化学工学

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 化学工学
科目番号 0043 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 生物化学システム工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 「化学工学」早川豊彦他著 実教出版,「化学工学通論Ⅰ」疋田晴夫著 朝倉書店
担当教員 若杉 玲子

到達目標

1. プラントの概念を理解し,化学工学を学習する意義が理解できる。
2. 化学工業や生物化学工業において取り扱われる物理量をSI 単位系で処理することができる。
3. 化学工業プロセスにおける物質収支を計算できる。
4. 流体の貯槽,輸送機器,配管の種類や使い方、腐食、流体の流量測定法とその原理が理解できる。
5. 流体の物質収支,エネルギー収支,ベルヌーイの定理の考え方を理解し,説明することができる。
6. 流体輸送機の理論動力や軸動力を計算できる。
7. 工業プロセスにおける伝熱操作の基礎的内容について理解している。
8. 二重管式熱交換器の基礎的な熱収支の計算ができる。
9. 蒸留に伴う気液平衡および蒸留の原理について理解している。
10. 単蒸留,精留・蒸留装置について理解している。
11. 蒸留の計算についての計算ができる(ラウールの法則,マッケーブシール法等)。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
化学工学の基礎化学工場やプラント成り立ちについて理解し,それらの特徴について明瞭に説明できる。化学工場やプラント成り立ちについて概ね理解し,それらの特徴について説明できる。化学工場やプラント成り立ちについて理解出来ず,それらの特徴について説明できない。
プロセスの物質収支プロセスの物質収支式を立てることができ,そのほとんどに解答を導くことができる。プロセスの物質収支式を概ね立てることができ,解答を導くことができる。プロセスの物質収支式を立てることができず,解答を導くことができない。
流体輸送理論 (物質収支)流体輸送の物質収支を理解し,流量,流速等流れの状態を示す値を導くことができる。流体輸送の物質収支を概ね理解し,流量,流速等流れの状態を示す値をおおよそ導くことができる。流体輸送の物質収支を理解できず,流量,流速等流れの状態を示す値を導くことができない。
流体輸送理論 (エネルギー収支)エネルギー保存則より,流れのエネルギー収支を理解し,必要な動力等の計算ができる。エネルギー保存則より,流れのエネルギー収支を概ね理解し,必要な動力等の計算がおおよそできる。エネルギー保存則より,流れのエネルギー収支を理解できず,必要な動力等の計算ができない。
蒸留の原理蒸留に伴う気液平衡について理解し,蒸留の原理を明瞭に説明できる。蒸留に伴う気液平衡について概ね理解し,蒸留の原理をおおよそ説明できる。蒸留に伴う気液平衡について理解できず,蒸留の原理を説明できない。
蒸留の計算単蒸留の計算およびマッケー ブシール法による連続蒸留の 計算ができる。単蒸留の計算およびマッケー ブシール法による連続蒸留の 計算が概ねできる。単蒸留の計算およびマッケー ブシール法による連続蒸留の 計算ができない。
工業的な伝熱プロセス工業的な伝熱プロセスに伴う基礎的な熱収支を理解し、基礎的な熱収支の計算ができる。工業的な伝熱プロセスに伴う基礎的な熱収支を概ね理解し、基礎的な熱収支の計算が概ねできる。工業的な伝熱プロセスに伴う基礎的な熱収支を理解できず、基礎的な熱収支の計算ができない。
伝熱の計算工業的プロセスに必要な配管や熱交換器の基礎的な熱量の計算ができる。工業的プロセスに必要な配管や熱交換器の基礎的な熱量の計算が概ねできる。工業的プロセスに必要な配管や熱交換器の基礎的な熱量の計算ができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
化学・生物化学工業においては,各種プロセスに共通の操作原理,すなわち単位操作についての知識が必要となる。本科目では物質・エネルギー収支をはじめ,流動等,化学工学における基礎的事項について学び、工業的プロセスの理解につなげる。
授業の進め方・方法:
・教科書を中心に,主に講義形式により授業を進め、現在工業的に利用されている基本的な分離・精製技術について学ぶ。講義では,毎回演習課題を提示するので,各自復習を兼ねて取り組みんでもらい、学習内容の理解を深めてもらいたい。
・4回の定期試験(80%)を実施し,提出課題(20%)と併せて評価する。
注意点:
* 演習課題は必ず自分で解答し,理解を深めること。また,課題は期限までに必ず提出すること。
* 教科書に記載された演習や章末問題は,課題としても課すが,自学自修で繰り返し取り組んでもらいたい。さらに,他参考書等における類似の演習問題にも積極的に取り組んでもらいたい。
* 範囲および内容が多いため,授業内容の速やかな理解には,各自前もって予習することが望ましい。
* 授業では,演習用ノートおよび関数電卓を常備しておくこと。
* 質問にはいつでも応じます。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 化学工業と化学工学 □化学工業について知る。
□化学工場の成り立ちを知る。
□化学工業における化学工学の意義が理解できる。
2週 化学工学の基礎 □SI単位を用いて理解できる。
□単位換算ができる。
3週 プロセスの物質収支 □化学工業プロセスについて理解できる。
□プロセス内に出入りする物質の収支関係について理解できる。
4週 反応を伴わないプロセスの物質収支 □反応を伴わないプロセスの物質収支関係について理解できる。
□反応を伴わないプロセスの物質収支の計算ができる。
5週 反応を伴うプロセスの物質収支1 □反応を伴うプロセスの物質収支関係について理解できる。
6週 反応を伴うプロセスの物質収支2 □反応を伴うプロセスの物質収支の計算ができる。
7週 流体の取り扱い □化学工場における液体および気体のの取扱いについて,方法や用いられている機器を知る。
□圧力の計算ができる。
□配管の種類を知る。
□配管の径と流れの関係を理解できる。
8週 〔中間試験〕

