電子物性論

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 平成29年度 (2017年度)
授業科目 電子物性論
科目番号 AN121 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 電子情報システム工学専攻 対象学年 専1
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 松澤剛雄、高橋清、斉藤幸吉著/電子物性/森北出版株式会社
担当教員 高倉 健一郎

到達目標

・固体の電子物性について、古典論的、量子論的な概念を使っての説明、解釈ができるようになる.
・特に解析的な説明を学んだ部分については、定量的な説明ができるようになる.
・量子力学の基礎を理解し、エネルギーバンド理論について概要をつかむことができる.
・誘電体、磁性など材料の基礎物性の根源を理解する.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
結晶構造固体の結晶構造を化学結合と原子配置について説明できる。 空間格子の概念を理解し扱うことができる。原子の結合力、空間格子を説明することができる。原子の結合力、空間格子を説明することができない。
量子力学の基礎格子振動、比熱の外見を理解し、これらが量子化される過程を定量的に説明することができる。 固体のエネルギーバンドの形成過程を定量的に説明することができる。格子振動、比熱の外見を理解し、これらが量子化される過程を説明することができる。 固体のエネルギーバンドの形成過程を説明することができる。格子振動、比熱の外見を理解し、これらが量子化される過程を説明することができない。 固体のエネルギーバンドの形成過程を説明することができない。
評価項目3誘電体、磁性体、超伝導体の性質を理解し、各物性の起源を説明することができる。 おのおのの物理量を計算で導出することができる。誘電体、磁性体、超伝導体の性質を理解し、各物性の起源を説明することができる。誘電体、磁性体、超伝導体の性質を理解し、各物性の起源を説明することができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
本科目では特にエレクトロニクス分野を研究するにあたり予備知識として必要とされる物性の基礎的な事柄を取り上げる。学習する内容は単結晶の構造、格子振動、固体の熱的性質、量子力学の基礎、固体のエネルギーバンド理論、固体の光学的性質、誘電体、磁性体、である。
授業の進め方・方法:
学生による輪講形式とし、不足箇所は適宜補足説明する。学生は、単元の受講前に事前学習し、内容を理解した上で説明ができるように務めること。定期試験以外にも試験を実施し、達成度を確認する。
注意点:
規定授業時間数:30時間

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 結晶構造、空間格子 結晶構造について説明できる
2週 格子方向とミラー指数 格子方向とミラー指数、代表的な結晶構造を示して説明できる。
3週 格子振動 格子振動の扱い方を説明することができる。
4週 格子振動の量子化 格子振動について学び、その特徴を説明できる。
5週 固体の比熱(1) アインシュタイン理論について説明することができる
6週 固体の比熱(2) デバイ理論について説明することができる。
7週 古典的電子伝道モデル。 古典的電子伝導モデルより、移動度、ドリフト速度などの関係を説明できる。
8週 中間試験
4thQ
9週 量子力学の基礎、波動性と粒子性、シュレディンガー方程式、井戸方ポテンシャル 電子、光子の粒子性の取り扱い方として、シュレーディンガー方程式を使って固有関数、波動関数の解釈を説明することができる。
10週 トンネル効果、水素原子 トンネル効果の取り扱い、水素原子のエネルギー準位が離散化されることを説明できる。
11週 固体のエネルギーバンド理論 状態密度の考え方を学び、フェルミディラック分布を用いた金属の電子密度分布とフェルミレベルについて説明できる。
バンド理論を用いて結晶内の電子の運動を説明できる。
12週 固体の光学的性質 固体の光学的性質を誘電率、屈折率およびその周波数依存性などから説明することができる。
13週 誘電体 誘電分極について説明でき、誘電体の分類ができる。
14週 磁性体 磁性の根源が説明できる。
15週 定期試験
16週 定期試験答案返却

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験合計
総合評価割合100100
基礎的能力5050
専門的能力3030
分野横断的能力2020