生化学I

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 生化学I
科目番号 0169 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 生物化学システム工学科 対象学年 3
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 マクマリー生物有機化学 生化学編(丸善出版)/「レーニンジャーの新生化学 上・下 第6版」 アルバート L レーニンジャー (著), デービッド L ネルソン (著) (廣川書店), Essential 細胞生物学(南江堂), ライフサイエンスの有機化学(三共出版)
担当教員 平野 将司

到達目標

1. 脂肪酸の構造と反応について理解し、生体膜の化学的性質を説明できる。
2. 単糖、オリゴ糖、多糖および複合糖質の構造と性質について理解し、その役割を説明できる。
3. アミノ酸、ペプチド、タンパク質の構造と化学的性質について理解し、生体内における機能を説明できる。
4. 核酸の構成成分と構造について理解し、DNAの遺伝情報とタンパク質合成について説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1 脂質の構造 脂肪酸の構造と反応について理解し、生体膜の化学的性質を明確に説明できる。脂肪酸の構造と反応、また生体膜の化学的性質を説明できる。脂肪酸の構造と反応、また生体膜の化学的性質を説明できない。
評価項目2 糖質の構造単糖、オリゴ糖、多糖および複合糖質の構造と性質について理解し、その役割を明確に説明できる。単糖、オリゴ糖、多糖および複合糖質の構造と性質について理解し、グリコシド結合を説明できる。単糖、オリゴ糖、多糖および複合糖質の構造と性質について理解し、グリコシド結合を説明できない。
評価項目3 アミノ酸・タンパク質の構造アミノ酸、ペプチド、タンパク質の構造と化学的性質について理解し、生体内における機能を明確に説明できる。アミノ酸、ペプチド、タンパク質の構造と化学的性質を説明できる。アミノ酸、ペプチド、タンパク質の構造と化学的性質を説明できない。
評価項目4 核酸の構造核酸の構成成分と構造について理解し、DNAの遺伝情報とタンパク質合成について明確に説明できる。核酸の構成成分と構造、遺伝情報の伝達について説明できる。核酸の構成成分と構造、遺伝情報の伝達について説明できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 3-1 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 3-3 説明 閉じる

教育方法等

概要:
細胞内の各反応が織り成すネットワークは、細胞の代謝を構成する。この生命活動を支える代謝を理解するためには、生体を構成する分子や生体の化学反応に寄与する分子、すなわち生体分子の化学的観点による理解が不可欠である。本科目では、糖、脂質、タンパク質、核酸を中心に、その構造、化学的性質、機能を総合的に理解する。
授業の進め方・方法:
授業の内容は、主に教科書にそって進めていくが、必要に応じて資料を配布する。
生体分子(糖・脂質・タンパク質・核酸)の構造・物性や挙動を解説し、例題に解答することで理解を深める。
注意点:
*成績評価について:2回の試験による最終評価が60点以上で合格とする。
*1・2年生で学んだ生物・化学の知識を基本として講義を進めるので、必ず予習・復習を行うこと。
*生物分野と化学分野を結ぶ重要な科目であるので、同年度で学ぶ生物分野・化学分野の科目と関連づけながら復習を行うこと。
*わからないことや疑問に思うことは、まず自ら調べ、質問に来てほしい。対応できる限り、質問はいつでも受け付けます。
*生物工学分野の基礎となる科目であり、この知識を習熟しているものとして専門科目での授業が展開されるので、しっかり復習し、身につけること。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ガイダンス 生体を構成する元素や分子、細胞の基本構造について理解している。
2週 脂質の構造(1) 脂肪酸の構造、脂肪酸の反応について理解し、説明できる。
3週 脂質の構造(2) 単純脂質、複合脂質の分類と生体膜について理解し、説明できる。
4週 脂質の構造(3) テルペン・ステロイド系脂質の構造について理解し、説明できる。
5週 糖質の構造(1) 単糖類の分類と構造について理解し、説明できる。
6週 糖質の構造(2) 単糖類の反応とオリゴ糖類の構造について理解し、説明できる。
7週 糖質の構造(3) 多糖類の種類、構造について理解し、説明できる。
8週 〔後期中間試験〕
4thQ
9週 タンパク質の構造(1) アミノ酸の構造、性質について理解し、説明できる。
10週 タンパク質の構造(2) ペプチドの構造、合成について理解し、説明できる。
11週 タンパク質の構造(3) タンパク質の分類、構造について理解し、説明できる。
12週 タンパク質の構造(4) タンパク質の高次構造形成に寄与する分子内、分子間相互作用について理解し、説明できる。
13週 核酸の構造(1) 核酸の構成成分について理解し、説明できる。
14週 核酸の構造(2) 核酸の構造と性質について理解し、説明できる。
15週 核酸の構造(3) DNAの遺伝情報とタンパク質合成について理解し、説明できる。
16週 〔後期定期試験〕

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野有機化学有機物が炭素骨格を持つ化合物であることを説明できる。3後1
共鳴構造について説明できる。3後10
分子の三次元的な構造がイメージでき、異性体について説明できる。4後5,後9
構造異性体、シスートランス異性体、鏡像異性体などを説明できる。4後5,後6
化合物の立体化学に関して、その表記法により正しく表示できる。4後5,後6,後9,後10
基礎生物代謝、異化、同化という語を理解しており、生命活動のエネルギーの通貨としてのATPの役割について説明できる。2後1
酵素とは何か説明でき、代謝における酵素の役割を説明できる。2後11
DNAの構造について遺伝情報と結びつけて説明できる。4後13,後14
遺伝情報とタンパク質の関係について説明できる。4後15
染色体の構造と遺伝情報の分配について説明できる。3後15
ゲノムと遺伝子の関係について説明できる。3後15
生物化学タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。4後1,後9,後13
生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。4後1,後9,後10,後11,後12
単糖と多糖の生物機能を説明できる。4後5,後6,後7
単糖の化学構造を説明でき、各種の異性体について説明できる。4後5,後6
グリコシド結合を説明できる。4後5,後6
多糖の例を説明できる。4後7
脂質の機能を複数あげることができる。4後2
トリアシルグリセロールの構造を説明できる。脂肪酸の構造を説明できる。4後2,後3
リン脂質が作るミセル、脂質二重層について説明でき、生体膜の化学的性質を説明できる。4後3,後4
タンパク質の機能をあげることができ、タンパク質が生命活動の中心であることを説明できる。4後9,後10,後11
タンパク質を構成するアミノ酸をあげ、それらの側鎖の特徴を説明できる。4後9,後10
アミノ酸の構造とペプチド結合の形成について構造式を用いて説明できる。4後10,後11
タンパク質の高次構造について説明できる。4後10,後11
ヌクレオチドの構造を説明できる。4後13,後14
DNAの二重らせん構造、塩基の相補的結合を説明できる。4後13,後14
DNAの半保存的複製を説明できる。4後14
RNAの種類と働きを列記できる。4後13,後14,後15
コドンについて説明でき、転写と翻訳の概要を説明できる。3後14,後15

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオ課題合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力500000050
専門的能力500000050
分野横断的能力0000000