医薬品工学概論

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 医薬品工学概論
科目番号 0166 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 1
開設学科 生物化学システム工学科 対象学年 5
開設期 後期 週時間数 1
教科書/教材 別途資料を配布する
担当教員 大島 賢治,吉永 圭介

到達目標

1. 医薬品の研究開発の流れが理解できる.
2. 医薬品の製造の流れが理解できる.
3. 有機合成化合物を有効成分とする一般的な製剤と蛋白質や核酸,多糖などを主成分とする生物学的製剤の違いについて説明できる.
4. 研究や製造の現場での記録および報告の重要性を説明できる.
5. 従来の医薬品と分子標的医薬との違いを説明できる.
6. 抗体医薬をはじめとするバイオ医薬品の探索および製造法を説明できる.
7. 抗体医薬をはじめとするバイオ医薬品が効くしくみを説明できる.
8. バイオテクノロジーの応用例(医薬品)について説明できる.
9. バイオ医薬品の製造・販売における諸問題について説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1医薬品の研究開発について,最近例を基に説明できる。その中で生まれた重要な概念を説明できる。医薬品の研究開発について,最近の例を基に説明できる。医薬品の研究開発について,説明できない。
評価項目2医薬品製造の流れを法規と関連させて説明できる。プロセス化学の役割を説明できる。医薬品製造の流れを法規と関連させて説明できる。医薬品製造の流れを法規と関連させて説明できない。
評価項目3研究や製造の現場での記録および報告の重要性を,法規と関連させて説明できる。研究や製造の現場での記録および報告の重要性を説明できる。研究や製造の現場での記録および報告の重要性を説明できない。
評価項目4製薬企業の最近の動向を資料に基づいて説明できる。その中で重要なトピックを指摘できる。製薬企業の最近の動向を資料に基づいて説明できる。製薬企業の最近の動向を資料に基づいて説明できない。
評価項目5従来の医薬品と分子標的医薬との違いをそれぞれの特徴を含めて説明できる.従来の医薬品と分子標的医薬との違いをおおまかに説明できる.従来の医薬品と分子標的医薬との違いを説明できない.
評価項目6抗体医薬をはじめとするバイオ医薬品の探索および製造法を複数の例をもちいて説明できる.抗体医薬をはじめとするバイオ医薬品の探索および製造法を1つの例をもちいて説明できる.抗体医薬をはじめとするバイオ医薬品の探索および製造法を説明できない.
評価項目7抗体医薬をはじめとするバイオ医薬品が効くしくみを複数の例をあげて説明できる.抗体医薬をはじめとするバイオ医薬品が効くしくみを例を1つあげて説明できる.抗体医薬をはじめとするバイオ医薬品が効くしくみを説明できない.
評価項目8バイオテクノロジーの応用例(医薬品)について,メリットや問題点を含めて説明できる。バイオテクノロジーの応用例(医薬品)について説明できる.バイオテクノロジーの応用例(医薬品)について説明できない.
評価項目9バイオ医薬品の製造・販売における諸問題について例をあげて説明でき,その解決策について自らの意見を述べることができる。バイオ医薬品の製造・販売における諸問題について例をあげて説明できる。バイオ医薬品の製造・販売における諸問題について説明できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
 前半に低分子医薬品について講義し,後半に抗体医薬や核酸医薬,ワクチンなどのバイオ医薬品について講義する.医薬品企業における医薬品の研究・開発・製造についてその概略を理解し,医薬品を開発・製造・販売する上で重要な「信頼性」についても学ぶ.また,特異的な分子をターゲットとした抗体医薬の作製法や薬効発揮の基礎を学ぶ.
授業の進め方・方法:
 研究あるいは製造現場に進む学生が興味を持つと思われる医薬品領域での「もの作り」に力点を置いて解説をする.事前に実施内容について必要な既習知識を復習しておく.授業後は内容を再度見直すだけでなく関連する情報を調べて理解を深める.
後半のバイオ医薬品の部は,グループワークによるAL型授業をおこない,バイオ医薬品の探索・製造・薬効のしくみを理解するのはもちろん,背景にある問題について議論の場を設ける.
参考書1:「創薬科学入門」 佐藤健太郎 著, オーム社
参考書2:「ここまで進んだ次世代医薬品」 中西貴之 著, 技術評論社
注意点:
授業では医薬品の研究,開発,製造に力点を置いて解説をするが,その背景や手法には医薬品企業に就職する予定の学生だけではなく,社会人が身に付けるべき重要な内容もあるので,それを理解してほしい.
AL型授業では各自が積極的に参加し,グループで協力してすすめてほしい.各回で細かな達成目標と行動目標を提示するので,それらの達成を念頭に取り組むこと.
質問等には随時応じます.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 病気と医薬品の概論(生薬,抗生物質,合成薬),
日本と世界の製薬企業
到達目標3
2週 医薬品開発の一般的手順 到達目標1
3週 探索研究の方法論1 到達目標1
4週 探索研究の方法論2 到達目標1
5週 医薬品の製造:プロセス化学,GMP 到達目標2,4
6週 製剤:放出制御DDS,プロドラッグ 到達目標2
7週 開発競争と後発医薬品 到達目標1
8週 まとめと評価1 到達目標1-4
4thQ
9週 ガイダンス(バイオ医薬品の部) 到達目標5
10週 分子標的医薬とバイオ医薬品 到達目標5
11週 免疫システムと抗体医薬・ワクチン 到達目標6
12週 抗体医薬の効くしくみ 到達目標6,7
13週 抗体医薬の改良技術と諸問題 到達目標8,9
14週 核酸医薬品 到達目標6,7,8
15週 定期試験 到達目標5-8
16週 定期試験の返却と解説 到達目標5-8

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野基礎生物情報伝達物質とその受容体の働きを説明できる。4
免疫系による生体防御のしくみを説明できる。4
生物工学バイオテクノロジーの応用例(遺伝子組換え作物、医薬品、遺伝子治療など)について説明できる。4
バイオテクノロジーが従来の技術に対して優れている点について説明できる。4

評価割合

試験課題相互評価態度ポートフォリオ振り返りシート合計
総合評価割合702000010100
基礎的能力155000323
専門的能力4010000454
分野横断的能力155000323