生物化学工学

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 生物化学工学
科目番号 0220 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 生物化学システム工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 1
教科書/教材 「応用微生物学 改訂版」村尾澤夫・荒井基夫共著 培風館
担当教員 弓原 多代

到達目標

1.醸造製品の分類分けとそれぞれの特性について説明できる.
2.微生物を利用した有用物質の生産方法について説明できる.
3.微生物が生産する有用物質の蓄積メカニズムを代謝の観点から説明できる.
4.主な抗生物質の種類と作用機序が説明できる.
5.微生物が生産する酵素の産業的な利用法が説明できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1醸造製品の分類分けとそれぞれの特性について説明でき、代表的な例を挙げることができる. 醸造製品の分類分けができ,それぞれの特性について説明できる. 醸造製品の分類分けができない.
評価項目2微生物を利用した有用物質の生産方法についていくつか例を挙げて説明できる.微生物を利用した有用物質の生産方法について簡単に説明できる.微生物を利用した有用物質について説明できない.
評価項目3微生物が生産する有用物質の蓄積メカニズムを代謝の観点から説明でき、それらを利用した工業生産物について述べることができる.微生物が生産する有用物質の蓄積メカニズムを説明できる.微生物が生産する有用物質の蓄積メカニズムを説明できない.
評価項目4主な抗生物質の種類と作用機序が説明できる.抗生物質とは何か、簡単に説明できる.抗生物質とは何か、簡単に説明できない.
評価項目5微生物が生産する酵素の産業的な利用法が説明できる.微生物が生産する酵素をいくつか挙げ、その働きを説明できる.微生物が生産する酵素の例を挙げることができない.

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 3-1 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 3-3 説明 閉じる

教育方法等

概要:
人間に限らず生物は,微生物が生育に必要とする物質や細胞外に産出する物質を様々に活用してきた.生物化学工学は微生物の産出する様々な物質や機能の工業的利用と共に発展してきた.これら技術は食品産業,医薬品産業,環境浄化などの多くの分野で利用されており,これからさらに発展していく分野の一つである.本科目では微生物の工学的な利用について各種発酵生産物を例に,生産物の特性,生産に利用されている微生物,発酵の形式,培養生産プロセスを軸に概説する.
授業の進め方・方法:
基本的にはテキストに従って進めるが,パワーポイント、配布資料を使用する場合もある。この科目では現在の微生物利用産業の実際について知識を身につけることを目標とする.
注意点:
専門用語(テクニカルターム:英単語)は次回の授業までに身につけておくこと.以後の授業では英単語で表記することがある.
授業に際しては,目標項目として掲げた 5項目を常に意識してまとめるように心がけること.また関連分野のトピック等については常に意識しておくこと.定期試験問題となる場合がある.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
2週 アルコール発酵法1 アルコール発酵について説明でき、その醸造への利用について説明できる。
3週 アルコール発酵法2 アルコール発酵について説明でき、その醸造への利用について説明できる。
4週 醸造酒の製造1 アルコール発酵について説明でき、その醸造への利用について説明できる。
5週 醸造酒の製造2 アルコール発酵について説明でき、その醸造への利用について説明できる。
6週 蒸留酒の製造1 アルコール発酵について説明でき、その醸造への利用について説明できる。
7週 まとめ1
8週 〔中間試験〕
2ndQ
9週 試験の返却と解説
10週 蒸留酒の製造2 アルコール発酵について説明でき、その醸造への利用について説明できる。
11週 各種発酵食品の製造1 食品加工と微生物の関係について説明できる。
12週 各種発酵食品の製造2 食品加工と微生物の関係について説明できる。
13週 各種発酵食品の製造3 食品加工と微生物の関係について説明できる。
14週 各種発酵食品の製造4 食品加工と微生物の関係について説明できる。
15週 〔前期末試験〕
16週 前期末試験の返却と解説
後期
3rdQ
1週 アセトン・ブタノール発酵 アルコール発酵について説明でき、その醸造への利用について説明できる。
2週 有機酸発酵 1 食品加工と微生物の関係について説明できる
3週 有機酸発酵 2 食品加工と微生物の関係について説明できる
4週 アミノ酸発酵 1 食品加工と微生物の関係について説明できる。微生物の育種方法について説明できる。
5週 アミノ酸発酵 2 食品加工と微生物の関係について説明できる。微生物の育種方法について説明できる。
6週 アミノ酸発酵 3 食品加工と微生物の関係について説明できる。微生物の育種方法について説明できる。
7週 まとめ3
8週 〔中間試験〕
4thQ
9週 試験の返却と解説
10週 抗生物質の概要 抗生物質や生理活性物質の例を挙げ、微生物を用いたそれらの生産方法について説明できる。
11週 様々な抗生物質1 抗生物質や生理活性物質の例を挙げ、微生物を用いたそれらの生産方法について説明できる。
12週 様々な抗生物質2 抗生物質や生理活性物質の例を挙げ、微生物を用いたそれらの生産方法について説明できる。
13週 生理活性物質1 抗生物質や生理活性物質の例を挙げ、微生物を用いたそれらの生産方法について説明できる。
14週 生理活性物質2 抗生物質や生理活性物質の例を挙げ、微生物を用いたそれらの生産方法について説明できる。
15週 〔学年末試験〕
16週 学年末試験の返却と解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野基礎生物代謝、異化、同化という語を理解しており、生命活動のエネルギーの通貨としてのATPの役割について説明できる。3後4
酵素とは何か説明でき、代謝における酵素の役割を説明できる。3後4,後10
DNAの構造について遺伝情報と結びつけて説明できる。2後4,後10
遺伝情報とタンパク質の関係について説明できる。2後4,後10
染色体の構造と遺伝情報の分配について説明できる。2後4,後10
細胞膜を通しての物質輸送による細胞の恒常性について説明できる。2後4,後10
フィードバック制御による体内の恒常性の仕組みを説明できる。2後4,後10
生物化学タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。2後4,後10
単糖と多糖の生物機能を説明できる。2後4,後10
グリコシド結合を説明できる。2後4,後10
多糖の例を説明できる。2後4,後10
タンパク質の機能をあげることができ、タンパク質が生命活動の中心であることを説明できる。1後4,後10
酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。2後4
解糖系の概要を説明できる。3
クエン酸回路の概要を説明できる。3
嫌気呼吸(アルコール発酵・乳酸発酵)の過程を説明できる。4
生物工学原核微生物の種類と特徴について説明できる。4
真核微生物(カビ、酵母)の種類と特徴について説明できる。4
微生物の増殖(増殖曲線)について説明できる。3
微生物の育種方法について説明できる。4後4,後5,後6
微生物の培養方法について説明でき、安全対策についても説明できる。3
アルコール発酵について説明でき、その醸造への利用について説明できる。4前2,前10
食品加工と微生物の関係について説明できる。4前12,前13,前14,後3,後4,後5,後6
抗生物質や生理活性物質の例を挙げ、微生物を用いたそれらの生産方法について説明できる。4後11,後12,後13,後14

評価割合

試験合計
総合評価割合100100
専門的能力100100