熱機関工学

科目基礎情報

学校 大分工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 熱機関工学
科目番号 30M528 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 機械工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 内燃機関(第3版) 宮崎大学名誉教授 工博 田坂 英紀(著) 森北出版 2015.11 192ページ 2700円:https://www.morikita.co.jp/books/book/2871
担当教員 小西 忠司

到達目標

熱分野は、熱の基本法則、熱的諸量の求め方、伝熱現象などについて理解し、熱機器を設計・製造・使用するさいに必要な能力を養うことを目標とする。熱機関工学に関する事物・現象に関わり,工学的な見方・考え方を働かせ,見通しをもって学習することなどを通して,熱機関工学に係わる事物・現象を工学的に探究するために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す.
(1) 熱機関工学の事物・現象についての理解を深め,工学的に探究するために必要な計算・解析などに関する基本的な技能を身に付けるようにする.
(2) 計算などを行い,工学的に探究する力を養う.
(3) 熱機関工学の事物・現象に進んで関わり,工学的に探究する態度を養う.
(4) 自然環境の保全と科学技術の利用の在り方について工学的に考察することを通して,持続可能な社会をつくることが重要であることを認識力を養う。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安 総合評価80点以上標準的な到達レベルの目安 総合評価60点以上未到達レベルの目安 総合評価60点未満
評価項目1 総論教員の説明で以下の項目が自力でできる。内燃機関の位置付け,エンジンの種類,エンジンの構造と役割,エンジンの作動原理,エンジンの課題を理解できる. 教員追加指導や学習支援者の指導で左記ができる左記の目標が達成できない。
評価項目2 エンジンの熱力学教員の説明で以下の項目が自力でできる。教員追加指導や学習支援者の指導で左記ができる左記の目標が達成できない。
評価項目3 出力と効率教員の説明で以下の項目が自力でできる。教員追加指導や学習支援者の指導で左記ができる左記の目標が達成できない。
評価項目4 燃料と燃焼教員の説明で以下の項目が自力でできる。エンジンに使用される燃料,燃料の製造方法,必要とされる燃料の特性,石油に変わる燃料について理解できる.燃焼反応と発熱量,混合比,理論燃焼温度を理解できる.教員追加指導や学習支援者の指導で左記ができる左記の目標が達成できない。
評価項目5 吸排気教員の説明で以下の項目が自力でできる。エンジンの吸排気,4サイクルエンジンの吸排気,2サイクルエンジンの掃気と排気,ガス交換の重要性,過給装置を理解できる. 教員追加指導や学習支援者の指導で左記ができる左記の目標が達成できない。
評価項目5 ガソリンエンジンとディーゼルエンジン教員の説明で以下の項目が自力でできる。エンジンについて,エンジンの燃焼,エンジンの燃料供給,エンジンの燃焼室を理解できる.教員追加指導や学習支援者の指導で左記ができる左記の目標が達成できない。
評価項目6 冷却と潤滑教員の説明で以下の項目が自力でできる。エンジンの冷却,エンジンの潤滑を理解できる. 教員追加指導や学習支援者の指導で左記ができる左記の目標が達成できない。
評価項目7 エンジンの計測と評価教員の説明で以下の項目が自力でできる。エンジンにおける計測,エンジンの評価項目,エンジンの燃費対策と将来性を理解できる.教員追加指導や学習支援者の指導で左記ができる左記の目標が達成できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 (B2) 説明 閉じる
JABEE 2.1(1)① 説明 閉じる

教育方法等

概要:
機械工学科は,機械工学を中心とした幅広い学問と豊富な実験実習により,先端技術を含んだ多分野に対応できる人材の養成を目的とする。この目的を達成するために本科目は,④熱やエネルギーを利用する技術を中心とした学問・技術を教授し,これらを統合して社会に役立つものを設計・製作できる能力を培う。熱機関工学という授業科目は,その装置の原理や構造を学ぶだけではなく熱力学,伝熱工学,燃焼工学などの熱工学関係の内容と共に,ほかの専門科目との関係や各種の工学分野へ学生の興味を引き出すことができる工学系の総合教育としてもっとも活用できる科目でもある. 応用技術としての熱機関工学は,エネルギーや環境の問題が重要視されている現在では,出力の大きさや熱効率ばかりではなく,低公害性や用途に応じた利用,使用燃料の種類などを基準にして総合的に評価しなければならない.このような応用的な立場から総合的な判断力を養うことも,機械工学の教育および機械工学技術者の素養として重要である.本講義では,熱力学の基本的な部分,作動原理などを理解しやすくするために直接見る機会のない内燃機関の構造に関する説明,内容を理解しやすくするために使用する用語の説明,数式の導出,例題を通して授業における内容の理解度が上がるように工夫している.
授業の進め方・方法:
1. 原則として1コマ完結型とした講義を展開する.
2. 教科書と併用して,思考を整理したり促したり,思考の過程を振り返ることができる,到達目標達成評価課題を使用する.
3. 主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)を創造する学習を導入する.
4. AI時代に適応できるように自ら問題を設定する能力を養う.
注意点:
1. 受講に際して学問的誠実性(Academinc Integrity)を遵守すること 2.講義で配布する「到達度達成評価課題」は,各自保管すること 3. 定期試験は,主として「到達度達成評価課題」から出題する 4. 再試験は「到達度達成評価課題」の提出を受験条件とする

