本科目では、生物化学実験Ⅰで学修した基本的な知識、実験技術をさらに深めるとともに、生化学、細胞生物学、微生物工学、遺伝子工学、物理化学、分析化学、化学工学、無機化学に関する基礎的な実験を通して、生物工学分野の基礎知識、技術をより深く理解する。各実験毎の詳細な到達目標については、週ごとの到達目標を確認すること。さらに、実験操作を習得するだけでなく、実験結果を正しく記録し、データ処理・解析、論理的なレポート作成、安全や環境、周囲へ配慮した実験を行うことを習得する。
概要:
生物化学実験1で学修した生物および化学実験を行うための基本的な知識、実験技術をさらに深めるとともに、講義科目で学ぶ基礎的な事項を、体験することでより深く学修することを目指している。
各実験テーマを3~4人のグループで取り組むため、班員と議論しながら自分の役割を考え、協力して計画的に実験に取り組むことが必要である。
授業の進め方・方法:
授業初めにその日に行う実験についての説明および注意事項の説明を行い、実験を行う。
必要に応じて資料を印刷物またはWEBクラスで配布するが、事前に実験の手順をわかりやすくまとめた実験計画をノートにまとめておくこと。
安全に配慮して、班員と協力し、正しく実験を実施し、得られた結果を実験ノートに記録し、データ処理・解析を行う。
緒言、方法、結果、考察、参考文献等の項目を、順序だててわかりやすく明確なレポートを作成し、期日までに提出する。
注意点:
必ず予習し、実験の目的と方法を理解して実験にとりくむこと。
安全に十分に配慮し(白衣の着用必須、実験によっては保護眼鏡等の着用)、主体的に取り組むこと。
実験ノートを作成し,予習および当日の実験経過を詳細に記録すること。
レポートは各担当教員の指示に従い、期日内に提出すること。万が一遅れる場合は、その旨、必ず連絡すること。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
安全教育 溶媒の性質 |
密度計を用いて、液体の正確な密度を測定し、測定原理を説明できる。 粘度計を用いて、各種液体・溶液の粘度を測定し、濃度依存性を説明できる。 測定誤差(個人差・器差)、実験精度、再現性、信頼性、有効数字の概念を説明できる。
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2週 |
吸着量測定1 |
中和滴定法を理解し、酸あるいは塩基の濃度計算ができる。 相平衡を理解して、平衡の概念を説明できる。
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3週 |
吸着量測定2/粘度測定 |
流体の関わる現象に関する実験を通して、気体あるいは液体の物質移動に関する原理・法則を理解し、物質収支やエネルギー収支の計算をすることができる。 流量・流速の計測、温度測定など化学プラント等で計測される諸物性の測定方法を説明できる。
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4週 |
無機合成1 |
吸引ろ過ができる。
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5週 |
無機合成2 |
再結晶による精製ができる。 収率の計算ができる。
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6週 |
無機合成3 |
吸光光度法の原理を理解し、測定からデータ解析までの基本的なプロセスを行うことができる。
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7週 |
酸化還元滴定 |
酸化還元滴定法を理解し、酸化剤あるいは還元剤の濃度計算ができる。
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8週 |
レポート指導 |
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2ndQ |
9週 |
鉄の定量 |
吸光光度法の原理を理解し、測定からデータ解析までの基本的なプロセスを行うことができる。
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10週 |
キレート滴定 |
キレート滴定を理解し、錯体の濃度の計算ができる。
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11週 |
溶解熱の測定1 |
熱に関する測定(溶解熱、燃焼熱等)をして、定量的に説明できる。
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12週 |
凝固点降下の測定1 |
分子量の測定(凝固点降下)により、束一的性質から分子量を求めることができる。
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13週 |
凝固点降下の測定2 |
分子量の測定(凝固点降下)により、束一的性質から分子量を求めることができる。
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14週 |
反応速度の測定1 |
反応速度定数の温度依存性から活性化エネルギーを決定できる。
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15週 |
反応速度の測定2 |
反応速度定数の温度依存性から活性化エネルギーを決定できる。
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16週 |
レポート返却 |
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後期 |
3rdQ |
1週 |
微生物の培養 |
培地を準備するための濃度計算ができる。 高圧蒸気滅菌を行う際の注意点について理解できる。 純粋培養するための技術である無菌操作について理解し,実践できる。
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2週 |
細菌の増殖速度 |
振とう培養し、分光光度計により細菌濃度の計時変化を測定できる。 測定結果を分析し、座学で学んだ細胞の増殖についての理解を深める。また、実験後の後処理を正しく実行できる。
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3週 |
タンパク質の抽出と定性試験 |
実験の概説を理解し、実験準備ができる。タンパク質の塩析、透析膜について説明できる。
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4週 |
タンパク質の抽出と定性試験 |
加熱、酸、有機溶媒を加えることで、タンパク質が変性する理由を説明できる。
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5週 |
タンパク質の定量試験 |
タンパク質の呈色反応を理解し、分光高度計を用いてタンパク質の定量試験を実行できる。
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6週 |
光学顕微鏡の使い方 |
光学顕微鏡およびミクロメーターを正しく使用できる。
