熱分野は、熱の基本法則、熱的諸量の求め方、伝熱現象などについて理解し、熱機器を設計・製造・使用するさいに必要な能力を養うことを目標とする。熱力学に関する事物・現象に関わり，工学的な見方・考え方を働かせ，見通しをもって学習することなどを通して，熱力学に係わる事物・現象を工学的に探究するために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す.
(1) 熱力学で用いられる各種物理量の定義と単位を説明できる。閉じた系と開いた系、系の平衡、状態量などの意味を説明できる。
(2) 熱力学の第一法則を説明できる。閉じた系と開いた系について、エネルギー式を用いて、熱、仕事、内部エネルギー、エンタルピーを計算できる。閉じた系および開いた系が外界にする仕事量をｐ－Ｖ線図で説明できる。
(3) 理想気体の圧力、体積、温度の関係を、状態方程式を用いて説明できる。定容比熱、定圧比熱、比熱比および気体定数の相互関係を説明できる。内部エネルギーやエンタルピーの変化量と温度の関係を説明できる。等圧変化、等容変化、等温変化、断熱変化、ポリトロープ変化の意味を理解し、状態量、熱、仕事を計算できる。
(4) 熱力学の第二法則を説明できる。サイクルの意味を理解し、熱機関の熱効率および冷凍機・ヒートポンプの成績係数を計算できる。カルノーサイクルの状態変化を理解し、熱効率を計算できる。エントロピーの定義を理解し、可逆変化および不可逆変化におけるエントロピーの変化を説明できる。固体、液体および理想気体におけるエントロピーの変化量を計算できる。サイクルをＴ-ｓ線図で表現できる。熱の有効エネルギーを説明できる。
(5) 水の等圧蒸発過程を説明できる。飽和蒸気、湿り蒸気、過熱蒸気の状態量を計算できる。蒸気の状態量を蒸気表および蒸気線図から読み取ることができる。
(6) 冷凍サイクル，蒸気圧縮式冷凍サイクル，蒸気線図の読み方について理解できる。空気冷凍サイクル，吸収冷凍サイクルについて理解できる
(7) 空気と空気調和，湿り空気の性質について理解できる。絶対湿度と相対湿度，乾球温度，湿球温度，露点温度について理解できる。空気線図の読み方，空気調和について理解できる。
概要:
（実践的教育科目）※実務との関係 この科目は企業で火力発電プラントの計画を担当していた教員が，その経験を活かし，熱力学の法則，理想気体，蒸気サイクル，別府の地熱を利用した発電システム計画（アクティブラーニング）等について講義形式で授業を行うものである.
機械工学科は，機械工学を中心とした幅広い学問と豊富な実験実習により，先端技術を含んだ多分野に対応できる人材の養成を目的とする。この目的を達成するために本科目は，④熱やエネルギーを利用する技術を中心とした学問・技術を教授し，これらを統合して社会に役立つものを設計・製作できる能力を培う。熱は，エネルギーや仕事がどのように変化するかを解き明かす学問である.エネルギーについては，省エネルギーや太陽エネルギーのように日常でよく使われているが，熱力学におけるエネルギーとは物体に仕事をさせる能力と主義されている.熱と仕事はエネルギーの一つの形態であり，私たちの身のまわりにある自動車のエンジンや冷蔵庫，エアコンなどの機械・機器はこのエネルギーによって仕事をしている.
