基礎物理化学I

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 2018
授業科目 基礎物理化学I
科目番号 0223 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 1
開設学科 生物化学システム工学科 対象学年 4
開設期 後期 週時間数 1
教科書/教材 物理化学入門(東京教学社)
担当教員 田浦 昌純

到達目標

1. 原子構造、電子構造について基本事項を理解し、説明できる。
2. 光と電子の二重性を理解し、説明できる。
3. 多電子原子の軌道エネルギーと電子配置、周期表の関係を理解し、説明できる
4. 化学結合、混成軌道について基本事項を理解している。 
5. 分子の振動・回転・並進エネルギーを理解し、エネルギー準位を計算できる。
6. 物理化学に関する基本的な英文を解釈できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
量子化学の基本的な概念 量子化学の基本的な概念(原子構造、電子構造、光と電子の二重性、多電子原子の軌道エネルギーと電子配置、周期表の関係を詳しく説明できる。量子化学の基本的な概念(原子構造、電子構造、光と電子の二重性、多電子原子の軌道エネルギーと電子配置、周期表の関係を、概略、説明できる。量子化学の基本的な概念(原子構造、電子構造、光と電子の二重性、多電子原子の軌道エネルギーと電子配置、周期表の関係を説明できない。
化学結合量子化学に基づき、化学結合、混成軌道について、詳しく説明できる。量子化学に基づき、化学結合、混成軌道について、概略、説明できる。量子化学に基づき、化学結合、混成軌道について、説明できない。
エネルギー準位実在の系の分子の振動・回転・並進エネルギーの意味を説明でき、エネルギー準位を計算できる。実在の系の分子の振動・回転・並進エネルギーの意味を理解でき、エネルギー準位を計算できる。実在の系の分子の振動・回転・並進エネルギーの意味を理解できず、エネルギー準位を計算できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
本科目では、化学工業や生物化学反応で重要な概念であるエネルギー(熱力学,熱化学)をマクロおよびミクロな観点から捉え、導かれた法則を理解し、現実問題へ適用する際の基礎を学ぶ。また、生物化学システム工学科で学ぶ物質化学系科目の集大成として位置づけ、「自然科学に関する知識とそれらを応用できる能力」を養成する。
授業の進め方・方法:
授業では、説明と演習を中心に進める。講義の組み立ては、前回分の復習、本題、必要に応じた演習問題とする。量子化学の基礎をベースにした化学結合の本質と、熱力学第一法帆に基づいた熱化学の考え方と利用方法をできるだけ平易に、生物化学分野との関連も示しながら進めるので、基本的な考え方への理解を深め、計算ができることを目標とする。
注意点:
授業前に教科書に目を通しておく。授業後は講義のノート、配布資料をもとに、教科書の例題、章末問題をまず自分で考える。その後、解答を参照することで理解できなかった点を再度復習して基本事項を着実に身につけること。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ガイダンス,原子の構造と電子殻
原子構造、電子構造について基本事項を理解し、説明できる。
2週 電子のエネルギー準位と原子スペクトル 電子のエネルギー準位を理解し、原子スペクトルとの関係を説明できる。
3週 原子軌道と電子配置、周期表
多電子原子の軌道エネルギーと電子配置、周期表の関係を理解し、説明できる。
4週 光と電子の二重性
光と電子の二重性を理解し、説明できる。
5週 古典力学と量子力学における波動方程式 古典力学における波動方程式を基に、量子力学における波動方程式の導出過程を理解できる。
6週 水素原子の波動関数と多電子原子の軌道エネルギー 水素原子及び多電子原子の軌道エネルギー準位を理解し、電子配置の規則を説明できる。
7週 分子シミュレーション(演習) 分子シミュレーションにより、量子力学的な量を計算できる。
8週 〔中間試験〕
4thQ
9週 答案返却と解説、化学結合と分子構造1 分子軌道法による分子の電子状態の計算方法を理解できる。
10週 化学結合と分子構造2(混成軌道) 混成軌道の概念を理解できる。 
11週 化学結合と分子構造3フロンティア軌道 フロンティア軌道の概念を理解できる。 
12週 実在の化学系のエネルギー準位1(振動) 分子の振動エネルギーの意味を理解でき、エネルギー準位を計算できる。
13週 実在の化学系のエネルギー準位2(回転) 分子の回転エネルギーの意味を理解でき、エネルギー準位を計算できる。
14週 実在の化学系のエネルギー準位3(並進) 分子の並進エネルギーの意味を理解でき、エネルギー準位を計算できる。
15週 後期定期試験
16週 後期定期試験の返却と解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野有機化学σ結合とπ結合について説明できる。4
混成軌道を用い物質の形を説明できる。4
σ結合とπ結合の違いを分子軌道を使い説明できる。4
無機化学主量子数、方位量子数、磁気量子数について説明できる。4
電子殻、電子軌道、電子軌道の形を説明できる。4
パウリの排他原理、軌道のエネルギー準位、フントの規則から電子の配置を示すことができる。4
価電子について理解し、希ガス構造やイオンの生成について説明できる。4
元素の周期律を理解し、典型元素や遷移元素の一般的な性質を説明できる。4
イオン化エネルギー、電子親和力、電気陰性度について説明できる。4
イオン結合と共有結合について説明できる。4
基本的な化学結合の表し方として、電子配置をルイス構造で示すことができる。4
電子配置から混成軌道の形成について説明することができる。4
物理化学熱力学の第一法則の定義と適用方法を説明できる。4
エンタルピーの定義と適用方法を説明できる。4
化合物の標準生成エンタルピーを計算できる。4
エンタルピーの温度依存性を計算できる。4
内部エネルギー、熱容量の定義と適用方法を説明できる。4
化学反応でのエントロピー変化を計算できる。4
気体の等温、定圧、定容および断熱変化のdU、W、Qを計算できる。4

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオ課題合計
総合評価割合85000015100
基礎的能力4000001050
専門的能力450000550
分野横断的能力0000000