応用生体分子

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 平成29年度 (2017年度)
授業科目 応用生体分子
科目番号 0165 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 1
開設学科 生物化学システム工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 1
教科書/教材 配布資料
担当教員 富澤 哲,本田 晴香

到達目標

この授業では、「バイオミメティクス(生物模倣)」を大きなテーマとして取り上げる中で、
・生物の構造や機能が、実際にどのような材料に応用されているか理解し、説明できる。
・バイオミメティック材料を構成するポリマーの合成方法、性質、応用を理解し、説明できる。
・酵素や抗体の有する機能が、バイオミメティック材料にどのように応用されているか理解し、説明できる。
ようになることを目指す。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
生体材料の応用例についての理解生物の構造や機能が、実際にどのような材料に応用されているか明確に理解し、説明できる。生物の構造や機能が、実際にどのような材料に応用されているか理解し、説明できる。生物の構造や機能が、実際にどのような材料に応用されているか理解し、説明できない。
生体模倣としてのポリマーについての理解バイオミメティック材料を構成するポリマーの合成方法、性質、応用を明確に理解し、説明できる。バイオミメティック材料を構成するポリマーの合成方法、性質、応用を理解し、説明できる。バイオミメティック材料を構成するポリマーの合成方法、性質、応用を理解し、説明できない。
生体模倣としての酵素や抗体についての理解酵素や抗体の機能が、バイオミメティック材料にどのように応用されているか明確に理解し、説明できる。酵素や抗体の機能が、バイオミメティック材料にどのように応用されているか理解し、説明できる。酵素や抗体の機能が、バイオミメティック材料にどのように応用されているか理解し、説明できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
私たち人類は、自然や生物を模倣して多くのものを作ってきた。生物の多様性は新しい材料やデバイス開発のヒントとなっており、これからの社会で自然に学ぶモノつくりはますます重要になっている。このように、生物の構造や機能を模倣する技術のことを「バイオミメティクス(Biomimetics)」と呼ぶ。授業ではバイオミメティクス材料の理解を深めるため、バイオミメティクス材料を構成する高分子材料、および生物を構成する分子について構造と機能を概説し,それがどのように応用されているかを講義する。具体的には、高分子材料(バイオマテリアル)、分子認識、生物模倣による製品開発など、実例をあげて理解を深める。
授業の進め方・方法:
教科書は特に使用せず、配布資料や板書にそって授業を進める。また、授業全体の構成として、中間試験前までは、高分子材料の合成方法・化学的性質、およびバイオミメティクス材料への応用を学習する。中間試験以降では、酵素や生体膜の構造や分子認識機能と、それを応用したバイオミメティクス材料について学習する。
注意点:
配布された資料を読み、図書館やWEB等で関連する事象・論文に関して調べ、内容の理解に努めること。問題点は放置せずに自らも調べ、質問にきてほしい。対応できる限り、質問はいつでも受けつけます。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
バイオミメティクスとは
本講義で学ぶ内容を把握し、バイオミメティクスの定義を説明できる。
2週 生物を模倣した材料と高分子 天然高分子,生体高分子,合成高分子の分子特性について説明できる。
3週 生物模倣材料としての高分子(1) 高分子の合成方法(重縮合)について理解し、説明できる。
4週 生物模倣材料としての高分子(2) 高分子の合成方法(重付加、付加重合)について理解し、説明できる。
5週 生物模倣材料としての高分子(3) 高分子の合成方法(ラジカル重合)について理解し、説明できる。
6週 生物模倣材料としての高分子(4) 高分子の合成方法(イオン重合)について理解し、説明できる。
7週 生物模倣材料としての高分子(5)
発表会準備
高分子の分子特性、合成方法について理解し、説明できる。
8週 〔前期中間試験〕
2ndQ
9週 前期中間試験の答案返却と解説
生物模倣材料に関する発表会
生物模倣材料に関する文献を自分で調べ、わかりやすく発表できる。
10週 生体分子と分子認識(1) 酵素について理解し、説明できる。
11週 生体分子と分子認識(2) レセプターについて理解し、説明できる。
12週 分子認識を利用したスマートマテリアル 分子認識を利用したドラッグデリバリーシステムなどへの応用を理解し、説明できる。
13週 生体膜の特徴 生体膜の特徴や構造を理解し、説明できる。
14週 生体膜を利用したスマートマテリアル
ミセルやリポソームを応用した材料について理解し、説明できる。
15週 〔前期定期試験〕
16週 前期定期試験の答案返却と解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野有機化学高分子化合物がどのようなものか説明できる。4前2
代表的な高分子化合物の種類と、その性質について説明できる。4前2
高分子の分子量、一次構造から高次構造、および構造から発現する性質を説明できる。4前2
基礎生物酵素とは何か説明でき、代謝における酵素の役割を説明できる。4前10
細胞膜を通しての物質輸送による細胞の恒常性について説明できる。4前13
情報伝達物質とその受容体の働きを説明できる。4前11
免疫系による生体防御のしくみを説明できる。4前11
生物化学タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。4前2
生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。4前11,前14
リン脂質が作るミセル、脂質二重層について説明でき、生体膜の化学的性質を説明できる。4前13
酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。4前10
酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。4前10
補酵素や補欠因子の働きを例示できる。水溶性ビタミンとの関係を説明できる。4前10
生物工学バイオテクノロジーの応用例(遺伝子組換え作物、医薬品、遺伝子治療など)について説明できる。4前12,前14

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合90100000100
基礎的能力3010000040
専門的能力600000060
分野横断的能力0000000