熱力学

科目基礎情報

学校 大分工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 熱力学
科目番号 R05M419 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 機械工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 (教科書)小山敏行著,熱力学きほんの「き」,森北出版 2010.10 240ページ :https://www.morikita.co.jp/books/book/1503
担当教員 齋藤 晋一

到達目標

(1) 熱力学で用いられる各種物理量の定義と単位を説明できる.閉じた系と開いた系,系の平衡,状態量などの意味を説明できる.(定期試験と課題)
(2) 熱力学の第一法則を説明できる.閉じた系と開いた系について,エネルギー式を用いて,熱,仕事,内部エネルギー,エンタルピーを計算できる.閉じた系および開いた系が外界にする仕事量をp-V線図で説明できる.(定期試験と課題)
(3) 理想気体の圧力,体積,温度の関係を,状態方程式を用いて説明できる.等積比熱,等圧比熱,比熱比および気体定数の相互関係を説明できる.内部エネルギーやエンタルピーの変化量と温度の関係を説明できる.等圧変化,等積変化,等温変化,断熱変化,ポリトロープ変化の意味を理解し,状態量,熱,仕事を計算できる.(定期試験と課題)
(4) 熱力学の第二法則を説明できる.サイクルの意味を理解し,熱機関の熱効率および冷凍機・ヒートポンプの成績係数を計算できる.カルノーサイクルの状態変化を理解し,熱効率を計算できる.エントロピーの定義を理解し,可逆変化および不可逆変化におけるエントロピーの変化を説明できる.固体,液体および理想気体におけるエントロピーの変化量を計算できる.サイクルをT-s線図で表現できる.熱の有効エネルギーを説明できる.(定期試験と課題)
(5) 理想気体のガスサイクルとしてオットーサイクル,ディーゼルサイクル,スターリングサイクル,サバテサイクル,スターリングサイクル,ブレイトンサイクル,ブレイトン再生サイクル,ブレイトン中間冷却・再熱・再生サイクル,エリクソンサイクル,ジェット推進サイクルについて理解できる.(定期試験と課題)
(6) 水の等圧蒸発過程を説明できる.飽和蒸気,湿り蒸気,過熱蒸気の状態量を計算できる.蒸気の状態量を蒸気表および蒸気線図から読み取ることができる.(定期試験と課題)
(7) 蒸気サイクルとして,ランキンサイクル,再熱ランキンサイクル,再生ランキンサイクルについて説明できる.(定期試験と課題)
(8) 冷凍サイクル,蒸気圧縮式冷凍サイクル,蒸気線図の読み方について理解できる.空気冷凍サイクル,吸収冷凍サイクルについて理解できる.(定期試験と課題)
(9) 空気と空気調和,湿り空気の性質について理解できる.絶対湿度と相対湿度,乾球温度,湿球温度,露点温度について理解できる.空気線図の読み方,空気調和について理解できる.(定期試験と課題)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安 総合評価80点以上標準的な到達レベルの目安 総合評価60点以上未到達レベルの目安 総合評価60点未満
到達目標(1)の評価指標 熱力学の基礎熱力学で用いられる各種物理量の定義と単位を説明できる.閉じた系と開いた系,系の平衡,状態量などの意味を説明できる.教員追加指導や学習支援者の指導 で左記ができる.左記の目標が達成できない.
到達目標(2)の評価指標 熱力学の第一法則熱力学の第一法則を説明できる.閉じた系と開いた系について,エネルギー式を用いて,熱,仕事,内部エネルギー,エンタルピーを計算できる.閉じた系および開いた系が外界にする仕事量をp-V線図で説明できる.教員追加指導や学習支援者の指導 で左記ができる.左記の目標が達成できない.
到達目標(3)の評価指標 理想気体の性質と状態変化理想気体の圧力,体積,温度の関係を,状態方程式を用いて説明できる.定容比熱,定圧比熱,比熱比および気体定数の相互関係を説明できる.内部エネルギーやエンタルピーの変化量と温度の関係を説明できる.等圧変化,等容変化,等温変化,断熱変化,ポリトロープ変化の意味を理解し,状態量,熱,仕事を計算できる.教員追加指導や学習支援者の指導 で左記ができる.左記の目標が達成できない.
到達目標(4)の評価指標 熱力学の第二法則熱力学の第二法則を説明できる.サイクルの意味を理解し,熱機関の熱効率および冷凍機・ヒートポンプの成績係数を計算できる.カルノーサイクルの状態変化を理解し,熱効率を計算できる.エントロピーの定義を理解し,可逆変化および不可逆変化におけるエントロピーの変化を説明できる.固体,液体および理想気体におけるエントロピーの変化量を計算できる.サイクルをT-s 線図で表現できる.熱の有効エネルギーを説明できる.教員追加指導や学習支援者の指導 で左記ができる.左記の目標が達成できない.
到達目標(5)の評価指標 ガスサイクル理想気体のガスサイクルとしてオットーサイクル,ディーゼルサイクル,スターリングサイクル,サバテサイクル,スターリングサイクル,ブレイトンサイクル,ブレイトン再生サイクル,ブレイトン中間冷却・再熱・再生サイクル,エリクソンサイクル,ジェット推進サイクルについて理解できる.教員追加指導や学習支援者の指導 で左記ができる.左記の目標が達成できない.
到達目標(6)の評価指標 蒸気の性質水の等圧蒸発過程を説明できる.飽和蒸気,湿り蒸気,過熱蒸気の状態量を計算できる.蒸気の状態量を蒸気表および蒸気線図から読み取ることができる.教員追加指導や学習支援者の指導 で左記ができる.左記の目標が達成できない.
到達目標(7)の評価指標 蒸気サイクルランキンサイクル,再熱ランキンサイクル,再生ランキンサイクルについて説明できる.教員追加指導や学習支援者の指導 で左記ができる.左記の目標が達成できない.
到達目標(8)の評価指標 冷凍サイクル冷凍サイクル,蒸気圧縮式冷凍サイクル,蒸気線図の読み方について理解できる.空気冷凍サイクル,吸収冷凍サイクルについて理解できる教員追加指導や学習支援者の指導 で左記ができる.左記の目標が達成できない.
到達目標(8)の評価指標 湿り空気と空気調和空気と空気調和,湿り空気の性質について理解できる.絶対湿度と相対湿度,乾球温度,湿球温度,露点温度について理解できる.空気線図の読み方,空気調和について理解できる.教員追加指導や学習支援者の指導 で左記ができる.左記の目標が達成できない.

