電磁波計測工学

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 電磁波計測工学
科目番号 AN123 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 電子情報システム工学専攻 対象学年 専1
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 岩崎俊著「電磁波計測-ネットワークアナライザとアンテナ―」コロナ社/Zhipeng Wu "Software VNA and Microwave Network Design and Charcterisation",WILEY
担当教員 小田川 裕之

到達目標

1. Maxwellの方程式から波動方程式を導き、電磁波の電磁気学的な取り扱いができるようになる。
2. 伝送線路を分布定数回路として取り扱い、伝送線路におけるインピーダンスと反射係数、整合につい理解する。
3. Sパラメータ及びスミスチャートの取り扱いを習得する。
4.ネットワークアナライザの原理とキャリブレーションについて理解する。
5.マイクロストリップ線路について理解し、マイクロストリップ線路を用いたフィルタのシミュレーションができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
Maxwellの方程式から波動方程式を導き、電磁波の電磁気学的な取り扱いができる。Maxwellの方程式から波動方程式を導ける。また、その平面波解から、速度および波動インピーダンスと誘電率・透磁率との関係を求め説明できる。Maxwellの方程式から波動方程式を導ける。また、速度および波動インピーダンスと誘電率・透磁率との関係を説明できる。速度および波動インピーダンスと誘電率・透磁率との関係を暗記して説明できる。
伝送線路を分布定数回路として取り扱い、計算及び説明できる。伝送線路を分布定数回路として取り扱い、特性インピーダンスと反射係数の関係など、基本的な関係式を導き、解くことができる。伝送線路を分布定数回路として取り扱い、分布定数回路の基本的な問題を取り扱うことができ、現象を説明することができる。分布定数回路の基本的な問題を、解き方を覚えて解くことができる。
Sパラメータ及びスミスチャートの取り扱いを習得し、問題を解くことができる。Sパラメータ及びスミスチャートの取り扱いを習得し、マッチングなどの問題を解くことができる。Sパラメータ及びスミスチャートの意味を理解し、説明することができる。Sパラメータ及びスミスチャートの基本事項を暗記している。
ネットワークアナライザの原理とキャリブレーションについて説明できる。ネットワークアナライザの回路構成と基本要素(方向性結合器、ベクトル電圧系、PLL発振器など)を説明でき、キャリブレーションの必要性を説明し問題を解くことがきる。ネットワークアナライザの回路構成を説明でき、ネットワークアナライザの回路構成と基本要素(方向性結合器、ベクトル電圧系、PLL発振器など)を説明でき、キャリブレーションの必要性を説明きる。ネットワークアナライザの回路構成を説明できる。あるいは、ネットワークアナライザの回路構成と基本要素(方向性結合器、ベクトル電圧系、PLL発振器など)を説明できる。
マイクロストリップ線路について理解し、フィルタのシミュレーションができる。マイクロストリップ線路について理解し、マイクロストリップ線路を用いたフィルタを設計し、且つ、等価回路シミュレーションができる。マイクロストリップ線路について理解し、マイクロストリップ線路を用いたフィルタの等価回路シミュレーションができる。マイクロストリップ線路について理解し、マイクロストリップ線路を用いてフィルタが形成できることを定性的に説明できる。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
高周波回路・デバイス・機器を取り扱うために必要な基本事項について説明する。特に、電磁波の電磁気学的取り扱い、分布定数回路としての取り扱い、マイクロストリップ線路、Sパラメータとスミスチャート、及び、ネットワークアナライザについて説明する。さらに、それらの知識を融合させて、マイクロストリップ線路を用いたフィルタを題材に、設計、等価回路解析、ソフトウェアネットワークアナライザによる解析を演習する。
授業の進め方・方法:
質問を受付ながら板書による説明によって進める。また、グループワークでマイクロストリップ線路を用いたフィルタを題材に、設計、等価回路解析、ソフトウェアネットワークアナライザによる解析を演習する。演習は授業時間だけでなく、自学自習の時間を使って進める必要がある。適宜レポートを課す。
注意点:
本講義の内容は、マイクロ波帯の回路・デバイス・機器を取り扱うために必須の基礎的な内容を含むため、それらに従事する予定のものは受講することを薦める。本講義では電磁気学、及び電気回路学に関する基礎的知識を有することが望ましいが、これらの基礎的知識についても概要を説明するので、基礎知識が不足している場合は各自十分時間をとって予習・復習してほしい。質問は講義中を含めて随時受付けるので、疑問点を蓄積しないこと。 本講義は、「電気磁気学」、「電気回路学」を基礎とし、「信号伝送工学」、「電磁波工学」と関連がある。
この科目では、1単位あたり30時間の自学自習が求められる。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 科目の概要と評価方法(解説) 科目の概要と評価方法について理解する。
2週 電磁気学の復習1(解説) 電界・磁界、電位、ガウスの法則について理解する。
3週 電磁気学の復習2(解説) アンペアの法則、ファラデーの法則、境界条件について理解する。
4週 波動方程式と電磁波の平面波解(解説) 波動方程式の導出法と平面波解を理解する。速度と誘電率・透磁率の関係、波動インピーダンスについて理解する。
5週 偏波(解説) 偏波について理解する。
6週 分布定数回路の基礎(解説) 微小区間等価回路から基本方程式を導く過程を理解する。また、特性インピーダンス、伝搬定数について理解する。
7週 分布定数回路の基本問題(解説) 線路が負荷した場合のインピーダンスの求め方や、反射係数の求め方を理解する。
8週 スミスチャートとSパラメータ(解説) スミスチャートとSパラメータについて理解する。
4thQ
9週 マイクロストリップ線路とフィルタ(解説) マイクロストリップ線路について理解する。また、それを用いたフィルタについて理解する。また、終盤に行う演習の概要を理解する。
10週 インピーダンスの測定(解説) ベクトル電圧計、LCRメータの原理を理解する。
11週 誤差モデルとキャリブレーション(解説) インピーダンス測定の誤差モデルと、OS誤差補正について理解する。
12週 Sパラメータの測定(解説) 方向性結合器と誤差補正について理解する。また、PLL周波数シンセサイザについて理解する。
13週 ネットワークアナライザ(解説) ネットワークアナライザの回路構成、誤差モデル、OSLT校正、TRL校正について理解する。
14週 演習1(グループワーク) マイクロストリップ線路を用いたフィルタの設計、等価回路解析、ソフトウェアネットワークアナライザによる解析を演習する。
15週 演習2(グループワーク) 同上
16週 発表会(グループワーク) 演習の結果についてわかりやすくまとめて発表する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験発表相互評価レポート合計
総合評価割合6015520100
基礎的能力00000
専門的能力6015520100
分野横断的能力00000