示する期限までに必ず提出する。前もって実習書に目を通した上、実習項目に関連する内容について化学や生物の教科書等も参考にし、予め実習内容について理解しておくこと。中間・期末試験時には、実習内容についての理解度を評価するための確認テスト(ペーパーテスト)を実施する。本実習の評価は、以下のように行う。
・ 各テーマ、レポート80%、確認テスト20%で評価する。
・ 各テーマで、レポート点は「必ず60点」を取得しなければならない。
・ レポートの未提出がひとつでもあった場合、また、各テーマの平均が60点 以下の場合、「不合格」とする。
注意点:
実習時には、白衣・体育館シューズ・実験ノート・実習書を必ず持参する。その他必要な持ち物については、各教員より指示がある。また、「毎回の実習が試験である」との自覚を持ち、休まないようにすること。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ガイダンス □ 基礎実験の注意や安全について理解する。
2週 光学顕微鏡の使い方 □ 光学顕微鏡およびミクロメーターを正しく使用できる。
□ サンプルを正しくスケッチできる。
□ 原形質分離、原形質流動について理解する。
3週 細胞分裂の観察1 □ 細胞分裂について理解できる。
□ 固定、解離、染色について理解し、サンプルと溶液の準備ができる。
4週 細胞分裂の観察2 □ 細胞分裂について理解し、正しくスケッチできる。
5週 組織の観察 □ 組織と細胞の関係について理解し、正しくスケッチできる。
6週 細胞融合 □ 細胞融合の原理を理解し,正しく機器を操作できる。
7週 分光器の作成と光の性質 □ 光の性質と光合成色素の関係を理解できる。
8週 【後期中間試験】
4thQ
9週 中和滴定1
ガラス器具の扱い方
溶液調製
□ ガラス器具を正しく取り扱う。
□ 必要な試薬の濃度計算を行う。
□ 中和反応および中和滴定について理解する。
□ 適切な検量器具を用いて実験に必要な試薬の調製を行う。
10週 中和滴定2 □ 中和滴定の実験操作を安全に行う。
□ pHメーターを正しく操作する。
□ 実験により強酸-強塩基の中和滴定のデータを取得し,中和滴定曲線を描く。
□ 強酸-強塩基の中和について理解する。
11週 中和滴定3 □ 中和滴定の実験操作を安全に行う。
□ pHメーターを正しく操作する。
□ 実験により弱酸-強塩基の中和滴定のデータを取得し,中和滴定曲線を描く。
□ 弱酸-強塩基の中和について理解する。
12週 混合物の分離操作1(薄層クロマトグラフィー) □ 生体試料から色素の抽出が出来る。
□ クロマトグラフィーの原理を理解し、正しく操作できる。
13週 混合物の分離操作2(薄層クロマトグラフィー) □ 生体試料から色素の抽出が出来る。
□ クロマトグラフィーの原理を理解し、正しく操作できる。
14週 混合物の分離操作3(蒸留) □ 蒸留の原理について理解し、正しく操作できる。
15週 混合物の分離操作4(蒸留) □ 蒸留の原理について理解し、正しく操作できる。
16週 【後期定期試験】

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学化学(一般)化学(一般)質量パーセント濃度の説明ができ、質量パーセント濃度の計算ができる。3
モル濃度の説明ができ、モル濃度の計算ができる。3
pHを説明でき、pHから水素イオン濃度を計算できる。また、水素イオン濃度をpHに変換できる。3
中和反応がどのような反応であるか説明できる。3
中和滴定の計算ができる。3
化学実験化学実験実験の基礎知識(安全防具の使用法、薬品、火気の取り扱い、整理整頓)を持っている。2
事故への対処の方法(薬品の付着、引火、火傷、切り傷)を理解し、対応ができる。2
測定と測定値の取り扱いができる。2
有効数字の概念・測定器具の精度が説明できる。2
レポート作成の手順を理解し、レポートを作成できる。2
ガラス器具の取り扱いができる。2
基本的な実験器具に関して、目的に応じて選択し正しく使うことができる。2
試薬の調製ができる。2
工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。2後1
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。2後2
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。2後2
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。2後1
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。2後1
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。2後1
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。2後1
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。2後1
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。2後1
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。2後1
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。2後1
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野分析化学クロマトグラフィーの理論と代表的な分析方法を理解している。4
化学工学蒸留の原理について理解できる。4
生物工学微生物の培養方法について説明でき、安全対策についても説明できる。4
分野別の工学実験・実習能力化学・生物系分野【実験・実習能力】有機化学実験蒸留による精製ができる。2後14,後15
薄層クロマトグラフィによる反応の追跡ができる。2後12,後13
分析化学実験中和滴定法を理解し、酸あるいは塩基の濃度計算ができる。2後3,後4,後5
生物工学実験光学顕微鏡を取り扱うことができ、生物試料を顕微鏡下で観察することができる。2後6,後7,後9,後10,後11
適切な方法や溶媒を用いて、生物試料から目的の生体物質を抽出し、ろ過や遠心分離等の簡単な精製ができる。2後12,後13
クロマトグラフィー法または電気泳動法によって生体物質を分離することができる。2後12,後13

評価割合

レポート試験相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80200000100
基礎的能力3010000040
専門的能力5010000060
分野横断的能力0000000