光情報処理工学

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 平成29年度 (2017年度)
授業科目 光情報処理工学
科目番号 AN205 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 電子情報システム工学専攻 対象学年 専2
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 配布プリント(講義テキストで,式の導出や演習問題の解説,そして各講義の予習や復習のための課題を記述したもの.)
担当教員 松田 豊稔

到達目標

光情報処理工学は,コンピュータに代表される情報処理システムにおいて,光をキャリアとして情報を入力,処理,記憶・記録,そして出力する技術である.本講義では,光が有する性質(波動性,粒子性、心理的要因)を理解し,その光情報処理工学への応用として基本的な光学素子や代表的な光学装置の原理や仕組みを説明できるようになる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
光情報処理システム例を用いて,光情報処理システムにおける光の利用技術を光の性質から説明できる. 光が有する基本的性質(波動性、粒子性、心理的要因)に対する認識がある。光情報処理システムの例を挙げることができる。光が有する性質(波動性、粒子性、心理的要因)を知っている。光情報処理システムにおける光利用技術の認識が無い。光が有する性質(波動性、粒子性、心理的要因)を理解できない。
光の波動的性質Maxwellの方程式から波動方程式を導き,平面波の導出ができる。光の数式表現を用いて,光の基本的性質(反射,屈折,偏光,回折,干渉,散乱)を説明することができる.Maxwellの方程式から波動方程式を導き,平面波の導出ができる。光の基本的性質(反射,屈折,偏光,回折,干渉,散乱)を定性的に説明することができる.Maxwellの方程式から導かれる波動方程式を解くことができない.光の基本的性質(反射,屈折,偏光,回折,干渉,散乱)を定性的に説明することができない.
画像情報の基礎画像情報に関する基礎的事項(コントラスト,階調,解像度,光学伝達関数,サンプリング,エリアシング,量子雑音)について学習した内容を理解している。色相や明るさなど色の定量化ができる.画像情報に関する基礎的事項(コントラスト,階調,解像度,光学伝達関数,サンプリング,エリアシング,量子雑音)について学習した内容をテキストを用いて説明することができる。色相や明るさなど色の定量化の方法と意味を知っている.画像情報に関する基礎的事項(コントラスト,階調,解像度,光学伝達関数,サンプリング,エリアシング,量子雑音)を理解しておらずテキストがあっても説明できない。  光の明るさと色の定量化について理解していない.
光学素子・光学装置の基礎授業で取り扱った光学素子や光学装置について,その原理や特性から構成について説明できるとともに,他の光情報技術についても興味を持ち,自ら調べる能力がある.授業で取り上げた光学素子や光学装置について,その原理や特性から構造を説明することができる.授業で取り上げた光学素子や光学装置について,その原理や特性を説明することができない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
1.光が有する物理的性質(波動性と粒子性)そして心理的要因(色)を理解し,光を情報伝達のキャリアとして捉える視点を養う.2.波動光学に基づく光の数式表現(平面波)を導き,偏光や回折など光の波動的性質を定量的に説明できるようになる.3.画像情報に関する基礎的事項を光学的な視点から理解する.4.基本的な光学素子や光学装置についてその動作原理や仕組みを学習し,光の利用技術に対する理解を深める。
授業の進め方・方法:
授業は講義を中心とするが,コンピュータシミュレーションや実演(簡単な実験を含む)を取入れ,講義内容の定性的な理解と光学の応用に関する知識が養成できるように努める.また,受講生には,課題発表と各講義に関するレポートを課す.評価方法は,筆記試験(定期試験)の70点と課題発表・レポートの30点の総合点100点満点で評価し,60点以上で合格(目標達成)とみなす.なお,レポートが指定期日までに提されなかった場合または課題発表を行わなかった場合は,原則としてその評価を0点とする.
注意点:
本教科では、1単位あたり30時間の自学自習が求められ、授業ごとに指定する調査活動やレポート作成などを行うこと。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス(シラバスによる科目内容・評価等の説明)
光と情報処理システム
本講義で学習する光情報処理の学習する内容を把握している。
2週 光を電磁波として定式化し、Maxwellの方程式から波動方程式を導き、その解として平面波を求める。 平面光を波動方程式の解として、数式表現できる。
3週 光の波動的性質とその応用Ⅰ
(光の強さ,スペクトル(波長))
光の強度及びスペクトル(波長)を、平面光の表現式から説明できる。
4週 光の波動的性質とその応用Ⅱ
(偏光)
光の偏光の定義を理解し、各種偏光(直線、円、楕円)について説明できる。
5週 光の波動的性質とその応用Ⅲ
(反射と屈折:フレネル反射係数)
フレネル反射係数から、光の反射と屈折を定量的に説明できる。
6週 光の波動的性質とその応用Ⅳ
(回折)
スリットによる光の回折を説明できる。
7週 光の波動的性質とその応用Ⅴ
(散乱)
粒子による散乱としてレイリ―散乱とミー散乱の特徴を説明できる。
8週 光の波動的性質とその応用に関する課題発表 光の波動的性質を利用した素子や装置を調べ、その原理や仕組みを発表することができる。
2ndQ
9週 画像情報の基礎Ⅰ
(画像表現の基本量)
画像のコントラスト、解像度、空間周波数を定量的に説明できる。
10週 画像情報の基礎Ⅱ
(サンプリングの定理)
サンプリングの定理を用いて、撮像素子と復元画像との関係を定量的に説明できる。
11週 画像情報の基礎Ⅲ
(光の明るさと色)
光の明るさと色の取扱いについて説明できる。
12週 代表的な光学素子・光学装置Ⅰ
(液晶)
空間光変調素子として、液晶の原理を理解し、液晶ディスプレイの仕組みを説明できる。
13週 代表的な光学素子・光学装置Ⅱ
(光記録)
光記録の一つの方法として、CD及びDVDの構造と再生原理を説明できる。
14週 画像情報及び光学素子・光学装置に関する課題発表 画像情報及び光学素子・光学装置について各自で調べ、その原理や仕組みを発表することができる。
15週 定期試験
16週 試験の返却と解説。そして、光技術の歴史的背景と今後の進展について述べる。 光技術の今後の進展や課題についての問題意識を持っている。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験発表レポート態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合701020000100
基礎的能力4001000050
専門的能力30101000050
分野横断的能力0000000