授業の進め方・方法:
1. 原則として１コマ完結型とした講義を展開する．
2. 教科書と併用して，思考を整理したり促したり，思考の過程を振り返ることができる，到達目標達成評価課題を使用する．
3. 主体的・対話的で深い学び（アクティブ・ラーニング）を創造する学習を導入する．
4. AI時代に適応できるように自ら問題を設定する能力を養う．
注意点:
機械工学科 4年（教育プログラム 第１学年 ◎科目）必修，教育プログラム必修科目, 2単位（前期1コマ，後期1コマ，授業時間46.5時間）
1. 受講に際して学問的誠実性（Academinc Integrity）を遵守すること 2.講義で配布する「到達度達成評価課題」は，各自保管すること 3. 定期試験は，主として「到達度達成評価課題」から出題する 4. 再試験は「到達度達成評価課題」の提出を受験条件とする
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
| 前期 |
| 1stQ |
| 1週 |
第1章 熱力学を学ぶための準備（１）
pp.1-17 |
学習到達度評価課題No.01の修了
熱力学定義，系について理解できる
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| 2週 |
第1章 熱力学を学ぶための準備（２）
pp.18-28 |
学習到達度評価課題No.02の修了
熱力学で扱う物理量，その他の諸準備事項について理解できる
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| 3週 |
第2章 熱力学第1法則（１）
pp.29-39 |
学習到達度評価課題No.03の修了
エネルギーの形態，各種仕事の計算式，熱力学第１法則， 閉じた系の熱力学第１法則準静的過程について理解できる
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| 4週 |
第2章 熱力学第1法則（２）
pp.40-50 |
学習到達度評価課題No.04の修了
移動境界仕事， エンタルピー， 比熱と内部エネルギー，エンタルピーの関係，開いた系の熱力学第１法則について理解できる
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| 5週 |
第2章 熱力学第1法則（３）
pp.51-61 |
学習到達度評価課題No.05の修了
定常流動系の各種機械・機器，閉じた系の仕事と開いた系の仕事について理解できる
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| 6週 |
第3章 理想気体（１）
pp.62-66 |
学習到達度評価課題No.06の修了
作動流体の種類，理想気体の内部エネルギー，エンタルピー，比熱について理解できる
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| 7週 |
第3章 理想気体（２）
pp.67-75 |
学習到達度評価課題No.07の修了
理想気体の状態変化について理解できる
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| 8週 |
学習到達度評価課題の総仕上
アクティブラーニング 学習到達度評価プレ試験No.1+ |
修了者：学習到達度評価プレ試験No.1+(No.08)アクティブラーニング（自ら問題を作って解く）
未修了者：学習到達度評価課題の完成
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| 2ndQ |
| 9週 |
前期中間試験 |
学習到達度評価試験No.1
到達レベル①知識・記憶レベル ②理解レベル ③適用レベル ④分析レベルについて、試験範囲から出題する
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| 10週 |
試験の解答と解説 |
学習到達度評価試験No.1の解答と解説
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| 11週 |
第4章 熱力学第2法則（１）
pp.96-105 |
学習到達度評価課題No.09の完成
カルノーサイクル，エントロピーについて理解できる 熱の有効エネルギーを説明できる
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| 12週 |
第4章 熱力学第2法則（２）
pp.86-96 |
学習到達度評価課題No.10の完成
熱力学第２法則，熱機関，冷凍機とヒートポンプについて理解できるについて理解できる
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| 13週 |
アクティブラーニング（１）あなたは永久機関のうそを見破れ |
学習到達度評価課題No.11の完成
種々のエネルギーの価値を考えよう
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| 14週 |
学習到達度評価課題の総仕上
アクティブラーニング 学習到達度評価プレ試験No.2+ |
修了者：学習到達度評価プレ試験No.2+(No.12)アクティブラーニング（自ら問題を作って解く）
未修了者：学習到達度評価課題の完成
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| 15週 |
前期期末試験 |
学習到達度評価試験No.2
到達レベル①知識・記憶レベル ②理解レベル ③適用レベル ④分析レベルについて、試験範囲から出題する
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| 16週 |
試験の解答と解説 |
学習到達度評価試験No.2の解答と解説
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| 後期 |
| 3rdQ |
| 1週 |
第5章 ガスサイクル（１）
pp.106-121 |
学習到達度評価課題No.13の完成
熱機関の種類，ガスサイクルの検討の前提条件，往復式内燃機関の概要，オットーサイクルについて理解できる
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| 2週 |
第5章 ガスサイクル（２）
pp.122-137 |
学習到達度評価課題No.14の完成
ディーゼルサイクル，サバテサイクル，スターリングサイクルについて理解できる
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| 3週 |
