有機化学II

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 有機化学II
科目番号 0102 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 生物化学システム工学科 対象学年 4
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 教科書「ハート基礎有機化学」培風館,参考書「プログラム学習 電子で考える有機化学」F.M. Mengerほか,井上幸信訳,講談社サイエンティフィク; 「Solomons Fundamentals of Organic Chemistry」T.W.Graham Solomons, WILEY; 「Introduction to Organic Chemistry」W. Brown, T. Poon, WILEY
担当教員 大島 賢治

到達目標

1.有機化合物の基本的な構造を原子価理論に基づいて説明できる.
2.立体化学の表現方法を化合物に適用できる.
3.有機化合物の諸反応を説明できる.
4.有機化学における基本的な反応機構に基づいて,反応の結果を予測できる.
5.有機合成による物質の製造について反応式を用いて例示できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
原子価理論と有機化合物の形成分子の構造から,有機化合物の物理的性質・反応性を説明できる有機化合物の基本的な構造,原子の電子配置,共有結合を説明できる有機化合物の基本的な構造,原子の電子配置,共有結合を説明できない
有機化合物の立体構造有機化合物の立体構造を,有機化学反応の立体選択性と関連付けられる 立体化学の表現方法を化合物に適用できる立体化学の表現方法を化合物に適用できない
有機化学反応の基礎有機化合物の基本的な反応を複雑な化合物に適用して説明できる有機化合物の基本的な反応を説明できる有機化合物の基本的な反応を説明できない

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
 有機化合物の電子状態および立体構造を学び,これらから説明される有機化学反応の起こり方を理解する.そして機能性化合物のデザイン・合成や生体反応の分子論的理解を含む応用的な課題に対応する力を養う.
*実務との関係
 この科目は企業で医農薬の探索合成・製法研究を担当していた教員が,その経験を活かし,有機化学反応の原理と活用方法について講義形式で授業を行うものである.
授業の進め方・方法:
 講義では教科書を読み進めるための重要な項目および原理を解説する.学生は教科書を熟読し,例題に自力で解答し,正答と照合しながら誤りを修正,考察,疑問を質問することにより一つずつ理解を深める.そして,自力で知識を活用できる力を養う.
注意点:
 努力して理解を進めるにしたがい,有機化学反応・生体反応がどのように起こるかが面白いほどクリアになり,機能性材料の開発,生体反応の理解・制御など,広い分野に活用できる基礎が得られる講義である.自分で手を動かし,構造式,立体構造や反応機構をいつも書いてみる必要がある.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 アルコール,フェノール アルコール,フェノールの性質,酸性度の違いを説明できる。
2週 アルコールの反応 アルコールの置換反応を説明できる
3週 エーテルとエポキシド エーテルとエポキシドの反応,用途を説明できる。
4週 カルボン酸とその誘導体1
カルボン酸の性質と反応,エステル化,アミド化
カルボン酸の構造と性質,エステルとアミドの構造を説明できる。これらの工業的な製品について例を挙げられる。
5週 カルボン酸とその誘導体2
カルボン酸誘導体,カルボン酸無水物,カルボン酸塩化物
カルボン酸無水物,カルボン酸塩化物の利用方法を説明できる。
6週 アルデヒドとケトン1
アルデヒドの性質と反応(水和,ヘミアセタール化)
アルデヒド・ケトンの特徴を説明できる。水やアルコールの付加・置換による生成物の構造式が書ける。
7週 アルデヒドとケトン2
アルデヒドの性質と反応(アセタール化)
アルデヒド・ケトンの特徴を説明できる。水やアルコールの付加・置換による生成物の構造式が書ける。
8週 後期中間試験
4thQ
9週 アルデヒドとケトン3
イミンの生成と還元的アミノ化
アミンの付加と脱水によるイミンの生成を説明できる。イミンの還元を説明できる。
10週 アルデヒドとケトン4
ヒドリド試薬との反応,Grignard試薬との反応
ヒドリド試薬およびGrignard試薬の付加反応を説明できる。
11週 アルデヒドとケトン5
アルドール縮合
アルドール付加・脱水の反応機構を説明し,生成物を予想できる。
12週 アルドール縮合とClaisen縮合
13週 有機合成化学
基本的な反応を用いる有機合成反応
医薬品の合成を例として,機能性化合物のデザイン・合成への応用的な課題に対応する力を修得する。
14週 有機合成化学
基本的な反応を用いる有機合成反応
医薬品の合成を例として,機能性化合物のデザイン・合成への応用的な課題に対応する力を修得する。
15週 後期学年末試験
16週 試験解説 有機化合物の電子状態および立体構造から説明される有機化学反応の起こり方を説明できる。そして機能性化合物のデザイン・合成や生体反応の分子論的理解を含む応用的な課題に対応する力を修得する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野有機化学芳香族性についてヒュッケル則に基づき説明できる。4
代表的な官能基に関して、その構造および性質を説明できる。4
それらの官能基を含む化合物の合成法およびその反応を説明できる。4
代表的な反応に関して、その反応機構を説明できる。4
電子論に立脚し、構造と反応性の関係が予測できる。4
反応機構に基づき、生成物が予測できる。4
無機化学代表的な分子に関して、原子価結合法(VB法)や分子軌道法(MO法)から共有結合を説明できる。4

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力0000000
専門的能力10000000100
分野横断的能力0000000