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 第1章 総論 
pp.1-19
学習到達度評価課題No.01の修了
内燃機関の位置付け,エンジンの種類,エンジンの構造と役割,エンジンの作動原理,エンジンの課題を理解できる.
2週 第2章 エンジンの熱力学 
pp.20-45
学習到達度評価課題No.02の修了
熱力学の基礎,エンジンの熱力学的サイクル,各サイクルの効率の比較,燃料空気サイクルおよび実際のサイクルを理解できる.
3週 第3章 出力と効率(1)
pp.46-52
学習到達度評価課題No.03の修了
出力とトルク,エンジンの仕事と出力の表し方,熱効率の表し方を理解できる.
4週 第3章 出力と効率(2)
pp.53-58
学習到達度評価課題No.04の修了
体積効率と充てん効率を理解できる.
5週 第4章 燃料
pp.59-77
学習到達度評価課題No.05の修了
エンジンに使用される燃料,燃料の製造方法,必要とされる燃料の特性,石油に変わる燃料について理解できる.
6週 第5章 燃焼(1)
pp.78-82
学習到達度評価課題No.06の修了
燃焼反応と発熱量,混合比,理論燃焼温度を理解できる.
7週 第5章 燃焼(2)
pp.83-87
学習到達度評価課題No.07の修了
理論燃焼温度を理解できる.
8週 学習到達度評価課題の総仕上
アクティブラーニング 学習到達度評価プレ試験No.1+
修了者:学習到達度評価プレ試験No.1+(No.08)アクティブラーニング(自ら問題を作って解く)
未修了者:学習到達度評価課題の完成
2ndQ
9週 中間試験 学習到達度評価試験No.1
到達レベル①知識・記憶レベル ②理解レベル ③適用レベル ④分析レベルについて、試験範囲から出題する
10週 試験の解答と解説 
第6章 吸排気 pp.88-104
学習到達度評価試験No.1の解答と解説
学習到達度評価課題No.09の修了
エンジンの吸排気,4サイクルエンジンの吸排気,2サイクルエンジンの掃気と排気,ガス交換の重要性,過給装置を理解できる.
11週 第7章 ガソリンエンジン
pp.105-122
学習到達度評価課題No.10の修了
ガソリンエンジンについて,ガソリンエンジンの燃焼,ガソリンエンジンの燃料供給,ガソリンエンジンの燃焼室を理解できる.
12週 第8章 ディーゼルエンジン
pp.123-134
学習到達度評価課題No.11の修了
ディーゼルエンジンについて,ディーゼルエンジンの燃焼,ディーゼルエンジンの燃料供給,ディーゼルエンジンの燃焼室を理解できる.
13週 第9章 冷却と潤滑
pp.135-145
第10章 エンジンの計測と評価
pp.146-166
学習到達度評価課題No.12の修了
エンジンの冷却,エンジンの潤滑,エンジンにおける計測,エンジンの評価項目,エンジンの燃費対策と将来性を理解できる.
14週 学習到達度評価課題の総仕上
アクティブラーニング 学習到達度評価プレ試験No.2+
修了者:学習到達度評価プレ試験No.2+(No.13)アクティブラーニング(自ら問題を作って解く)
未修了者:学習到達度評価課題の完成
15週 期末試験 学習到達度評価試験No.2
到達レベル①知識・記憶レベル ②理解レベル ③適用レベル ④分析レベルについて、試験範囲から出題する
16週 試験の解答と解説 学習到達度評価試験No.2の解答と解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野熱流体熱力学で用いられる各種物理量の定義と単位を説明できる。4
閉じた系と開いた系、系の平衡、状態量などの意味を説明できる。4
熱力学の第一法則を説明できる。4
閉じた系と開いた系について、エネルギー式を用いて、熱、仕事、内部エネルギー、エンタルピーを計算できる。4
閉じた系および開いた系が外界にする仕事をp-V線図で説明できる。4
理想気体の圧力、体積、温度の関係を、状態方程式を用いて説明できる。4
定積比熱、定圧比熱、比熱比および気体定数の相互関係を説明できる。4
内部エネルギーやエンタルピーの変化量と温度の関係を説明できる。4
等圧変化、等積変化、等温変化、断熱変化、ポリトロープ変化の意味を理解し、状態量、熱、仕事を計算できる。4
サイクルの意味を理解し、熱機関の熱効率を計算できる。4
サイクルをT-s線図で表現できる。4

評価割合

課題試験合計
総合評価割合0100100
基礎的能力000
専門的能力0100100
分野横断的能力000