学科の到達目標項目との関係

学習・教育目標 (B2) 説明 閉じる
JABEE 1.2(d)(1) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
はじめに熱力学の基礎として,熱力学第1法則,第2法則,理想気体の状態変化とサイクルをとりあげ,状態量と熱,エネルギーおよび仕事がどのように変化するかを学ぶ.次にこれらの知識の応用として,各種ガスサイクル,蒸気サイクル,冷凍サイクル,空気調和について学び,私たちの身のまわりにある自動車のエンジンや冷蔵庫,エアコンなどの機械・機器の設計に活用できる知識を身につける.

(科目情報)
教育プログラム 第1学年 ◎科目
授業の進め方・方法:
教科書の解説と併用して,工学的応用問題の解法を身に付けるために課題演習を行う.

(事前学習)
物理で学んだ熱力学に関連する内容を理解しておくこと.
注意点:
(履修上の注意)
1. 受講に際して学問的誠実性(Academic Integrity)を遵守すること 
2. 講義で配布する「到達度達成評価課題」は,各自保管すること 
3. 定期試験は,主として「到達度達成評価課題」から出題する 

(自学上の注意)
教科書の課題を解けるようにしておくこと.

評価

(総合評価)
総合評価=(定期試験の平均点)×0.8 + (課題の平均点)×0.2
(単位修得の条件について)
全課題の60%以上の提出を単位修得の条件とする.
(再試験について)
定期試験が60点に満たないものに対して適宜実施する.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 第1章 熱力学を学ぶための準備(1)pp.1-17 熱力学定義,系について理解できる.
2週 第1章 熱力学を学ぶための準備(2)pp.18-28 熱力学で扱う物理量,その他の諸準備事項について理解できる.
3週 第2章 熱力学第1法則(1)pp.29-39 エネルギーの形態,各種仕事の計算式,熱力学第1法則,閉じた系の熱力学第1法則準静的過程について理解できる.
4週 第2章 熱力学第1法則(2) pp.40-50 移動境界仕事, エンタルピー, 比熱と内部エネルギー,エンタルピーの関係,開いた系の熱力学第1法則について理解できる.
5週 第2章 熱力学第1法則(3) pp.51-61 定常流動系の各種機械・機器,閉じた系の仕事と開いた系の仕事について理解できる.
6週 第3章 理想気体(1)pp.62-66 作動流体の種類,理想気体の内部エネルギー,エンタルピー,比熱について理解できる.
7週 第3章 理想気体(2) pp.66-70 理想気体の状態変化(等圧変化,等積変化,等温変化)について理解できる.
8週 第3章 理想気体(3) pp.70-75 理想気体の状態変化(断熱変化,ポリトロープ変化)について理解できる.
2ndQ
9週 前期中間試験 評価項目1(熱力学の基礎),評価項目2(熱力学の第一法則),評価項目3(理想気体の性質と状態変化)に関する到達度を評価する.
10週 試験の解答と解説 間違えた箇所を確認し,理解できる.
11週 第4章 熱力学第2法則(1) pp.76-84 熱力学第2法則,熱機関,冷凍機とヒートポンプについて理解できる.
12週 第4章 熱力学第2法則(2) pp.84-93 カルノーサイクルについて理解できる.
13週 第4章 熱力学第2法則(3) pp.93-105 エントロピーについて理解できる.熱の有効エネルギーを説明できる.
14週 第4章 熱力学第2法則(4) pp.93-105 熱の有効エネルギーを説明できる.
15週 前期期末試験 評価項目4(熱力学の第二法則)に関する到達度を評価する.
