1. 有機化合物の定義ができ,身の回りにある物の中から例示できる
2. 構造式,立体構造の表示ができる
3. 炭化水素の基本的な命名ができる
4. アルカン,アルケン,アルキン,芳香族化合物の構造の違いを説明できる
5. 代表的な官能基と該当する代表的な化合物を一致させて例示できる
6. アルコール,アミン,カルボン酸の特徴的な性質を説明できる
7. エステルの構造,生成反応,ケン化の反応式が書ける
8. アミドの構造式が書ける
9. 鏡像異性体(対掌体)の立体的表示ができる。
10. 不斉炭素のR-S表示ができる
11. 光学活性を説明できる
概要:
有機化合物の構造と名称・典型的な性質について学ぶ。また立体構造についても学ぶ。これらは生体内反応の理解や,新しい素材・機能性化合物の開発,既存の物質の性質の理解と改良など,生物化学に関するモノ作りや原理の理解の基礎となる。
授業の進め方・方法:
教科書と板書により講義を進める。教科書は高専の低学年や米国でも多くの高校において2年生用として採用される平易なものであるが,有機化学の基礎を全て網羅しており,長年の定評のあるものである。フルカラーの写真や図も豊富であり,理解の助けになるであろう。2年次は各章の導入部分を理解し,4年次にその反応原理について理解を深める。 教科書の問題の解答集は図書館に置かれているので,利用されたい。
注意点:
平易なことの学習を後に残してはいけない。有機化学は多くの単純で容易な項目から成り立っており,何も恐れることは無い。しかし,これらをひとつひとつマスターしてゆかないと,課題は非常に大きくなってしまうのである。講義の第1回と2回目の前半は1年次の復習を多く含んでいる。この化学の基礎ができていないと,後の講義は全て理解できなくなってしまい,これらの積み残しを一度に解消する方法はない。また,1・2年次の内容がおろそかであると,4年次にいくつもの科目で破綻してしまうことになる。各項目をきちんとマスターして進むこと。
そのためには,化合物の構造式や反応式を「理解しながら何度も手で書いて」,名称と関連させて学習すること。
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 有機化学 | 有機物が炭素骨格を持つ化合物であることを説明できる。 | 2 | 後1 |
代表的な官能基を有する化合物を含み、IUPACの命名法に基づき、構造から名前、名前から構造の変換ができる。 | 2 | 後1,後4,後10,後11,後12,後13,後14 |
σ結合とπ結合について説明できる。 | 2 | 後5,後6 |
混成軌道を用い物質の形を説明できる。 | 2 | 後3,後5 |
誘起効果と共鳴効果を理解し、結合の分極を予測できる。 | 1 | 後2,後10 |
σ結合とπ結合の違いを分子軌道を使い説明できる。 | 2 | 後5,後6 |
ルイス構造を書くことができ、それを利用して反応に結びつけることができる。 | 1 | 後2,後6,後11,後13 |
共鳴構造について説明できる。 | 1 | 後7,後9,後10 |
炭化水素の種類と、それらに関する性質および代表的な反応を説明できる。 | 1 | 後4,後5,後6,後7,後9 |
分子の三次元的な構造がイメージでき、異性体について説明できる。 | 2 | 後4,後5,後15 |
構造異性体、シスートランス異性体、鏡像異性体などを説明できる。 | 2 | 後5,後15 |
化合物の立体化学に関して、その表記法により正しく表示できる。 | 2 | 後15 |
代表的な官能基に関して、その構造および性質を説明できる。 | 1 | 後10,後11,後12,後13,後14 |
無機化学 | 電子殻、電子軌道、電子軌道の形を説明できる。 | 2 | 後3 |
パウリの排他原理、軌道のエネルギー準位、フントの規則から電子の配置を示すことができる。 | 2 | 後3 |
基本的な化学結合の表し方として、電子配置をルイス構造で示すことができる。 | 3 | 後2 |
水素結合について説明できる。 | 4 | |
生物化学 | 生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。 | 2 | 後10 |