概要:
人間に限らず生物は,微生物が生育に必要とする物質や細胞外に産出する物質を様々に活用してきた.生物化学工学は微生物の産出する様々な物質や機能の工業的利用と共に発展してきた.これら技術は食品産業,医薬品産業,環境浄化などの多くの分野で利用されており,これからさらに発展していく分野の一つである.本科目では微生物の工学的な利用について各種発酵生産物を例に,生産物の特性,生産に利用されている微生物,発酵の形式,培養生産プロセスを軸に概説する.
授業の進め方・方法:
基本的にはテキストに従って進めるが,パワーポイント、配布資料を使用する場合もある。この科目では現在の微生物利用産業の実際について知識を身につけることを目標とする.
注意点:
専門用語(テクニカルターム:英単語)は次回の授業までに身につけておくこと.以後の授業では英単語で表記することがある.
授業に際しては,目標項目として掲げた 5項目を常に意識してまとめるように心がけること.また関連分野のトピック等については常に意識しておくこと.定期試験問題となる場合がある.
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 基礎生物 | 代謝、異化、同化という語を理解しており、生命活動のエネルギーの通貨としてのATPの役割について説明できる。 | 1 | 前4,後4 |
酵素とは何か説明でき、代謝における酵素の役割を説明できる。 | 2 | 前4,後4,後10 |
DNAの構造について遺伝情報と結びつけて説明できる。 | 2 | 後4,後10 |
遺伝情報とタンパク質の関係について説明できる。 | 2 | 後4,後10 |
染色体の構造と遺伝情報の分配について説明できる。 | 2 | 後4,後10 |
細胞膜を通しての物質輸送による細胞の恒常性について説明できる。 | 2 | 後4,後10 |
フィードバック制御による体内の恒常性の仕組みを説明できる。 | 2 | 後4,後10 |
生物化学 | タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。 | 1 | 後4,後10 |
単糖と多糖の生物機能を説明できる。 | 1 | 前4,後4,後10 |
グリコシド結合を説明できる。 | 1 | 前4,後4,後10 |
多糖の例を説明できる。 | 1 | 前4,後4,後10 |
タンパク質の機能をあげることができ、タンパク質が生命活動の中心であることを説明できる。 | 1 | 後4,後10 |
酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。 | 2 | 前4,後4 |
解糖系の概要を説明できる。 | 2 | 前2,前4,後1 |
クエン酸回路の概要を説明できる。 | 2 | 後1 |
嫌気呼吸(アルコール発酵・乳酸発酵)の過程を説明できる。 | 2 | 前2,前3,前4,前12,後1 |
生物工学 | 原核微生物の種類と特徴について説明できる。 | 2 | 前4,前12,後1,後4,後10 |
真核微生物(カビ、酵母)の種類と特徴について説明できる。 | 2 | 前4,前12,後1,後4,後10 |
微生物の増殖(増殖曲線)について説明できる。 | 2 | 前12,後4 |
微生物の育種方法について説明できる。 | 2 | 前4,前12,後1,後4,後10 |
微生物の培養方法について説明でき、安全対策についても説明できる。 | 2 | 前4,前12,後4,後10,後11 |
アルコール発酵について説明でき、その醸造への利用について説明できる。 | 2 | 前2,前4,前6,前11 |
食品加工と微生物の関係について説明できる。 | 2 | 前2,前4,前6,前11,前12,後4 |
抗生物質や生理活性物質の例を挙げ、微生物を用いたそれらの生産方法について説明できる。 | 2 | 後4,後10,後11 |
遺伝子組換え技術の原理について理解している。 | 1 | 後4,後10,後11 |
バイオテクノロジーの応用例(遺伝子組換え作物、医薬品、遺伝子治療など)について説明できる。 | 2 | 前4,後1,後2,後4,後10,後11 |
バイオテクノロジーが従来の技術に対して優れている点について説明できる。 | 2 | 前4,後1,後2,後4,後10,後11 |