分子生物学I

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 分子生物学I
科目番号 0089 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 生物化学システム工学科 対象学年 4
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 「基礎分子生物学 第4版」 田村隆明,村松正實 著  東京化学同人
担当教員 吉永 圭介

到達目標

1.分子生物学の成り立ちやモデル生物の意義について説明できる.
2.DNAの分子構造について理解し,遺伝物質として最適な構造であることを説明できる.
3.RNAの種類と転写のしくみを分子レベルで説明できる.
4.遺伝子発現制御のしくみを, 例をあげて説明することができる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1分子生物学の成り立ちやモデル生物の意義について具体例をあげて説明できる.分子生物学の成り立ちやモデル生物の意義について説明できる.分子生物学の成り立ちやモデル生物の意義について説明できない.
評価項目2DNAの分子構造について理解し,遺伝物質として最適な構造であることを説明できる.DNAの分子構造を説明できる.DNAの分子構造を説明できない.
評価項目3RNAの種類と転写のしくみを分子レベルで説明でき,転写阻害剤とその作用機序についても説明できる.RNAの種類と転写のしくみを分子レベルで説明できる.RNAの種類と転写のしくみを説明できない.
評価項目4遺伝子発現制御のしくみを, 複数の例をあげて説明することができ,それらの特徴を比較できる.遺伝子発現制御のしくみを, 一例をあげて説明することができる.遺伝子発現制御のしくみを説明することができない.

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 3-2 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 4-4 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 6-2 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 6-3 説明 閉じる

教育方法等

概要:
生命の基本単位である「細胞」の内部では,生体を構成する物質(分子)がお互いに協調して生命活動を維持している. 分子生物学は細胞のはたらきを分子レベルで理解する学問であり,生物の持つ機能や特性を応用するための基礎となる.本科目では,おもにDNAやRNAの構造と遺伝情報が発現されるしくみについて分子レベルで理解できるように学習する。
授業の進め方・方法:
3年次までに学んだ基礎を活用して,教科書を中心に①分子生物学の成り立ちやモデル生物, ②DNAの構造と機能, ③転写のしくみ, さらに④遺伝子発現の制御機構について学ぶ.板書で基礎項目を解説した(知識習得)後,ペアやグループでのディスカッションを中心にしたAL型授業(知識の活用)を進め, 生命活動での基本的な情報の流れ(遺伝子発現のしくみ)や生命現象を解析する手法を分子レベルで確実に理解する.これらの授業のほか,グループで与えられたテーマについて調査するPBL活動を1回設け,問題解決能力の育成もはかる.
事前に,授業する箇所の教科書を読み(予習),関連する既習知識(授業を受ける前提条件)は必ず復習しておくこと. 授業後は内容を再度復習し,専門用語を用いて説明できるようになっておくこと(学習内容の定着).
参考書1:「分子生物学の基礎 第4版」George M. Malacinski (原著), 川喜田 正夫 (翻訳)  東京化学同人
参考書2:「Essential 細胞生物学」B. Albert ほか著 中村桂子,松原謙一 訳 南江堂
注意点:
各回の授業で細かな到達目標を提示するので,目標を達成することを念頭に授業にのぞむこと.またグループワークでは行動目標を提示するので,目標にしたがい積極的に参加すること.グループワークで生命現象について議論することで、科学的な話や考察をおこなう習慣を身につけて欲しい。
講義内容や関連分野について,疑問点や応用例など自ら進んで文献やWeb 等で調べるよう心がけること.
単に内容を暗記するのではなく,背景にある原理や考え方を理解してほしい. また,「なぜ?どうして?」といった疑問を大切にしてほしい. 生命現象を分子レベルで理解するためには化学の基礎知識も必要です.
質問は対応できる時はいつでも受け付けますので,気軽にたずねて来てください.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ガイダンス(分子生物学とは) 到達目標1
2週 分子生物学の成り立ち 到達目標1
3週 モデル生物について 到達目標1
4週 核酸(DNA/RNA)の分子構造 到達目標2
5週 DNAの立体構造と変性 到達目標2
6週 RNAの種類とRNAワールド仮説 到達目標3
7週 転写のしくみ(RNAポリメラーゼによる反応機構) 到達目標3
8週 まとめと評価 到達目標1,2,3
4thQ
9週 転写の制御1(刺激応答と転写の制御) 到達目標4
10週 転写の制御2(オペロンによる制御) 到達目標4
11週 クロマチン修飾とエピジェネティクス 到達目標4
12週 RNAの転写後修飾と選択的スプライシング 到達目標3
13週 PBL活動1-1(生体での転写制御例,転写阻害剤の調査) 到達目標4
14週 PBL活動1-2(生体での転写制御例,転写阻害剤の発表) 到達目標4
15週 定期試験 到達目標4
16週 定期試験の返却と解説 到達目標4

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野基礎生物DNAの構造について遺伝情報と結びつけて説明できる。4後4
遺伝情報とタンパク質の関係について説明できる。4
染色体の構造と遺伝情報の分配について説明できる。4後11
ゲノムと遺伝子の関係について説明できる。4後11
生物化学タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。4後4
ヌクレオチドの構造を説明できる。4後4
DNAの二重らせん構造、塩基の相補的結合を説明できる。4後4,後5
DNAの半保存的複製を説明できる。4
RNAの種類と働きを列記できる。4後6
コドンについて説明でき、転写と翻訳の概要を説明できる。4後7

評価割合

定期試験発表(PBL)相互評価態度ポートフォリオ確認小テスト合計
総合評価割合601500025100
基礎的能力2050001540
専門的能力3050001045
分野横断的能力105000015