伝熱工学

科目基礎情報

学校 大分工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 伝熱工学
科目番号 30M515 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 機械工学科 対象学年 5
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 一色尚次/北山直方,改訂・新装版「伝熱工学」,森北出版 2014.11 160ページ 2160円:http://www.morikita.co.jp/books/book/2734
担当教員 小西 忠司

到達目標

熱分野は、熱の基本法則、熱的諸量の求め方、伝熱現象などについて理解し、熱機器を設計・製造・使用するさいに必要な能力を養うことを目標とする。伝熱工学に関する事物・現象に関わり,工学的な見方・考え方を働かせ,見通しをもって学習することなどを通して,伝熱工学に係わる事物・現象を工学的に探究するために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す.
(1) 伝熱工学の事物・現象についての理解を深め,工学的に探究するために必要な計算・解析などに関する基本的な技能を身に付けるようにする.
(2) 計算などを行い,工学的に探究する力を養う.
(3) 伝熱工学の事物・現象に進んで関わり,工学的に探究する態度を養う.
(4) 自然環境の保全と科学技術の利用の在り方について工学的に考察することを通して,持続可能な社会をつくることが重要であることを認識力をを養う。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安 総合評価80点以上標準的な到達レベルの目安 総合評価60点以上未到達レベルの目安 総合評価60点未満
伝熱工学の概要教員の説明で以下の項目が自力でできる。伝熱工学の構成,伝熱工学の将来,熱伝導,熱伝達,熱放射,熱通過について理解できる教員追加指導や学習支援者の指導で左記ができる左記の目標が達成できない。
熱伝導教員の説明で以下の項目が自力でできる。熱伝導,熱流束,温度場,フーリエの法則,熱伝導率,並行平板,重ねた並行平板,円管の熱伝導,球状壁の熱伝導,非定常熱伝導の基本式について理解できる教員追加指導や学習支援者の指導で左記ができる左記の目標が達成できない。
熱通過教員の説明で以下の項目が自力でできる。熱伝達率,平板壁の熱通過,円管の熱通過,熱伝達率と熱通過率の実倒について理解できる教員追加指導や学習支援者の指導で左記ができる左記の目標が達成できない。
熱交換器の伝熱教員の説明で以下の項目が自力でできる。隔板式熱交換器,並流,向流,直交流,蓄熱式(再生式)熱交換器,直接接触式熱交換,熱交換器における伝熱の計算について理解できる教員追加指導や学習支援者の指導で左記ができる左記の目標が達成できない。
側方に放熱のある板(柱)とひれつき面の伝熱教員の説明で以下の項目が自力でできる。側方に放熱のある板(柱)の伝熱,ひれ付面の伝熱はどのように計算について理解できる教員追加指導や学習支援者の指導で左記ができる左記の目標が達成できない。
対流熱伝達 沸騰の熱伝達教員の説明で以下の項目が自力でできる。速度境界層と温度境界層,熱伝達率,無次元数の定義,境界層方程式の数学的解析,連続の式,運動量の式,エネルギの式実験と組み合わされた次元解析,基本単位と次元式,バッキシガムのπ定理,無次元数の決定について理解できる。対流熱伝達の各種実験式,沸騰熱伝達の様相,沸騰熱伝達の問題,凝縮を伴う熱伝達,膜状凝縮と滴状醍縮,凝縮熱伝達係数を支配するもの,膜状凝縮の熱伝達率,滴状凝縮の熱伝達率について理解できる教員追加指導や学習支援者の指導で左記ができる左記の目標が達成できない。
放射伝熱教員の説明で以下の項目が自力でできる。放射伝熱の概念,熱放射の基本法則,プランクの法則,ステファンーポルツマシの法則,キルヒホッフの法則,ランバートの法則,高温ガスの熱放射,黒体二面間,平行二面間について理解できる教員追加指導や学習支援者の指導で左記ができる左記の目標が達成できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 (B2) 説明 閉じる
JABEE 2.1(1)④ 説明 閉じる

教育方法等

概要:
機械工学科は,機械工学を中心とした幅広い学問と豊富な実験実習により,先端技術を含んだ多分野に対応できる人材の養成を目的とする。この目的を達成するために本科目は,④熱やエネルギーを利用する技術を中心とした学問・技術を教授し,これらを統合して社会に役立つものを設計・製作できる能力を培う。熱力学は,「熱」を「動力」に変換するために必要な理論を論じているのに対して,伝熱工学は,熱を「伝える」すなわち熱の移動方法や移動速度を論じるものであり,機械工学を学ぶ学生に必要な科目である。本講義では,熱の三形態である熱伝導・対流・輻射について,身近な現象を観察(Demonstration)、実験不可能な現象はインターネット映像(Web Experiment)により,受講者の興味を引き出す工夫をする。その後,教科書から現象を支配する原理を学び,簡単な演習問題(Excise)による計算能力を養う。さらに雑誌,新聞記事や学会誌により基礎知識からどのように実際の問題(Practical Problem)へ適用するかを考える。
授業の進め方・方法:
1. 原則として1コマ完結型とした講義を展開する.
2. 教科書と併用して,思考を整理したり促したり,思考の過程を振り返ることができる,到達目標達成評価課題を使用する.
3. 主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)を創造する学習を導入する.
4. AI時代に適応できるように自ら問題を設定する能力を養う.
注意点:
1. 受講に際して学問的誠実性(Academinc Integrity)を遵守すること 2.講義で配布する「到達度達成評価課題」は,各自保管すること 3. 定期試験は,主として「到達度達成評価課題」から出題する 4. 再試験は「到達度達成評価課題」の提出を受験条件とする

