分子生物学

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 2018
授業科目 分子生物学
科目番号 0217 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 生物化学システム工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 1
教科書/教材 「基礎分子生物学 第4版」 田村隆明,村松正實 著  東京化学同人
担当教員 吉永 圭介

到達目標

1.分子生物学の成り立ちやモデル生物の意義について説明できる.
2.DNAの分子構造について理解し,遺伝物質として最適な構造であることを説明できる.
3.DNA複製のしくみ, 変異の種類, DNA 修復のしくみを分子レベルで説明できる.
4.RNAの種類と転写のしくみを分子レベルで説明できる.
5.翻訳によるタンパク合成のしくみを分子レベルで説明できる.
6.遺伝子発現制御のしくみを, 例をあげて説明することができる.
7.おもな分子生物学的解析手法を理解し, 状況に応じてどの解析手法が適しているかを説明することができる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1分子生物学の成り立ちやモデル生物の意義について具体例をあげて説明できる.分子生物学の成り立ちやモデル生物の意義について説明できる.分子生物学の成り立ちやモデル生物の意義について説明できない.
評価項目2DNAの分子構造について理解し,遺伝物質として最適な構造であることを説明できる.DNAの分子構造を説明できる.DNAの分子構造を説明できない.
評価項目3DNA複製のしくみ, 変異の種類, DNA 修復のしくみを分子レベルで説明でき, DNA複製の応用例や変異の種類と影響の大きさも説明できる.DNA複製のしくみ, 変異の種類, DNA 修復のしくみを分子レベルで説明できる.DNA複製のしくみ, 変異の種類, DNA 修復のしくみを説明できない.
評価項目4RNAの種類と転写のしくみを分子レベルで説明でき,転写阻害剤とその作用機序についても説明できる.RNAの種類と転写のしくみを分子レベルで説明できる.RNAの種類と転写のしくみを説明できない.
評価項目5翻訳によるタンパク合成のしくみを分子レベルで説明でき, 翻訳阻害剤とその作用機序についても説明できる.翻訳によるタンパク合成のしくみを分子レベルで説明できる翻訳によるタンパク合成のしくみを説明できない.
評価項目6遺伝子発現制御のしくみを, 複数の例をあげて説明することができ,それらの特徴を比較できる.遺伝子発現制御のしくみを, 一例をあげて説明することができる.遺伝子発現制御のしくみを説明することができない.
評価項目7おもな分子生物学的解析手法を理解し, 状況に応じてどの解析手法が適しているかを理由も含めて説明することができる.おもな分子生物学的解析手法を理解し説明できるが, 状況に応じて適する解析手法の選択まではできない.おもな分子生物学的解析手法を理解できない.

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 3-2 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 4-4 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 6-2 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 6-3 説明 閉じる