16週 前期期末試験の解答と解説 間違えた箇所を確認し,理解できる.
後期
3rdQ
1週 第5章 ガスサイクル(1) pp.106-112 熱機関の種類,ガスサイクルの検討の前提条件,往復式内燃機関の概要について理解で きる.
2週 第5章 ガスサイクル(2) pp.112-122 オットーサイクル,ディーゼルサイクルについて理解できる.
3週 第5章 ガスサイクル(3) pp.122-130 サバテサイクル,スターリングサイクルについて理解できる.
4週 第5章 ガスサイクル(4) pp.131-142 ブレイトンサイクル,ブレイトン再生サイクル,ブレイトン中間冷却・再熱・再生サイクルについて理解できる.
5週 第5章 ガスサイクル(5) pp.143-152 エリクソンサイクル,ジェット推進サイクルについて理解できる.
6週 第6章 蒸気サイクル(1) pp.153-161 蒸気の一般的性質,蒸気表の読み方について理解できる.
7週 第6章 蒸気サイクル(2) pp.162-167 線形補間法,ランキンサイクルについて理解できる.
8週 第6章 蒸気サイクル(3) pp.168-175 再熱ランキンサイクル,再生ランキンサイクルについて理解できる.
4thQ
9週 後期中間試験 評価項目5(ガスサイクル),評価項目6(蒸気の性質),評価項目7(蒸気サイクル)に関する到達度を評価する.
10週 後期中間試験の解答と解説 間違えた箇所を確認し,理解できる.
11週 第7章 冷凍サイクル(1) pp.176-182 冷凍サイクル,蒸気圧縮式冷凍サイクル,蒸気線図の読み方について理解できる.
12週 第7章 冷凍サイクル(2) pp.182-187 空気冷凍サイクル,吸収冷凍サイクルについて理解できる.
13週 第8章 湿り空気と空気調和(1) pp.188-194 空気と空気調和,湿り空気の性質,絶対湿度と相対湿度,乾球温度,湿球温度,露点温度,空気線図の読み方について理解できる.
14週 第8章 湿り空気と空気調和(2) pp.195-206 空気線図の読み方,空気調和について理解できる.
15週 後期期末試験 評価項目8(冷凍サイクル),評価項目9(湿り空気と空気調和)に関する到達度を評価する.
16週 後期期末試験の解答と解説 間違えた箇所を確認し,理解できる.

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野熱流体熱力学で用いられる各種物理量の定義と単位を説明できる。4前1,前2
閉じた系と開いた系、系の平衡、状態量などの意味を説明できる。4前2,前3,後14
熱力学の第一法則を説明できる。4前4,前8,後8,後14
閉じた系と開いた系について、エネルギー式を用いて、熱、仕事、内部エネルギー、エンタルピーを計算できる。4前5
閉じた系および開いた系が外界にする仕事をp-V線図で説明できる。4前5
理想気体の圧力、体積、温度の関係を、状態方程式を用いて説明できる。4前6,前10
定積比熱、定圧比熱、比熱比および気体定数の相互関係を説明できる。4前6
内部エネルギーやエンタルピーの変化量と温度の関係を説明できる。4前6
等圧変化、等積変化、等温変化、断熱変化、ポリトロープ変化の意味を理解し、状態量、熱、仕事を計算できる。4前6,前10
熱力学の第二法則を説明できる。4前11
サイクルの意味を理解し、熱機関の熱効率を計算できる。4前12
カルノーサイクルの状態変化を理解し、熱効率を計算できる。4前13
エントロピーの定義を理解し、可逆変化および不可逆変化におけるエントロピーの変化を説明できる。4前13
サイクルをT-s線図で表現できる。4後1,後2,後3

評価割合

試験課題合計
総合評価割合8020100
基礎的能力000
専門的能力8020100
分野横断的能力000