概要:
ヒトを含めた生物(生体)は、様々な分子で構成され、様々な化学反応が起こることで生命活動を維持している。この授業では、生体を構成する分子の構造や性質、また、それらの分子が織り成す化学反応(酵素反応)や、反応に伴うエネルギーの生産・獲得機構について学ぶ。
授業の進め方・方法:
授業の内容は、主に教科書にそって進めていくが、必要に応じて資料を配布する。
授業全体の流れとして、前期は、生体を構成する分子(糖・タンパク質・核酸)の構造や特徴について学ぶ。後期は、生体内の化学反応として、酵素反応の基礎と理論、および生体エネルギーの獲得機構の2つのテーマについて学ぶ。
注意点:
*成績評価について:前期・後期4回の試験の合計が60点以上で合格とする。
*1・2年生で学んだ生物・化学の知識を基本として講義を進めるので、必ず予習・復習を行うこと。
*生物分野と化学分野を結ぶ重要な科目であるので、同年度で学ぶ生物分野・化学分野の科目と関連づけながら復習を行うこと。
*わからないことや疑問に思うことは、まず自ら調べ、質問に来てほしい。対応できる限り、質問はいつでも受け付けます。
*生物工学分野の基礎となる科目であり、この知識を習熟しているものとして専門科目での授業が実施されるので、しっかり復習し、身につけること。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンス |
生体を構成する元素や分子、細胞の基本構造について理解している。
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2週 |
脂質の構造(1) |
脂肪酸の構造、脂肪酸の反応について理解し、説明できる。
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3週 |
脂質の構造(2) |
単純脂質、複合脂質の分類と生体膜について理解し、説明できる。
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4週 |
脂質の構造(3) |
テルペン・ステロイド系脂質の構造について理解し、説明できる。
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5週 |
糖質の構造(1) |
単糖類の分類と構造について理解し、説明できる。
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6週 |
糖質の構造(2) |
単糖類の反応とオリゴ糖類の構造について理解し、説明できる。
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7週 |
糖質の構造(3) |
多糖類について理解し、説明できる。
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8週 |
タンパク質の構造(1) |
アミノ酸の構造、性質について理解し、説明できる。
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2ndQ |
9週 |
〔前期中間試験〕
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10週 |
前期中間試験の答案返却と解説 タンパク質の構造(2) |
ペプチドの構造、合成について理解し、説明できる。
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11週 |
タンパク質の構造(3) |
タンパク質の分類、構造について理解し、説明できる。
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12週 |
核酸の構造(1) |
核酸の構成成分について理解し、説明できる。
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13週 |
核酸の構造(2) |
核酸の構造と性質について理解し、説明できる。
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14週 |
核酸の構造(3) |
DNAの遺伝情報とタンパク質合成について理解し、説明できる。
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15週 |
〔前期定期試験〕 |
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16週 |
前期定期試験の答案返却と解説 |
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後期 |
3rdQ |
1週 |
ガイダンス 1、2年次の復習 |
酵素や代謝の基本的な知識について理解している。
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2週 |
酵素の特徴(1) |
化学触媒と酵素の違いを理解し、酵素の特徴を説明できる。
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3週 |
酵素の特徴(2) |
酵素の触媒作用機構について説明できる。
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4週 |
酵素反応速度論(1) |
酵素反応速度に影響を与える因子について理解し、説明できる。
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5週 |
酵素反応速度論(2) |
一般的な化学反応と酵素反応速度の違いについて理解し、説明できる。
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6週 |
酵素反応の阻害剤 |
酵素反応の阻害剤・阻害様式について説明できる。
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7週 |
酵素のまとめ |
酵素の特徴から反応速度論まで、自分の言葉を使ってまとめ、説明できる。
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8週 |
〔後期中間試験〕 |
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4thQ |
9週 |
後期中間試験の答案返却と解説 ビタミンとミネラル |
ビタミン、ミネラルの特徴や役割を説明できる。
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10週 |
代謝とエネルギー(1) |
化学反応とエネルギーの出入りについて説明できる。
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11週 |
代謝とエネルギー(2) |
ATPや補酵素の役割について説明できる。
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12週 |
クエン酸回路 |
クエン酸回路の役割や反応の特徴について説明できる。
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13週 |
電子伝達系とATP生産 |
電子伝達系の役割や反応の特徴を説明できる。
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14週 |
エネルギー獲得機構のまとめ |
生体のエネルギー獲得機構について、各反応のつながりを理解し、自分の言葉で説明できる。
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15週 |
〔後期定期試験〕 |
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16週 |
後期定期試験の答案返却と解説 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 有機化学 | 有機物が炭素骨格を持つ化合物であることを説明できる。 | 3 | 前1 |
共鳴構造について説明できる。 | 2 | |
分子の三次元的な構造がイメージでき、異性体について説明できる。 | 4 | 前5 |
構造異性体、シスートランス異性体、鏡像異性体などを説明できる。 | 4 | 前5 |
化合物の立体化学に関して、その表記法により正しく表示できる。 | 4 | 前5 |
基礎生物 | 代謝、異化、同化という語を理解しており、生命活動のエネルギーの通貨としてのATPの役割について説明できる。 | 4 | 後10,後11,後14 |
酵素とは何か説明でき、代謝における酵素の役割を説明できる。 | 4 | 後1,後7 |
DNAの構造について遺伝情報と結びつけて説明できる。 | 4 | 前14 |
遺伝情報とタンパク質の関係について説明できる。 | 4 | 前14 |
生物化学 | タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。 | 4 | 前1 |
生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。 | 4 | 前1 |
単糖と多糖の生物機能を説明できる。 | 4 | 前5 |
単糖の化学構造を説明でき、各種の異性体について説明できる。 | 4 | 前5 |
グリコシド結合を説明できる。 | 4 | 前6 |
多糖の例を説明できる。 | 4 | 前7 |
脂質の機能を複数あげることができる。 | 4 | 前2 |
トリアシルグリセロールの構造を説明できる。脂肪酸の構造を説明できる。 | 4 | 前3 |
リン脂質が作るミセル、脂質二重層について説明でき、生体膜の化学的性質を説明できる。 | 4 | 前4 |
タンパク質の機能をあげることができ、タンパク質が生命活動の中心であることを説明できる。 | 4 | 前8,前11 |
タンパク質を構成するアミノ酸をあげ、それらの側鎖の特徴を説明できる。 | 4 | 前8 |
アミノ酸の構造とペプチド結合の形成について構造式を用いて説明できる。 | 4 | 前10 |
タンパク質の高次構造について説明できる。 | 4 | 前10 |
ヌクレオチドの構造を説明できる。 | 4 | 前12 |
DNAの二重らせん構造、塩基の相補的結合を説明できる。 | 4 | 前12 |
DNAの半保存的複製を説明できる。 | 3 | 前13 |
RNAの種類と働きを列記できる。 | 4 | 前13 |
コドンについて説明でき、転写と翻訳の概要を説明できる。 | 3 | 前14 |
酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。 | 4 | 後2,後3,後7 |
酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。 | 4 | 後4,後5,後6,後7 |
補酵素や補欠因子の働きを例示できる。水溶性ビタミンとの関係を説明できる。 | 4 | 後2,後7,後9 |
解糖系の概要を説明できる。 | 1 | 後1,後10 |
クエン酸回路の概要を説明できる。 | 4 | 後12 |
酸化的リン酸化過程におけるATPの合成を説明できる。 | 4 | 後13 |
嫌気呼吸(アルコール発酵・乳酸発酵)の過程を説明できる。 | 1 | 後1,後10 |