教育方法等

概要:
生命の基本単位である「細胞」の内部では,生体を構成する物質(分子)がお互いに協調して生命活動を維持している. 分子生物学は細胞のはたらきを分子レベルで理解する学問であり,生物の持つ機能や特性を応用するための基礎となる.本科目では,おもにセントラルドグマの各項目について分子レベルで説明し,遺伝子組換え技術の基礎やおもな分子生物学的解析手法についても説明する.
授業の進め方・方法:
3年次までに学んだ基礎を活用して,教科書を中心に①DNAの構造と機能, ②複製と修復のしくみ, ③転写のしくみ, ④翻訳によるタンパク質合成と形質発現のしくみ, ⑤遺伝子発現の制御機構, さらに⑥分子生物学的研究手法について学ぶ.板書で基礎項目を解説した(知識習得)後,ペアやグループでのディスカッションを中心にしたAL型授業(知識の活用)を進め, 生命活動での基本的な情報の流れ(遺伝子発現のしくみ)や生命現象を解析する手法を分子レベルで確実に理解する.これらの授業のほか,グループで与えられたテーマについて調査するPBL活動を2回設け,問題解決能力の育成もはかる.
事前に,授業する箇所の教科書を読み(予習),関連する既習知識(授業を受ける前提条件)は必ず復習しておくこと. 授業後は内容を再度復習し,専門用語を用いて説明できるようになっておくこと(学習内容の定着).
参考書1:「分子生物学の基礎 第4版」George M. Malacinski (原著), 川喜田 正夫 (翻訳)  東京化学同人
参考書2:「Essential 細胞生物学」B. Albert ほか著 中村桂子,松原謙一 訳 南江堂
注意点:
各回の授業で細かな到達目標を提示するので,目標を達成することを念頭に授業にのぞむこと.またグループワークでは行動目標を提示するので,目標にしたがい積極的に参加すること.
講義内容や関連分野について,疑問点や応用例など自ら進んで文献やWeb 等で調べるよう心がけること.
単に内容を暗記するのではなく,背景にある原理や考え方を理解してほしい. また,「なぜ?どうして?」といった疑問を大切にしてほしい. 生命現象を分子レベルで理解するためには化学の基礎知識も必要です.
質問は対応できる時はいつでも受け付けますので,気軽にたずねて来てください.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス(分子生物学とは) 到達目標1
2週 分子生物学の成り立ち 到達目標1
3週 モデル生物について 到達目標1
4週 核酸(DNA/RNA)の分子構造 到達目標2
5週 DNAの立体構造と変性 到達目標2
6週 RNAの種類とRNAワールド仮説 到達目標4
7週 転写のしくみ(RNAポリメラーゼによる反応機構) 到達目標4
8週 まとめと評価 到達目標1,2,4
2ndQ
9週 転写の制御1(刺激応答と転写の制御) 到達目標6
10週 転写の制御2(オペロンによる制御) 到達目標6
11週 クロマチン修飾とエピジェネティクス 到達目標6
12週 RNAの転写後修飾と選択的スプライシング 到達目標4
13週 PBL活動1-1(生体での転写制御例,転写阻害剤の調査) 到達目標6
14週 PBL活動1-2(生体での転写制御例,転写阻害剤の発表) 到達目標6
15週 定期試験 到達目標4,6
16週 定期試験の返却と解説 到達目標4,6
後期
3rdQ
1週 翻訳のしくみ1(遺伝暗号とtRNA) 到達目標5
2週 翻訳のしくみ2(ペプチド鎖伸長機構) 到達目標5
3週 翻訳阻害剤と遺伝暗号の拡張 到達目標5
4週 DNA複製のしくみ1(半保存的複製と複製起点) 到達目標3
5週 DNA複製のしくみ2(DNAポリメラーゼによる反応) 到達目標3
6週 DNA複製の応用(PCR法) 到達目標3
7週 突然変異と変異原 到達目標3
8週 まとめと評価 到達目標3,5
4thQ
9週 変異の修復とDNA組換え 到達目標3
10週 プラスミドとプラスミドのコピー数,不和合性 到達目標7
11週 バクテリオファージとその生活環 到達目標7
12週 分子生物学的解析手法 到達目標7
13週 PBL活動2-1(状況に応じた解析手法の調査) 到達目標7
14週 PBL活動2-2(状況に応じた解析手法の提案) 到達目標7
15週 定期試験 到達目標3,7
16週 定期試験の返却と解説 到達目標3,7

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野基礎生物DNAの構造について遺伝情報と結びつけて説明できる。4前4
遺伝情報とタンパク質の関係について説明できる。4後1
染色体の構造と遺伝情報の分配について説明できる。4前11
ゲノムと遺伝子の関係について説明できる。4前11
生物化学タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。4前4
ヌクレオチドの構造を説明できる。4前4
DNAの二重らせん構造、塩基の相補的結合を説明できる。4前4,前5
DNAの半保存的複製を説明できる。4後4
RNAの種類と働きを列記できる。4前6,後1
コドンについて説明でき、転写と翻訳の概要を説明できる。4前7,後1,後2

評価割合

定期試験発表(PBL)相互評価態度ポートフォリオ確認小テスト合計
総合評価割合601500025100
基礎的能力2050001540
専門的能力3050001045
分野横断的能力105000015