(1) 技術者倫理,情報倫理,環境倫理,法令遵守,社会の持続可能性に基づいて,技術者として取るべき行動を説明できる.(定期試験,理解度確認テスト,レポート)
(2) 国際社会および地域の発展に対しての技術者の役割を説明できる.(定期試験,理解度確認テスト,レポート)
(3) 知的財産の重要性や活用の重要性を理解している.(試験,理解度確認テスト,レポート)
(4) 技術が社会や自然に及ぼす影響や効果を認識し,技術者が社会に負っている責任と他者がおかれている状況に配慮した行動について理解できる.(試験,理解度確認テスト,レポート)
概要:
(実践的教育科目)
この科目は,35年間大分県職員(土木技術)として勤務,さらに5年間,企業にて組織管理を担当していた技術士資格を有する教員が,その経験を活かし,技術者としての倫理ならびに技術史について講義形式で授業を行うものである.
その内容は,現在に至るまで技術の発展が人類にもたらしてきた影響と技術者の関わり,及び責任ある行動をとるための基本的な事項(技術者倫理,社会的責任)を習得するものである,また,技術史上,有名な事件,事故,不祥事を取り上げ,その事案が顕在化した発生原因や組織や個人のあり方を考察し,再発を防ぎさらに技術が発展するための責任ある行動とは何かを学ぶものである.
(科目情報)
教育プログラム第1学年 ◎科目
授業の進め方・方法:
・講義形式:重要用語,記述を白抜きしたパワポ資料を学生に配布.講義は用語等を白抜きしていないパワポで概説し,学生はそれを書写することとする(講義時間は前半の60分を目安).
・理解度確認テスト:講義で概説した内容について小テストを行う.また,考察力,説明能力を向上させる目的で応用問題も出題する(時間は30分を目安).解答は,次回講義で配布.
・グループワーク:令和4年度の新規取組としてグループワークを行う(2回程度).講師が作成した課題について,ディスカッションを行う.4名ほどのグループで,リーダー,書記,発表者を決め各班毎に発表を行い評価する(時間は60分を目安).
・レポート:講義で説明した内容を基軸にした機械工学をテーマにした倫理について考察を求める.作成期間は約2週間,字数は1800字(手書き).
(事前学習)
授業計画を確認し,授業内容に関連する個所について,教科書を読んだりインターネットで調べたりすること.
注意点:
(履修上の注意)
・理解度確認テストは,講義で概説した用語,内容を真摯に書写していないと求められる評価を得ることは困難である.
・理解度確認テストの応用問題,グループワーク,レポートについては,日頃から技術に関する様々な事象に関心を持ち,自分なりの考えを整理する習慣を身につけておくことが必要である.このことによりリーダーシップ,課題解決能力,コミュニケーション能力の向上を求めることとする.
(自学上の注意)
・レポートの提出期日の遅れはやむをえない理由以外の場合は受け取らないものとする.また,本人が提出することとする.
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
第1章 モラルへのとびら |
技術者倫理を学ぶに当たって,倫理に関する基礎的用語の習得し,その後の講義の理解度を高めることができる. 種々の組織の倫理規定を学習することにより,規定がどのように体系的に構築されているかが説明できる. 事例を知ることにより,倫理上の課題,問題点を考察できる基礎的能力を習得できる.
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2週 |
第2章 技術者と倫理 |
事例に基づき,何故,技術者に倫理観が求められるかを学習し説明できる. 研究者の倫理,職務上の倫理等様々な視点からの倫理を学び将来の実務で活かすことができる.
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3週 |
第3章 組織の中の個人の役割 |
事例に基づき,組織の中で自分がどのような倫理感をもって職務に従事すべきかを理解できる. 技術者は立場によってその行動と考察が変化することを学び,倫理観の重要性を再認識できる.
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4週 |
第4章 組織上の人間関係 |
現在,技術者のほとんどが,組織の中で働く.その組織の中で,自分はどのような立ち位置でどのような意思決定を行い,技術者としての能力を発揮するのかを理解できる. 意思決定を行う場合,常に技術者を悩ますのがトレードオフの判断である.組織の中で,積極的倫理の枠組みを重ね合わせたモデル図で,組織の中の個人のルールを見える化し,積極的倫理のあり方を理解できる.
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5週 |
第5章 倫理実行の手法 |
技術者倫理の基礎的知識を学んだ次の段階は,学んだことを具体的にどのように実戦するかである.今回は,倫理学習の討論方法,考え方の手順,方法を学習し実社会でそのような場面に遭遇したときに,適切に組織の考え,実行を理解し行動できる.
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6週 |
第6章 技術者のアイデンティティー |
科学技術に関わる技術者が担う役割を,科学者,技能者などとの関係でとらえた上で,技術者が果たす役割を考察できる. ここでは,JCO臨界事故について,関係者の各々の職務を分析した上で,技術は倫理とは何かを考察できる. また,科学技術の安全確保に向けての国民的合意形成とは何かを考察できる.
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7週 |
第7章 技術者の資格 |
社会は技術者の役割を遂行する能力のある人を育て,そういう人に資格を認め免許が与えられる.本講では,社会にある専門家と専門職の違い,技術者資格の仕組みを理解し,先行の英米などの制度や,技術者資格の国際間の相互承認について理解できる.
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8週 |
第8章 事故責任の法の仕組み グループワーク:事例研究その1 |
技術者は,業務のどこかで製造物に関わる.技術者が関わった製造物について,事例を参考に,その構造物の「欠陥」をめぐる法・倫理・科学技術とは何かが理解できる. 自ら専門とする工学分野における過去の事例・事故・不祥事についてグループで事例研究を行い,技術者倫理に基づいて自らがとるべきふさわしい行動を抽出し,その妥当性を他者に分かりやすく説明できる.
