有機化学I

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 2019
授業科目 有機化学I
科目番号 0032 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 生物化学システム工学科 対象学年 2
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 ハート/基礎有機化学(三訂版),参考図書:Study guide and solution manual -Organic chemistry: A short course-
担当教員 大島 賢治

到達目標

 1. 有機化合物の定義ができ,身の回りにある物の中から例示できる
 2. 構造式,立体構造の表示ができる
 3. 炭化水素の基本的な命名ができる
 4. アルカン,アルケン,アルキン,芳香族化合物の構造の違いを説明できる
 5. 代表的な官能基と該当する代表的な化合物を一致させて例示できる
 6. アルコール,アミン,カルボン酸の特徴的な性質を説明できる
 7. エステルの構造,生成反応,ケン化の反応式が書ける
 8. アミドの構造式が書ける
 9. 鏡像異性体(対掌体)の立体的表示ができる。
 10. 不斉炭素のR-S表示ができる
 11. 光学活性を説明できる

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1 有機化合物の構造式と名称を一致させて正しく書くことができる。有機化合物の構造式と名称を一致させて正しく書くことができる。有機化合物の構造式と名称を一致させて書くことができる。有機化合物の構造式を正しく書くことができない。
評価項目2 代表的な官能基と該当する代表的な化合物を一致させて例示でき,典型的な性質を説明できる。代表的な官能基と該当する代表的な化合物を一致させて例示でき,典型的な性質を説明できる。代表的な官能基の典型的な性質を説明できる。代表的な官能基の典型的な性質を説明できない。
評価項目3 有機化合物の構造について,立体的表示および命名ができ,性質と一致させて説明できる。有機化合物の構造について,立体的表示および命名ができ,性質と一致させて説明できる。有機化合物の構造について,立体的表示および命名ができる。有機化合物の構造について,立体的表示および命名ができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
 有機化合物の構造と名称・典型的な性質について学ぶ。また立体構造についても学ぶ。これらは生体内反応の理解や,新しい素材・機能性化合物の開発,既存の物質の性質の理解と改良など,生物化学に関するモノ作りや原理の理解の基礎となる。
授業の進め方・方法:
 教科書と板書により講義を進める。教科書は高専の低学年や米国でも多くの高校において2年生用として採用される平易なものであるが,有機化学の基礎を全て網羅しており,長年の定評のあるものである。フルカラーの写真や図も豊富であり,理解の助けになるであろう。2年次は各章の導入部分を理解し,4年次にその反応原理について理解を深める。 教科書の問題の解答集は図書館に置かれているので,利用されたい。
注意点:
 平易なことの学習を後に残してはいけない。有機化学は多くの単純で容易な項目から成り立っており,何も恐れることは無い。しかし,これらをひとつひとつマスターしてゆかないと,課題は非常に大きくなってしまうのである。講義の第1回と2回目の前半は1年次の復習を多く含んでいる。この化学の基礎ができていないと,後の講義は全て理解できなくなってしまい,これらの積み残しを一度に解消する方法はない。また,1・2年次の内容がおろそかであると,4年次にいくつもの科目で破綻してしまうことになる。各項目をきちんとマスターして進むこと。
 そのためには,化合物の構造式や反応式を「理解しながら何度も手で書いて」,名称と関連させて学習すること。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 有機化学とは何か, 結合と構造1 到達目標1, 2
2週 結合と構造2 到達目標2
3週 原子と分子の軌道モデル 到達目標2
4週 アルカン 到達目標2, 3
5週 アルケン 到達目標4
6週 アルケンとアルキン 到達目標4
7週 芳香族化合物1 到達目標4
8週 中間試験
4thQ
9週 芳香族化合物2 到達目標4
10週 アルコール,フェノール 到達目標5, 6
11週 エーテル,アミン 到達目標5, 6
12週 アルデヒドとケトン
到達目標5, 6
13週 カルボン酸 到達目標5, 6
14週 カルボン酸の誘導体 到達目標7, 8
15週 キラリティ 到達目標9, 10, 11
16週 学年末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野基礎生物原核生物と真核生物の違いについて説明できる。4
核、ミトコンドリア、葉緑体、細胞膜、細胞壁、液胞の構造と働きについて説明できる。4
葉緑体とミトコンドリアの進化の説について説明できる。4
代謝、異化、同化という語を理解しており、生命活動のエネルギーの通貨としてのATPの役割について説明できる。2
酵素とは何か説明でき、代謝における酵素の役割を説明できる。2
光合成及び呼吸の大まかな過程を説明でき、2つの過程の関係を説明できる。2
細胞膜を通しての物質輸送による細胞の恒常性について説明できる。3
フィードバック制御による体内の恒常性の仕組みを説明できる。4
情報伝達物質とその受容体の働きを説明できる。3
免疫系による生体防御のしくみを説明できる。4
生物化学タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。3
生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。1後10
単糖と多糖の生物機能を説明できる。1
多糖の例を説明できる。1
タンパク質の機能をあげることができ、タンパク質が生命活動の中心であることを説明できる。2
タンパク質を構成するアミノ酸をあげ、それらの側鎖の特徴を説明できる。1
アミノ酸の構造とペプチド結合の形成について構造式を用いて説明できる。2
タンパク質の高次構造について説明できる。2
酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。2
酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。2
補酵素や補欠因子の働きを例示できる。水溶性ビタミンとの関係を説明できる。2
解糖系の概要を説明できる。1
クエン酸回路の概要を説明できる。1
酸化的リン酸化過程におけるATPの合成を説明できる。1
嫌気呼吸(アルコール発酵・乳酸発酵)の過程を説明できる。1
各種の光合成色素の働きを説明できる。2
光化学反応の仕組みを理解し、その概要を説明できる。2
炭酸固定の過程を説明できる。2
生物工学アルコール発酵について説明でき、その醸造への利用について説明できる。1

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力200000020
専門的能力800000080
分野横断的能力0000000