化学工学II

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 2018
授業科目 化学工学II
科目番号 0242 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 1
開設学科 生物化学システム工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 1
教科書/教材 「化学工学」早川豊彦他著 実教出版,「化学工学通論Ⅰ」疋田晴夫著 朝倉書店,「化学工学通論Ⅱ」井伊谷鋼一著 朝倉書店
担当教員 若杉 玲子

到達目標

1. 蒸留に伴う気液平衡および蒸留の原理について理解している。
2. 単蒸留,精留・蒸留装置について理解している。
3. 蒸留の計算についての計算ができる(ラウールの法則,マッケーブシール法等)。
4. 工業的に用いられている抽出・吸着・膜分離プロセスについて,原理・方法を理解する。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
蒸留の原理蒸留に伴う気液平衡について理解し,蒸留の原理を明瞭に説明できる。蒸留に伴う気液平衡について概ね理解し,蒸留の原理をおおよそ説明できる。蒸留に伴う気液平衡について理解できず,蒸留の原理を説明できな い。
蒸留の計算単蒸留の計算およびマッケーブシール法による連続蒸留の計算ができる。単蒸留の計算およびマッケーブシール法による連続蒸留の計算が概ねできる。単蒸留の計算およびマッケーブシール法による連続蒸留の計算ができない。
抽出液液平衡について理解し,溶解度曲線を用いた抽出の計算ができる。液液平衡について概ね理解し,溶解度曲線を用いた抽出の計算がほぼできる。液液平衡について理解できず,溶解度曲線を用いた抽出の計算ができない。
吸着吸着の現象および吸着等温線が示す基本的な情報を理解することができる。吸着の現象および吸着等温線が示す基本的な情報を概ね理解することができる。吸着の現象および吸着等温線が示す基本的な情報を理解することができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
化学・生物化学工業における基礎知識として化学工学Ⅰで学んだ物質・エネルギー収支に加え,各種プロセスに共通の単位操作,とくに蒸留,抽出および吸着についての基礎的事項を学ぶ。
授業の進め方・方法:
工場現場において汎用的に用いられる単位操作の基本的な考え方を理解し,その基礎理論を実際に使える技術として身に付けることが目標である。
教科書の内容に沿って,主に講義形式で授業を進める。
基礎理論を具体的事例に適用できるよう,授業では毎回演習課題を提示するので,復習を兼ねて各自取り組んでもらいたい。
時間的制約のため授業では基礎理論と例題の解法の説明に止めるが,章末問題や演習等,自学自修での十分な取り組みが必要である。
注意点:
* 各自前もって予習し、授業でも依然として不明なときは納得いくまで質疑応答すること。
* 授業では,演習用ノートおよび関数電卓を常備しておくこと。また,蒸留の項では,グラフ用紙を準備しておくこと。
* 出された演習課題は必ず自分で解答し理解を深めること。また,課題は期限までに必ず提出すること。
* 質問にはいつでも応じます。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 工業的な熱の利用と伝熱の基礎 □工業的な熱の利用について学ぶ。
□伝熱における熱量の基礎的な計算ができる。
2週 蒸留の原理1 □気液平衡にもとづいた蒸留の原理が理解できる。
□気液平衡関係をもとに,沸点-組成線図およびx-y平衡曲線が書ける。
3週 蒸留の原理2 □気液平衡関係の計算ができる。
□ラウール法則を理解できる。
4週 単蒸留,精留 □単蒸留による分離の計算ができる。
5週 蒸留装置とその操作 □工業的に用いられている蒸留装置およびその操作について理解できる。
6週 蒸留の計算1 □蒸留装置における物質収支が計算できる。
□蒸留塔内の物質収支式より,濃縮線および回収線の両操作線を作成できる。
7週 蒸留の計算2,特殊な蒸留 □マッケーブ・シール法の階段作図により,蒸留塔の段数を求めることができる。
□種々の特殊な蒸留について理解できる。
8週 〔中間試験〕
2ndQ
9週 試験返却と解説
10週 抽出1(抽出操作および液液平衡関係) □抽出による分離プロセスを知る。
□液液平衡にある三成分の関係を理解し,三角図に示すことができる。
11週 抽出2(てこの原理・溶解度曲線) □抽出におけるてこの原理を理解する。
□液液平衡関係に基いて溶解度曲線を作成できる。
12週 抽出3(抽出の計算) □単抽出および多回抽出の基本的な計算ができる。
13週 吸着 □吸着技術について知り,そのプロセスを理解する。
□吸着等温線について理解する。
14週 イオン交換,電気透析,膜分離 □イオン交換,電気透析のプロセスを理解する。
□膜分離について,その技術や原理について理解する。
15週 〔前期末試験〕
16週 前期末試験の返却と解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野化学工学SI単位への単位換算ができる。4
物質の流れと物質収支についての計算ができる。4
化学反応を伴う場合と伴わない場合のプロセスの物質収支の計算ができる。4
蒸留の原理について理解できる。4
単蒸留、精留・蒸留装置について理解できる。4
蒸留についての計算ができる(ラウールの法則、マッケーブシール法等)。4
基本的な抽出の目的や方法を理解し、抽出率など関係する計算ができる。4
吸着や膜分離の原理・目的・方法を理解できる。4
バッチ式と連続式反応装置について特徴や用途を理解できる。4

評価割合

試験課題合計
総合評価割合8020100
基礎的能力102030
専門的能力70070
分野横断的能力000