2ndQ
9週 試験返却と解説
10週 流体輸送理論(物質収支) □配管内の流体の流れについて,速度および流量の計算ができる。
□配管の選定ができる。
□配管内の流れの物質収支を計算できる。
11週 流体輸送理論(エネルギー収支) □流体の持つエネルギーを知る。
□流体輸送の機械エネルギー収支が分かる。
□流れの機械エネルギー収支式を立てることができる。
12週 流体輸送理論(エネルギー損失1) □流れの状態を示すレイノルズ数について理解できる。
□流れの状態をレイノルズ数により求めることができる。
13週 流体輸送理論(エネルギー損失2・流体輸送の動力) □流れの状態から,ファニングの式によるエネルギー損失を求めることができる。
□ポンプの理論動力を求めることができる。
□ポンプ効率を求めることができる。
14週 流体輸送理論(流量の測定) □流量計の種類と原理を知る。
□オリフィス流量計を用いた流量の計算ができる。
□マノメーターの値から,差圧を計算することができる。
15週 〔前期末試験〕
16週 前期末試験の返却と解説
後期
3rdQ
1週 工業的な熱の利用と伝熱操作 □工業的な熱の利用について学ぶ。
□伝熱操作を伴う工業プロセスについて学ぶ。
2週 伝熱の基礎1 □熱量の基礎的な計算ができる。
3週 伝熱の基礎2 □伝熱における熱量の基礎的な計算ができる。
4週 伝熱の計算1 □配管等の伝熱における熱量の基礎的な計算ができる。
5週 伝熱の計算2 □二重管式熱交換器の伝熱における熱量の基礎的な計算ができる。
6週 工業プロセスにおける蒸留、蒸留の原理1 □工業的に用いられている蒸留装置およびその操作について理解できる。
□気液平衡関係について理解できる。
7週 蒸留の原理2 □気液平衡にもとづいた蒸留の原理が理解できる。
□気液平衡関係をもとに,沸点-組成線図およびx-y平衡曲線が書ける。
8週 〔中間試験〕
4thQ
9週 試験返却と解説
10週 蒸留の原理3 □ラウールの法則を理解できる。
□ラウールの法則を用いて気液平衡関係の計算ができる。
11週 蒸留装置とその操作、単蒸留,精留 □工業的に用いられている蒸留装置およびその操作について理解できる。
□単蒸留による分離の計算ができる。
12週 蒸留の計算1 □蒸留装置における物質収支が計算できる。
13週 蒸留の計算2 □蒸留塔内の物質収支式より,濃縮線および回収線の両操作線を作成できる。
□マッケーブ・シール法の階段作図を作図することができる。
14週 蒸留の計算3、特殊な蒸留 □マッケーブ・シール法の階段作図により,蒸留塔の段数を求めることができる。
□種々の特殊な蒸留について理解できる。
15週 〔学年末試験〕
16週 試験返却と解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野化学工学SI単位への単位換算ができる。4前1,後7
物質の流れと物質収支についての計算ができる。4前1,後7
化学反応を伴う場合と伴わない場合のプロセスの物質収支の計算ができる。4前1,後7
管径と流速・流量・レイノルズ数の計算ができ、流れの状態(層流・乱流)の判断ができる。4前1,前4
流れの物質収支の計算ができる。4前1
流れのエネルギー収支やエネルギー損失の計算ができる。4前1
流体輸送の動力の計算ができる。4前1
蒸留の原理について理解できる。4後6,後7,後10
単蒸留、精留・蒸留装置について理解できる。4後11
蒸留についての計算ができる(ラウールの法則、マッケーブシール法等)。4後10,後13,後14
バッチ式と連続式反応装置について特徴や用途を理解できる。4前1,後15

評価割合

試験課題合計
総合評価割合8020100
基礎的能力102030
専門的能力70070
分野横断的能力000