タンパク質化学

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 2018
授業科目 タンパク質化学
科目番号 0219 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 1
開設学科 生物化学システム工学科 対象学年 4
開設期 後期 週時間数 1
教科書/教材 教科書:「バイオサイエンスのための 蛋白質科学入門」 有坂文雄 著 裳華房参考書:「ポストゲノム時代のタンパク質科学」 Arthur M. Lesk 著 高木淳一 訳 化学同人、 「Essential 細胞生物学」B. Albert ほか著 中村桂子,松原謙一 訳 南江堂
担当教員 平野 将司

到達目標

1.タンパク質を構成するアミノ酸の構造および化学的性質を理解する。
2.タンパク質の(高次)構造とその機能、変性を理解する。
3.タンパク質の分離、精製、研究手法を習得する。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1 生体内でタンパク質が多様な役割を担っていることを理解し、生命活動の中心を担っていることを説明できる。生体内でタンパク質が多様な役割を担っていることを理解し、生命活動の中心を担っていることを複数の例をあげて説明できる。生体内でタンパク質が多様な役割を担っていることを理解し、生命活動の中心を担っていることを説明できる。生体内でタンパク質が多様な役割を担っていることを理解できない。
評価項目2 タンパク質を構成する20種のアミノ酸について説明することができる。タンパク質を構成する20種のアミノ酸について、構造や化学的性質、表記法(1文字および3文字表記)のほか、pH変化による電荷の変化と等電点について数式をもちいて説明することができる。タンパク質を構成する20種のアミノ酸について、構造や化学的性質、表記法(1文字および3文字表記)について説明することができる。タンパク質を構成する20種のアミノ酸について説明することができない。
評価項目3 タンパク質の一次〜四次構造について説明できる。タンパク質の一次〜四次構造について、その構造を安定化する分子内、分子間相互作用について説明でき、さらにそれぞれの構造決定法も説明できる。タンパク質の一次〜四次構造について、その構造を安定化する分子内、分子間相互作用について説明できる。タンパク質の一次〜四次構造について説明できない。
評価項目4 タンパク質の分離、精製手法について説明できる。タンパク質の分離、精製手法について理解し、状況に応じてどの手法が適しているか理由を含めて説明できる。タンパク質の分離、精製手法について説明できる。タンパク質の分離、精製手法について説明できない。
評価項目5 各種タンパク質の研究手法について説明できる。各種タンパク質の研究手法について理解し、状況に応じてどの手法が適しているか理由を含めて説明できる。各種タンパク質の研究手法について説明できる。各種タンパク質の研究手法について説明できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 2-2 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 3-3 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 3-4 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 6-1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
タンパク質は生命体の構造や、生命機能を担う生命の本体とも言える重要な生体物質であり、タンパク質抜きに生命現象を語ることはできない。 生命科学はポストゲノム時代となり、タンパク質(酵素)の構造や性状を解析し、それを工学的に応用することがすすめられている。
本科目では、タンパク質の構造と機能との相関や産業応用などを理解することを目的として、タンパク質の基本的な性質や分離分析手法について学習する。 また、タンパク質(酵素)の触媒反応機構やタンパク質工学についても一部概説する。
授業の進め方・方法:
主に教科書を用いて授業中の説明と板書を中心に進める。タンパク質の分離分析手法については配布資料を用いることもある。 また理解を深めるため課題やレポートを課すこともある。
注意点:

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 生体内でのタンパク質の役割 生体内でタンパク質が多様な役割を担っていることを理解し、生命活動の中心を担っていることを説明できる。
2週 タンパク質を構成するアミノ酸(1) タンパク質を構成する20種のアミノ酸について、構造や化学的性質、表記法(1文字および3文字表記)について説明できる。
3週 タンパク質を構成するアミノ酸(2) アミノ酸の解離基と等電点について理解し、説明することができる。
4週 タンパク質の構造(一次〜四次)(1) タンパク質の立体構造の階層性について理解し、説明することができる。
5週 タンパク質の構造(一次〜四次)(2) ペプチド結合とポリペプチドのコンフォメーションについて理解する。
6週 タンパク質の構造(一次〜四次)(3) タンパク質の高次構造について理解し、説明することができる。
7週 タンパク質の構造(一次〜四次)(4) 立体構造の安定化に寄与する分子内、分子間相互作用、またその変性について理解し、説明できる。
8週 〔前期中間試験〕
4thQ
9週 タンパク質の化学構造(1) 共有結合の変化を伴うジスルフィド結合、翻訳後修飾について理解する。
10週 タンパク質の化学構造(2) プロテアーゼによるプロセッシングについて理解する。
11週 タンパク質の構造解析 タンパク質の立体構造決定法について理解する。
12週 タンパク質の分離、精製手法(1) イオン交換・ゲル濾過など各種クロマトグラフィーの原理、取扱い法について理解する。
13週 タンパク質の分離、精製手法(2) 遠心分離法や電気泳動などタンパク質の分離法について理解する。
14週 タンパク質の研究手法(1) タンパク質の定量法について理解する。
15週 タンパク質の研究手法(2) 各種タンパク質の研究手法について理解し、状況に応じてどの手法が適しているかを説明できる。
16週 〔後期末試験〕

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野有機化学有機物が炭素骨格を持つ化合物であることを説明できる。3
代表的な官能基を有する化合物を含み、IUPACの命名法に基づき、構造から名前、名前から構造の変換ができる。2
σ結合とπ結合について説明できる。1
混成軌道を用い物質の形を説明できる。1
誘起効果と共鳴効果を理解し、結合の分極を予測できる。2
σ結合とπ結合の違いを分子軌道を使い説明できる。1
分子の三次元的な構造がイメージでき、異性体について説明できる。1
構造異性体、シスートランス異性体、鏡像異性体などを説明できる。1
化合物の立体化学に関して、その表記法により正しく表示できる。1
高分子の分子量、一次構造から高次構造、および構造から発現する性質を説明できる。3
無機化学イオン結合と共有結合について説明できる。1
分析化学いくつかの代表的な陽イオンや陰イオンの定性分析のための化学反応について理解できる。2
溶解度・溶解度積について理解し必要な計算ができる。2
強酸、強塩基および弱酸、弱塩基についての各種平衡について説明できる。2
強酸、強塩基、弱酸、弱塩基、弱酸の塩、弱塩基の塩のpHの計算ができる。2
緩衝溶液とpHの関係について説明できる。2
錯体の生成について説明できる。1
光吸収について理解し、代表的な分析方法について説明できる。1
Lambert-Beerの法則に基づく計算をすることができる。3
イオン交換による分離方法についての概略を説明できる。4
無機および有機物に関する代表的な構造分析、定性、定量分析法等を理解している。3
クロマトグラフィーの理論と代表的な分析方法を理解している。3
基礎生物酵素とは何か説明でき、代謝における酵素の役割を説明できる。4後1
遺伝情報とタンパク質の関係について説明できる。4後1
生物化学タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。4後1
生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。4後6,後7,後9
タンパク質の機能をあげることができ、タンパク質が生命活動の中心であることを説明できる。4後1
タンパク質を構成するアミノ酸をあげ、それらの側鎖の特徴を説明できる。4後2,後3,後4,後6,後7
アミノ酸の構造とペプチド結合の形成について構造式を用いて説明できる。4後2,後3,後4
タンパク質の高次構造について説明できる。4後4,後5,後6,後7
酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。4後10
酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。4後10
補酵素や補欠因子の働きを例示できる。水溶性ビタミンとの関係を説明できる。4後9,後10

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオ課題合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力300000030
専門的能力700000070
分野横断的能力0000000