水力学

科目基礎情報

学校 大分工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 水力学
科目番号 R05M420 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 機械工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 (教科書)山田英巳・濱川洋充・田坂裕司「流れ学 流体力学と流体機械の基礎」,森北出版
担当教員 栗原 央流

到達目標

(1) 流体の物理的性質を理解し,各種物理量の定義と単位を説明できる.(定期試験・課題)
(2) 流体の静力学を理解し,静止流体の圧力や物体に作用する浮力の計算ができる.(定期試験・課題)
(3) 流体の動力学を理解し,諸方程式を用いて流速・流量や流体が物体に及ぼす力の計算ができる.(定期試験・課題)
(4) 管路内の流れを理解し,管摩擦損失を求めることができる.(定期試験・課題)
(5) 抗力と揚力を理解し,抗力および揚力の計算ができる.(定期試験・課題)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
到達目標(1)の評価指標流体の物理的性質を深く理解し,各種物理量の定義と単位について応用できる.流体の物理的性質を理解し,各種物理量の定義と単位を説明できる.流体の物理的性質を理解し,各種物理量の定義と単位を説明できない.
到達目標(2)の評価指標流体の静力学を深く理解し,静止流体の圧力や物体に作用する浮力の応用問題の計算ができる.流体の静力学を理解し,静止流体の圧力や物体に作用する浮力の計算ができる.流体の静力学を理解し,静止流体の圧力や物体に作用する浮力の計算ができない.
到達目標(3)の評価指標流体の動力学を深く理解し,諸方程式を用いて流速・流量や流体が物体に及ぼす力の応用問題について計算ができる.流体の動力学を理解し,諸方程式を用いて流速・流量や流体が物体に及ぼす力の計算ができる.流体の動力学を理解し,諸方程式を用いて流速・流量や流体が物体に及ぼす力の計算ができない.
到達目標(4)の評価指標管路内の流れを深く理解し,管摩擦損失に関する応用問題を求めることができる.管路内の流れを理解し,管摩擦損失を求めることができる.管路内の流れを理解し,管摩擦損失を求めることができない.
到達目標(5)の評価指標抗力と揚力を深く理解し,抗力および揚力に関する応用問題の計算ができる.抗力と揚力を理解し,抗力および揚力の計算ができる.抗力と揚力を理解し,抗力および揚力の計算ができない.

学科の到達目標項目との関係

学習・教育目標 (B2) 説明 閉じる
JABEE 1.2(d)(1) 説明 閉じる
JABEE 1.2(g) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
流体工学の基礎となる水力学を学ぶことで身近にある流体運動について興味を持てるようにする.主に一次元および二次元的な流体運動について非圧縮性流体運動の基礎を学ぶ.現実社会で活用されている流体工学の応用問題に本授業で学んだ知識が活用でき,現象が理解できるようにする.

(科目情報)
教育プログラム 第1学年 ◎科目
関連科目 流体機械,熱力学・水力学演習,機械基礎論,専門応用力演習(専攻科)
授業の進め方・方法:
流体の工学的応用の基礎を学習する.ここでは,基本式の理解を深めると共に実際の工学的問題の解法について詳述する.さらに,工学的応用問題の解法を身に付けるために課題演習を通して継続的な学習ができ,諸問題について理解し,問題を解く力を養う.

(事前学習)
教科書および参考図書の例題や演習問題を解いてみること.
注意点:
(履修上の注意)
演習問題は課題点として総合評価の際に考慮し,定期試験は演習問題の応用を中心に出題するので,各回の講義および課題を復習すること.