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7週 |
細胞の観察 |
サンプルを正しくスケッチできる。 原形質分離、原形質流動について理解する。
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8週 |
レポート指導 |
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4thQ |
9週 |
細胞分裂の観察1 |
細胞分裂について理解し、正しくスケッチできる。 固定、解離、染色について理解し、サンプルと溶液の準備ができる。
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10週 |
細胞分裂の観察2 |
細胞分裂について理解し、正しくスケッチできる。 固定、解離、染色について理解し、サンプルと溶液の準備ができる。
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11週 |
細胞分裂の観察3 |
細胞分裂について理解し、正しくスケッチできる。 固定、解離、染色について理解し、サンプルと溶液の準備ができる。
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12週 |
形質転換1 |
形質転換体の作成を通して、遺伝子工学分野で汎用的な試薬の作成および取扱い、基本的な実験手法を習得する。
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13週 |
形質転換2 |
形質転換体の作成を通して、遺伝子工学分野で汎用的な試薬の作成および取扱い、基本的な実験手法を習得する。
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14週 |
形質転換3 |
形質転換体の作成を通して、遺伝子工学分野で汎用的な試薬の作成および取扱い、基本的な実験手法を習得する。
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15週 |
形質転換4 |
形質転換体の作成を通して、遺伝子工学分野で汎用的な試薬の作成および取扱い、基本的な実験手法を習得する。
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16週 |
レポート返却 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 工学基礎 | 工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法) | 工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法) | 物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。 | 3 | 前1 |
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。 | 3 | 前1 |
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。 | 3 | 前1 |
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。 | 3 | |
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。 | 3 | |
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。 | 3 | |
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。 | 3 | |
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。 | 3 | |
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。 | 3 | |
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。 | 3 | |
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。 | 3 | |
専門的能力 | 分野別の工学実験・実習能力 | 化学・生物系分野【実験・実習能力】 | 有機化学実験 | 吸引ろ過ができる。 | 4 | 前4 |
再結晶による精製ができる。 | 4 | 前5,前6 |
収率の計算ができる。 | 4 | 前5 |
分析化学実験 | 中和滴定法を理解し、酸あるいは塩基の濃度計算ができる。 | 4 | 前1,前2 |
酸化還元滴定法を理解し、酸化剤あるいは還元剤の濃度計算ができる。 | 4 | 前7 |
キレート滴定を理解し、錯体の濃度の計算ができる。 | 4 | 前9 |
陽イオンおよび陰イオンのいずれかについて、分離のための定性分析ができる。 | 4 | |
代表的な定性・定量分析装置としてクロマト分析(特にガスクロ、液クロ)や、物質の構造決定を目的とした機器(吸光光度法、X線回折、NMR等)、形態観察装置としての電子顕微鏡の中の代表的ないずれかについて、その原理を理解し、測定からデータ解析までの基本的なプロセスを行うことができる。 | 4 | 前6,前9 |
固体、液体、気体の定性・定量・構造解析・組成分析等に関して必要な特定の分析装置に関して測定条件を選定し、得られたデータから考察をすることができる。 | 4 | 前3,前6,前10 |
物理化学実験 | 温度、圧力、容積、質量等を例にとり、測定誤差(個人差・器差)、実験精度、再現性、信頼性、有効数字の概念を説明できる。 | 4 | |
各種密度計(ゲールサック、オストワルド等)を用いて、液体および固体の正確な密度を測定し、測定原理を説明できる。 | 4 | 前1 |
粘度計を用いて、各種液体・溶液の粘度を測定し、濃度依存性を説明できる。 | 4 | 前1 |
熱に関する測定(溶解熱、燃焼熱等)をして、定量的に説明できる。 | 4 | 前11 |
分子量の測定(浸透圧、沸点上昇、凝固点降下、粘度測定法等)により、束一的性質から分子量を求めることができる。 | 4 | 前12,前13 |
相平衡(液体の蒸気圧、固体の溶解度、液体の相互溶解度等)を理解して、平衡の概念を説明できる。 | 4 | 前1,前2 |
反応速度定数の温度依存性から活性化エネルギーを決定できる。 | 4 | 前14,前15 |
化学工学実験 | 流量・流速の計測、温度測定など化学プラント等で計測される諸物性の測定方法を説明できる。 | 3 | 前1,前3 |
流体の関わる現象に関する実験を通して、気体あるいは液体の物質移動に関する原理・法則を理解し、物質収支やエネルギー収支の計算をすることができる。 | 2 | 前3 |
生物工学実験 | 光学顕微鏡を取り扱うことができ、生物試料を顕微鏡下で観察することができる。 | 4 | 後6,後7,後9,後10,後11 |
滅菌・無菌操作をして、微生物を培養することができる。 | 4 | 後12,後13,後14,後15 |
適切な方法や溶媒を用いて、生物試料から目的の生体物質を抽出し、ろ過や遠心分離等の簡単な精製ができる。 | 4 | |
酵素の活性を定量的または定性的に調べることができる。 | 4 | |