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 第1章 伝熱工学はどのような学問か pp.1-3
第2章 熱はどのように伝わるか pp.4-6
学習到達度評価課題No.01の修了
伝熱工学の構成,伝熱工学の将来,熱伝導,熱伝達,熱放射,熱通過について理解できる
2週 第3章 熱伝導に関する基本事項 pp.7-12
学習到達度評価課題No.02の修了
熱伝導,熱流束,温度場,フーリエの法則,熱伝導率,並行平板,重ねた並行平板について理解できる
3週 第4章 熱伝導の計算はどのように取り扱うか pp.13-16
第5章 温度変化が直線的ではない場合の熱伝導 pp.17-21
学習到達度評価課題No.03の修了
円管の熱伝導,球状壁の熱伝導,非定常熱伝導の基本式について理解できる
4週 第6章 非定常熱伝導はどのように取り扱うか pp.22-29
学習到達度評価課題No.04の修了
熱伝達率,平板壁の熱通過,円管の熱通過,熱伝達率と熱通過率の実倒について理解できる
5週 第7章 熱通過の計算はどのように取り扱うか pp.30-39
学習到達度評価課題No.05の修了
隔板式熱交換器,並流,向流,直交流,蓄熱式(再生式)熱交換器,直接接触式熱交換,熱交換器における伝熱の計算について理解できる
6週 第8章 熱交換器における熱移動の形式について pp.40-44
第9章 熱交換器の伝熱はどのように計算するか pp.45-49
学習到達度評価課題No.06の修了
側方に放熱のある板(柱)の伝熱,ひれ付面の伝熱はどのように計算について理解できる
7週 第10章 側方に放熱のある板(柱)とひれつき面の伝熱の計算 pp.50-58
学習到達度評価課題No.07の修了
課題解決的な学習,既習事項を活用する学習,自分の考えを発表・交流する機会
8週 学習到達度評価課題の総仕上
アクティブラーニング 学習到達度評価プレ試験No.1+
修了者:学習到達度評価プレ試験No.1+(No.08)アクティブラーニング(自ら問題を作って解く)
未修了者:学習到達度評価課題の完成
4thQ
9週 中間試験
学習到達度評価試験No.1
到達レベル①知識・記憶レベル ②理解レベル ③適用レベル ④分析レベルについて、試験範囲から出題する
10週 中間試験の解答と解説
第11章 対流熱伝達に関する基本事項 pp.59-70
第12章 強制対流熱伝達のメカニズムはどのように解析するか pp.71-83
第13章 対流熱伝達に関する実験式 pp.84-88
学習到達度評価試験No.1の解答と解説
学習到達度評価課題No.09の修了
速度境界層と温度境界層,熱伝達率,無次元数の定義,対流熱伝達の各種実験式について理解できる
11週 第14章 沸騰の熱伝達はどのように行われるか
pp.89-98
第15章 凝縮を伴う熱伝達はどのように行われるか pp.99-103
学習到達度評価課題No.10の修了
沸騰熱伝達の様相,沸騰熱伝達の問題,凝縮を伴う熱伝達,膜状凝縮と滴状醍縮,凝縮熱伝達係数を支配するもの,膜状凝縮の熱伝達率,滴状凝縮の熱伝達率について理解できる
12週 第16章 放射伝熱はどのように行われるか pp.104-113 学習到達度評価課題No.11の修了
放射伝熱の概念,熱放射の基本法則,プランクの法則,ステファンーポルツマシの法則,キルヒホッフの法則,ランバートの法則,高温ガスの熱放射,黒体二面間,平行二面間について理解できる
13週 第17章 二面間の放射伝熱の計算はどのように行うか pp.114-120 学習到達度評価課題No.12の修了
物質伝達,拡散と拡散係数,濃度境界層,物質伝達と熱伝達の相似,吹き出し境界層による冷却,燃焼における物質伝達について理解できる
14週 学習到達度評価課題の総仕上
アクティブラーニング 学習到達度評価プレ試験No.1+
修了者:学習到達度評価プレ試験No.2+(No.13)アクティブラーニング(自ら問題を作って解く)
未修了者:学習到達度評価課題の完成
15週 期末試験 学習到達度評価試験No.2
到達レベル①知識・記憶レベル ②理解レベル ③適用レベル ④分析レベルについて、試験範囲から出題する
16週 期末試験の解答と解説 学習到達度評価試験No.2の解答と解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野熱流体伝熱の基本形態を理解し、各形態における伝熱機構を説明できる。4
フーリエの法則および熱伝導率を説明できる。4
平板および多層平板の定常熱伝導について、熱流束、温度分布、熱抵抗を計算できる。4
対流を伴う平板の定常熱伝導について、熱流束、温度分布、熱通過率を計算できる。4
ニュートンの冷却法則および熱伝達率を説明できる。4
自然対流と強制対流、層流と乱流、温度境界層と速度境界層、局所熱伝達率と平均熱伝達率を説明できる。4
平板に沿う流れ、円管内の流れ、円管群周りの流れなどについて、熱伝達関係式を用いることができる。4
黒体の定義を説明できる。4
プランクの法則、ステファン・ボルツマンの法則、ウィーンの変位則を説明できる。4
単色ふく射率および全ふく射率を説明できる。4

評価割合

課題試験合計
総合評価割合0100100
基礎的能力000
専門的能力0100100
分野横断的能力000