評価

(総合評価)
  総合評価=(2回の定期試験の平均点)×0.8+(課題の平均点)×0.2
(単位取得の条件)
  全課題の60%以上の提出を単位修得の条件とする.
(再試験について)
  再試験は,総合評価が60点に満たない者に対して適宜実施するが,全課題の60%以上の提出を受験資格の条件とする.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 シラバス説明・導入 流体の定義と力学的な取扱いかたを説明できる.圧縮性流体と非圧縮性流体の違いを説明できる。
2週 流体の性質を表す物理量 流体の定義,流体の種類,単位系,密度,比重等について説明できる.
3週 粘性 ニュートンの粘性法則,ニュートンの流体,非ニュートン流体を説明できる.
4週 表面張力 流体の性質を表す表面張力の定義と単位を説明できる.
5週 静止流体の圧力 絶対圧力およびゲージ圧力を説明できる.
6週 パスカルの原理 パスカルの原理を説明できる.
7週 圧力の測定 液柱計やマノメータを用いて圧力を測定できる.
8週 液体中の平面壁に作用する力 平面壁に作用する全圧力および圧力中心を計算できる.
2ndQ
9週 物体に作用する浮力と浮体の安定性 物体に作用する浮力と浮体の安定性について説明できる.
10週 等加速度運動 等加速度運動に関する問題について計算できる.
11週 流体の運動 定常流と非定常流の違いを説明できる。流線と流管の定義を説明できる.
12週 連続の式 連続の式を用いて流速と流量を計算できる.
13週 ベルヌ―イの定理 エネルギー保存則とベルヌーイの式を説明できる.
14週 ベルヌ―イの定理の応用 ピトー管,ベンチュリー管,オリフィスを用いた流量や流速の測定原理を説明できる.
15週 前期末試験 評価項目1(流体の物理的性質)および評価項目2(流体の静力学)に関する到達度を評価する。
16週 前期末試験の解答と解説 分からなかった部分を把握し理解できる.
後期
3rdQ
1週 運動量の法則 運動量の法則を理解し,流体が物体に及ぼす力を計算できる.
2週 運動量の法則の応用 運動量の法則を用いた応用として,流体が物体に及ぼす力を計算できる.
3週 管路内の流れ 層流と乱流の違いを説明できる.レイノルズ数と臨界レイノルズ数を説明できる.
4週 円管内の層流 円管内層流の速度分布を説明できる.ハーゲン・ポアズイユの法則を説明できる.
5週 円管内の乱流 円管内乱流の特徴とその速度分布が理解できる.
6週 管路摩擦と損失 ダルシー・ワイズバッハの式を用いて管摩擦損失を計算できる.ムーディー線図を用いて管摩擦係数を求めることができる.
7週 非円形断面管の損失 非円形の断面をもつ管について損失の計算ができる.
8週 管路要素の内部流れと損失 急拡大部,急縮小部,ディフューザなどの管路要素内の流れを理解し,その損失が計算できる.
4thQ
9週 後期中間試験 評価項目3(流体の動力学)に関する到達度を評価する。
10週 後期中間試験の解答と解説 分からなかった部分を把握し理解できる.
11週 相似則 各種無次元数を理解して,相似則を説明できる.
12週 物体周り流れと流体力 境界層の概念と物体形状による流体力の違いが理解できる.
13週 抗力と揚力 流れの中の物体に作用する抗力と揚力について説明できる.抗力,揚力を計算できる.
14週 円柱に作用する流体力 臨界域における円柱の抗力が急変することを円柱まわりの流れや表面圧力分布の変化と関連づけて理解できる.
15週 後期期末試験 評価項目4(管路内の流れ)および評価項目5(抗力と揚力)に関する到達度を評価する。
16週 後期期末試験の解答と解説 分からなかった部分を把握し理解できる.

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野熱流体流体の定義と力学的な取り扱い方を理解し、適用できる。4前1,前2
流体の性質を表す各種物理量の定義と単位を理解し、適用できる。4前1,前2
ニュートンの粘性法則、ニュートン流体、非ニュートン流体を説明できる。4前3
絶対圧力およびゲージ圧力を説明できる。4前5
パスカルの原理を説明できる。4前6
液柱計やマノメーターを用いた圧力計測について問題を解くことができる。4前7
平面や曲面に作用する全圧力および圧力中心を計算できる。4前8,前11
物体に作用する浮力を計算できる。4前12,前13
定常流と非定常流の違いを説明できる。4後1
流線と流管の定義を説明できる。4後1
連続の式を理解し、諸問題の流速と流量を計算できる。4後2
オイラーの運動方程式を説明できる。4後3
ベルヌーイの式を理解し、流体の諸問題に適用できる。4後4,後5
運動量の法則を理解し、流体が物体に及ぼす力を計算できる。4後6,後7
層流と乱流の違いを説明できる。4後8,後11
レイノルズ数と臨界レイノルズ数を理解し、流れの状態に適用できる。4後8,後11
ダルシー・ワイスバッハの式を用いて管摩擦損失を計算できる。4後8,後11
ムーディー線図を用いて管摩擦係数を求めることができる。4後12
境界層、はく離、後流など、流れの中に置かれた物体の周りで生じる現象を説明できる。4後13,後14
抗力について理解し、抗力係数を用いて抗力を計算できる。4後13,後14
揚力について理解し、揚力係数を用いて揚力を計算できる。4後13,後14

評価割合

試験課題合計
総合評価割合8020100
基礎的能力000
専門的能力8020100