応用生体分子

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 応用生体分子
科目番号 0246 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 1
開設学科 生物化学システム工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 1
教科書/教材 配布資料
担当教員 富澤 哲,本田 晴香

到達目標

この授業では,「生物模倣(バイオミメティクス)」を大きなテーマとして取り上げる中で,
・生物模倣材料を構成する高分子材料の合成方法,性質,応用を理解し,説明できる.
・酵素や抗体の有する機能が,生物模倣材料にどのように応用されているか理解し,説明できる.
・生物模倣材料の応用例について,英語の論文を読んで理解し,説明できる.
ようになることを目指す.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
生物模倣材料を構成する高分子材料についての理解生物模倣材料を構成する高分子材料の合成方法,性質,応用を理解し,明確に説明できる.生物模倣材料を構成する高分子材料の合成方法,性質,応用を理解し,説明できる.生物模倣材料を構成する高分子材料の合成方法,性質,応用を理解できず,説明できない.
生物模倣材料としての酵素や抗体の機能についての理解酵素や抗体の機能が,生物模倣材料にどのように応用されているか理解し,明確に説明できる.酵素や抗体の機能が,生物模倣材料にどのように応用されているか理解し,説明できる.酵素や抗体の機能が,生物模倣材料にどのように応用されているか理解できず,明確に説明できない.
生物模倣材料の応用例についての理解(英語の論文読解)生物模倣材料の応用例について,英語の論文を読んで理解し,明確に,わかりやすく説明できる.生物模倣材料の応用例について,英語の論文を読んで理解し,説明できる.生物模倣材料の応用例について,英語の論文を読んでも理解できず,説明できない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
私たち人類は,自然や生物を模倣して多くのものを作ってきた.生物の多様性は新しい材料やデバイス開発のヒントとなっており,これからの社会で,自然に学ぶモノつくりはますます重要になっている.生物の構造や機能を模倣する技術のことを「生物模倣(バイオミメティクス(Biomimetics))」と呼ぶ.授業では生物模倣材料の理解を深めるため,前半では生物模倣材料を構成する高分子材料の特徴や合成方法について学ぶ.後半では,生物を構成する分子の構造と機能がどのように応用されているか学ぶ.
授業の進め方・方法:
教科書は特に使用せず,配布資料や板書にそって授業を進める.また,授業全体の構成として,前半(中間試験前)までは高分子材料の合成方法・化学的性質,および生物模倣材料への応用を学ぶ.後半(中間試験以降)では,酵素や生体膜の構造や分子認識機能と,それを応用した生物模倣材料について学ぶ.
また,前半と後半の間に,生物模倣材料についての発表会を行う.具体的には,生物模倣材料についての論文(英語の原著論文のみ,LetterやCommunication,Reviewは不可.2012年以降に発表されたもの)を自分で検索し,論文をひとつ選定する.その論文を読んで内容を理解し,5分程度のプレゼンテーションにまとめ,発表する(発表は日本語で構わない).発表前に,「論文タイトル・著者・Abstractの和訳」をまとめた要旨の提出を必須とする.要旨未提出の者には発表をさせず,発表点を0点とする.また,発表しなかった者は全て0点とする.
注意点:
配布された資料を読むだけでなく,図書館やWEB等で関連する事象・論文に関して調べ,内容の理解に努めること.問題点は放置せずに自らで調べる.対応できる範囲で,質問はいつでも受けつける.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス 本講義で学ぶ内容を把握し,生物模倣の定義を説明できる.
2週 生物を模倣した材料と高分子(1) 天然高分子,生体高分子,合成高分子の分子特性について説明できる.
3週 生物を模倣した材料と高分子(2) 高分子の合成方法(重縮合)について理解し,説明できる.
4週 生物を模倣した材料と高分子(3) 高分子の合成方法(重付加,付加重合)について理解し,説明できる.
5週 生物を模倣した材料と高分子(4) 高分子の合成方法(ラジカル重合)について理解し,説明できる.
6週 生物を模倣した材料と高分子(5) 高分子の合成方法(イオン重合)について理解し,説明できる.
7週 生物を模倣した材料と高分子(6) 高分子の分子特性,合成方法について理解し,説明できる.
8週 【前期中間試験】
2ndQ
9週 前期中間試験の答案返却と解説
発表会準備(要旨の提出)
生物模倣材料に関する文献を自分で調べ,要旨にまとめることができる.
10週 生物模倣材料の応用例(英語の論文)についての発表会 生物模倣材料に関する文献を自分で調べ,わかりやすく発表できる.
11週 生体分子と分子認識(1) 酵素について理解し,説明できる.
12週 生体分子と分子認識(2) レセプターについて理解し,説明できる.
13週 分子認識を利用した生物模倣材料 分子認識を利用したドラッグデリバリーシステムなどへの応用を理解し,説明できる.
14週 生体膜の特徴 生体膜の特徴や構造を理解し,説明できる.
15週 生体膜を利用した生物模倣材料
ミセルやリポソームを応用した材料について理解し,説明できる.
16週 【前期定期試験】

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野有機化学高分子化合物がどのようなものか説明できる。4前2
代表的な高分子化合物の種類と、その性質について説明できる。4前2
高分子の分子量、一次構造から高次構造、および構造から発現する性質を説明できる。4前2
重合反応について説明できる。4前3
重縮合・付加重合・重付加・開環重合などの代表的な高分子合成反応を説明でき、どのような高分子がこの反応によりできているか区別できる。4前4
ラジカル重合・カチオン重合・アニオン重合の反応を説明できる。4前5
ラジカル重合・カチオン重合・アニオン重合の特徴を説明できる。4前6
基礎生物酵素とは何か説明でき、代謝における酵素の役割を説明できる。4前11
細胞膜を通しての物質輸送による細胞の恒常性について説明できる。4前14
情報伝達物質とその受容体の働きを説明できる。4前12
免疫系による生体防御のしくみを説明できる。4前12,前13
生物化学タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。4前11
生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。4前11
リン脂質が作るミセル、脂質二重層について説明でき、生体膜の化学的性質を説明できる。4前14,前15
酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。4前11
酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。4前11
補酵素や補欠因子の働きを例示できる。水溶性ビタミンとの関係を説明できる。4前11

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80200000100
基礎的能力3020000050
専門的能力500000050
分野横断的能力0000000