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2ndQ |
9週 |
前期中間試験 |
到達目標(1) (2)
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10週 |
第9章 法的責任とモラル責任 |
第9章を履修したことを前提に,法的責任とモラル責任について事例を参考に学習する.技術者にとって重要なことは,自らが事故の当事者となる可能性を有していることである.もし,事故の当事者であった場合,「自分はどのように判断・構想するか.」という命題が考察できる.
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11週 |
第10章 コンプライアンスと規制行政 |
コンプライアンスと規制行政に関する基本的用語を学習し,講義の内容の理解度を高めることができる. 現代の技術者の活動に密接に関わる大きな問題は,国民生活や産業に対する政府の規制(規制行政)である.また,合わせて公務員倫理について学習する.以上のことを学習し,規制行政がどのようなものかを理解できる.
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12週 |
第11,12章 説明責任,警笛鳴らし(または内部告発) |
説明責任と信頼関係は互いに支え合う密接な関係にある.本章では説明責任の取組事例を紹介し,実情と課題について考察する. また,リスクコミュニケーションについて考え方を紹介し,将来,実務で活かすことができるようにしたい.さらに,内部告発について,公益通報保護法を学習し,技術者が抱える昨今の問題点を理解できる.
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13週 |
第13章 環境と技術者 第14章 技術者の財産的権利 |
環境問題における技術用語を学習し、本編の理解度を高めることができる。また、環境問題について「持続可能性」と「世代間倫理」の観点から技術者との関係を学習し、現代の環境問題と課題と問題点が理解できる。 技術者・研究者は,その発明や知識・経験について,勤務先の企業等との間の問題が存在する.特許,営業秘密など知的財産に話題について,著名な事例を紹介し,課題,問題点及び技術者倫理について考察できる.
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14週 |
第15章 技術者の国際関係 グループワーク:事例研究その2 |
また,技術者は科学技術という普遍性のある能力をそなえ,世界のどこでも仕事ができる存在である.このことを理解した上で,国際的な感覚をいかにして,身につけるかを考察できる. 自ら専門とする工学分野における過去の事例・事故・不祥事についてグループで事例研究を行い,技術者倫理に基づいて自らがとるべきふさわしい行動を抽出し,その妥当性を他者に分かりやすく説明できる.
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15週 |
前期期末試験 |
到達目標(1) (2) (3) (4)
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16週 |
試験の解答と解説 |
分からなかったところが理解できる.
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 工学基礎 | 技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史 | 技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史 | 技術者倫理が必要とされる社会的背景や重要性を認識している。 | 3 | 前2 |
説明責任、製造物責任、リスクマネジメントなど、技術者の行動に関する基本的な責任事項を説明できる。 | 3 | 前12 |
社会における技術者の役割と責任を説明できる。 | 3 | 前3 |
現代社会の具体的な諸問題を題材に、自ら専門とする工学分野に関連させ、技術者倫理観に基づいて、取るべきふさわしい行動を説明できる。 | 3 | 前2 |
情報技術の進展が社会に及ぼす影響、個人情報保護法、著作権などの法律について説明できる。 | 3 | 前10,前11 |
高度情報通信ネットワーク社会の中核にある情報通信技術と倫理との関わりを説明できる。 | 3 | 前5 |
環境問題の現状についての基本的な事項について把握し、科学技術が地球環境や社会に及ぼす影響を説明できる。 | 3 | 前13 |
環境問題を考慮して、技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。 | 3 | 前13 |
国際社会における技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。 | 3 | 前14 |
過疎化、少子化など地方が抱える問題について認識し、地域社会に貢献するために科学技術が果たせる役割について説明できる。 | 3 | 前14 |
知的財産の社会的意義や重要性の観点から、知的財産に関する基本的な事項を説明できる。 | 3 | 前14 |
知的財産の獲得などで必要な新規アイデアを生み出す技法などについて説明できる。 | 3 | 前14 |
技術者の社会的責任、社会規範や法令を守ること、企業内の法令順守(コンプライアンス)の重要性について説明できる。 | 3 | 前10,前11 |
技術者を目指す者として、諸外国の文化・慣習などを尊重し、それぞれの国や地域に適用される関係法令を守ることの重要性を把握している。 | 3 | 前10,前11 |
科学技術が社会に与えてきた影響をもとに、技術者の役割や責任を説明できる。 | 3 | 前6,前12 |
科学者や技術者が、様々な困難を克服しながら技術の発展に寄与した姿を通し、技術者の使命・重要性について説明できる。 | 3 | 前6,前12 |
全ての人々が将来にわたって安心して暮らせる持続可能な開発を実現するために、自らの専門分野から配慮すべきことが何かを説明できる。 | 3 | 前13 |
技術者を目指す者として、平和の構築、異文化理解の推進、自然資源の維持、災害の防止などの課題に力を合わせて取り組んでいくことの重要性を認識している。 | 3 | 前13 |
分野横断的能力 | 態度・志向性(人間力) | 態度・志向性 | 態度・志向性 | 法令やルールを遵守した行動をとれる。 | 3 | 前12 |
他者のおかれている状況に配慮した行動がとれる。 | 3 | 前2 |
技術が社会や自然に及ぼす影響や効果を認識し、技術者が社会に負っている責任を挙げることができる。 | 3 | 前2 |