第5章 ガスサイクル（３）
pp.138-152 |
学習到達度評価課題No.15の完成
ブレイトンサイクル，ブレイトン再生サイクル，ブレイトン中間冷却・再熱・再生サイクル，エリクソンサイクル，ジェット推進サイクルについて理解できる
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| 4週 |
アクティブラーニング（２）あなたは自動車セールスマン！ |
学習到達度評価課題No.16の完成
最新自動車の技術的特徴を知って顧客にセールスしよう
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| 5週 |
第6章 蒸気サイクル（１）
pp.153-164 |
学習到達度評価課題No.17の完成
蒸気の一般的性質，蒸気表の読み方について理解できる
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| 6週 |
第6章 蒸気サイクル（２）
pp.165-167 |
学習到達度評価課題No.18の完成
線形補間法，ランキンサイクルについて理解できる
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| 7週 |
第6章 蒸気サイクル（３）
pp.168-175 |
学習到達度評価課題No.19の完成
再熱ランキンサイクル，再生ランキンサイクルについて理解できる
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| 8週 |
学習到達度評価課題の総仕上
アクティブラーニング 学習到達度評価プレ試験No.3+ |
修了者：学習到達度評価プレ試験No.3+(No.20)アクティブラーニング（自ら問題を作って解く）
未修了者：学習到達度評価課題の完成
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| 4thQ |
| 9週 |
後期中間試験 |
学習到達度評価試験No.3
到達レベル①知識・記憶レベル ②理解レベル ③適用レベル ④分析レベルについて、試験範囲から出題する
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| 10週 |
試験の解答と解説
第7章 冷凍サイクル（１）
pp.183-178 |
学習到達度評価試験No.3の解答と解説
学習到達度評価課題No.21
冷凍サイクル，蒸気圧縮式冷凍サイクルについて理解できる
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| 11週 |
第7章 冷凍サイクル（２）
pp.179-187 |
学習到達度評価課題No.22
蒸気線図の読み方，空気冷凍サイクル，吸収冷凍サイクルについて理解できる
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| 12週 |
第8章 湿り空気と空気調和（１）
pp.188-194 |
学習到達度評価課題No.23
空気と空気調和，湿り空気の性質，絶対湿度と相対湿度，乾球温度，湿球温度，露点温度，空気線図の読み方について理解できる
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| 13週 |
アクティブラーニング（３）別府の地熱を利用した発電システムを計画しよう |
学習到達度評価課題No.24
別府市地域新エネルギーフィージビリティススタディ
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| 14週 |
学習到達度評価課題の総仕上
アクティブラーニング 学習到達度評価プレ試験No.4+ |
修了者：学習到達度評価プレ試験No.4+(No.25)アクティブラーニング（自ら問題を作って解く）
未修了者：学習到達度評価課題の完成
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| 15週 |
後期期末試験 |
学習到達度評価試験No.4
到達レベル①知識・記憶レベル ②理解レベル ③適用レベル ④分析レベルについて、試験範囲から出題する
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| 16週 |
試験の解答と解説 |
学習到達度評価試験No.4の解答と解説
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| 分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
| 専門的能力 | 分野別の専門工学 | 機械系分野 | 熱流体 | 水の等圧蒸発過程を説明できる。 | 4 | 後4 |
| 飽和蒸気、湿り蒸気、過熱蒸気の状態量を計算できる。 | 4 | 後4 |
| 蒸気の状態量を蒸気表および蒸気線図から読み取ることができる。 | 4 | 後4 |
| 熱力学で用いられる各種物理量の定義と単位を説明できる。 | 4 | 前1,前2 |
| 閉じた系と開いた系、系の平衡、状態量などの意味を説明できる。 | 4 | 前2,前3,後14 |
| 熱力学の第一法則を説明できる。 | 4 | 前4,前8,後8,後14 |
| 閉じた系と開いた系について、エネルギー式を用いて、熱、仕事、内部エネルギー、エンタルピーを計算できる。 | 4 | 前5 |
| 閉じた系および開いた系が外界にする仕事をp-V線図で説明できる。 | 4 | 前5 |
| 理想気体の圧力、体積、温度の関係を、状態方程式を用いて説明できる。 | 4 | 前6,前10 |
| 定積比熱、定圧比熱、比熱比および気体定数の相互関係を説明できる。 | 4 | 前6 |
| 内部エネルギーやエンタルピーの変化量と温度の関係を説明できる。 | 4 | 前6 |
| 等圧変化、等積変化、等温変化、断熱変化、ポリトロープ変化の意味を理解し、状態量、熱、仕事を計算できる。 | 4 | 前6,前10 |
| 固体、液体および理想気体におけるエントロピーの変化量を計算できる。 | 4 | 前13 |
| 熱の有効エネルギーを説明できる。 | 4 | 後1,後2,後3 |
| 熱力学の第二法則を説明できる。 | 4 | 前11 |
| サイクルの意味を理解し、熱機関の熱効率を計算できる。 | 4 | 前12 |
| カルノーサイクルの状態変化を理解し、熱効率を計算できる。 | 4 | 前13 |
| エントロピーの定義を理解し、可逆変化および不可逆変化におけるエントロピーの変化を説明できる。 | 4 | 前13 |
| サイクルをT-s線図で表現できる。 | 4 | 後1,後2,後3 |