数値計算論

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 平成29年度 (2017年度)
授業科目 数値計算論
科目番号 AN203 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 電子情報システム工学専攻 対象学年 専2
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 G.ストロング(山口昌哉監訳、井上昭訳)『線形代数とその応用』産業図書/森正武、名取亮、鳥居達生『数値計算』岩波書店
担当教員 村上 純

到達目標

1.LU分解などの行列の分解法を理解し、プログラム作成や計算を行うことができる。
2.線形代数の基本概念および連立1次方程式の基本理論が理解でき、説明することができる。
3.固有値の計算法を理解し、プログラム作成や計算を行うことができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
LU分解 LU分解の考え方を理解して説明することができ、練習問題が解け、正確に動作するプログラムを作成することができる。LU分解の考え方が理解でき、練習問題が解け、そのプログラムを作成することができる。LU分解の考え方が理解できず、練習問題も解けない。また、そのプログラムを作成することができない。
連立1次方程式の理論連立1次方程式について、4つの基本部分空間とその間の写像に関する基本定理を理解して説明でき、練習問題を正しく解くことができる。連立1次方程式について、4つの基本部分空間とその間の写像に関する基本定理が理解でき、練習問題を解くことができる。連立1次方程式について、4つの基本部分空間とその間の写像に関する基本定理が理解できず、練習問題を解くことができない。
最小2乗法とQR分解射影、最小2乗法、Gram-Schumidtの直交化の考え方を理解して説明でき、練習問題が解け、さらに正確に動作するQR分解のプログラムを作成するとことができる。射影、最小2乗法、Gram-Schumidtの直交化の考え方が理解でき、練習問題が解け、さらにQR分解のプログラムを作成するとことができる。射影、最小2乗法、Gram-Schumidtの直交化の考え方が理解できず、練習問題も解くことができない。また、QR分解のプログラムを作成するとこともできない。
QR法による固有値計算 QRアルゴリズムを理解して説明でき、練習問題が解け、正確に動作する固有値計算のプログラムを作成することができる。さらに、逆べき乗法により固有ベクトルを正しく求めることができる。 QRアルゴリズムが理解でき、練習問題が解け、固有値計算のプログラムを作成することができる。 QRアルゴリズムが理解できず、練習問題を解くことができない。また、固有値計算のプログラムを作成することができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
 工学的な分野では,数式的に解くことのできない解を求める必要があることが多い.このような場合には,計算機を利用して数値的に解を計算する手法がよく用 いられる.この手法のことを数値計算法と呼び、多くのアルゴリズムが考えられている。この科目では,それらの基礎となる線形代数から始めて、連立1次方程式の求解法、行列の固有値の計算法などについて講義する。実際にそれらのプログラムを作成して計算を行う課題を与え、演習を行わせる。
 本科目は本科の数学(線形代数)や数値計算論に続く科目で、数理的な応用へとつながるものと位置付けられる。 
授業の進め方・方法:
 授業は教科書に基づき、講義を中心にして行う。講義中には計算問題やプログラミング作成課題を出し、学生はそれらを解いてレポートとし提出する必要がある。それらのレポートをもとに評価を行い、6割以上の得点で合格とする。出題時に設定されたレポートの期限は厳守するものとし、未提出の場合の評価は0点とする。自学学習は講義の復習および演習レポート作成の時間に充てるものとする。
注意点:
 この講義には、ベクトル、行列などの数学の基礎知識が必要であるため、これらを十分に復習して受講することが望ましい。内容は
行列に関する数値計算法を主に線形代数の見方で学ぶもので、工学の基礎として重要な考え方と考える。なお、授業の一部で英文テキストを使用する。
 規定授業時数は60時間である。本科目はレポート課題作成等のため放課後・家庭で30時間の自学自習が求められる。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 Gaussの消去法1、LU分解プログラム作成 行列の表記法、LU分解が理解でき、分解プログラムが作成できる。
2週 Gaussの消去法2、行の交換を伴うLU分解プログラム作成 行の交換、逆行列の計算が理解でき、行の交換を伴うLU分解プログラムが作成できる。
3週 連立1次方程式の理論1、行列のランク計算プログラム作成 ベクトル空間と部分空間、未知数nの方程式mの解が理解でき、ランク計算プログラムが作成できる。
4週 連立1次方程式の理論2 線形独立、基底、次元、基本部分空間、ベクトルおよび部分空間の直交性が理解でき、演習問題が解ける。
5週 正射影と最小2乗法1 部分空間の上への射影と最小2乗近似が理解でき、演習問題が解ける。
6週 正射影と最小2乗法2 直交基底、直交行列、Gram-Schmidtの直交化が理解でき、練習問題が解ける。
7週 QR分解プログラム作成 行列のQR分解プログラムが作成できる。
8週 疑似逆行列と特異値分解 疑似逆行列と特異値分解が理解でき、練習問題が解ける。
2ndQ
9週 固有値と固有ベクトル1 固有値と固有ベクトルの概念、行列の対角化が理解でき、練習問題が解ける。
10週 行列のノルムと条件数、固有値の計算1 行列のノルムと条件数、QRアルゴリズムが理解でき、練習問題が解ける。
11週 QRアルゴリズムによる固有値計算プログラム作成 QRアルゴリズムによる固有値計算プログラムが作成できる。
12週 固有値の計算2 べき乗法、逆べき乗法が理解でき、べき乗法を用いた固有値計算プログラムが作成できる。
13週 逆べき乗法による固有ベクトル計算 逆べき乗法による固有ベクトル計算法が理解でき、プログラムが作成できる。
14週 固有値と固有ベクトル2 スペクトル定理、主成分分析が理解でき、練習問題が解ける。
15週 主成分分析の応用 主成分分析の考え方が理解でき、実際の問題に適用できる。
16週 まとめとレポート作成

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオレポート合計
総合評価割合00000100100
基礎的能力000004040
専門的能力000004040
分野横断的能力000002020