到達目標
(1) 機械材料の性質と種類, 結晶構造の基本と表し方,特徴を理解する.(定期試験と課題)
(2) 材料の機械的性質,その評価方法と変形機構を理解する.(定期試験と課題)
(3) 金属・合金の結晶と状態変化,合金状態図の基本を理解する.(定期試験と課題)
(4) 金属材料の変形と結晶,強化方法とその原理を理解する.(定期試験と課題)
(5) 自主的・継続的な学習および演習により,理解を深めることができる.(課題・レポート)
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
到達目標 (1) の評価指標 | 機械材料の性質と種類,結晶構造の基本と表し方,特徴を理解し,金属・合金の結晶と状態変化を結びつけることができる. | 機械材料の性質と種類,結晶構造の基本を理解し,格子定数や原子の充填率を計算することができる. | 機械材料の性質と種類,結晶構造の基本が理解できない |
到達目標 (2) の評価指標 | 材料の機械的性質,その評価方法と変形機構を理解し,機械材料の性質と種類の多様性,最適な試験方法の選択ができる. | 材料の機械的性質,その評価方法を理解し,各パラメータの持つ意味と適用条件を示すことができる. | 材料の機械的性質,その評価方法を理解できない |
到達目標 (3) の評価指標 | 金属・合金の結晶と状態変化,合金状態図の基本を理解し,状態変化と凝固過程を説明できる. | 合金状態図の理解の中で出てくる「てこの法則」で組織割合を計算することができる. | 合金状態図が表す意味を理解できない |
到達目標 (4) の評価指標 | 金属材料の変形と結晶,強化方法とその原理を理解し,各材料の最適な強化方法を提案できる. | 金属材料の強化方法を知識として蓄えることができる. | 金属材料の強化方法を理解できない. |
到達目標 (5) の評価指標 | 金属材料の基本構造を理解し,その性質を利用した適用方法を説明できる. | 金属材料の基本構造と性質の知識を有し,説明ができる. | 金属材料の基本構造と性質の知識を有していない. |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
材料の科学的・工学的な特性や特徴を理解することは機械設計や生産技術において必要不可欠とされる.本講義では,材料学の初歩として,金属の原子配列や変形メカニズム,機械的性質の定義や評価方法について解説する.また合金の平衡状態図の理解の仕方について教授し,基礎的事項とその応用ならびに活用方法についての説明を展開する.
(科目情報)
関連科目 トライボロジー,機械工作法Ⅰ,機械工作法Ⅱ
授業の進め方・方法:
材料系領域として,機械で用いられる材料の基礎的な事柄を学ぶ。ここでは主に金属及び合金について,種類,製法,性質,用途,加工性の基礎的知識を身につけるための授業を展開する.
(事前学習)
新聞記事や各種情報源により,金属材料の開発動向とその製法について調べ,授業内容との対応を確認する。
注意点:
(履修上の注意)
1. 配布するプリントには,授業で補足する点を書き込むとよい.また問題を解く場合に使用するので,整理してファイリングしておくとよい.
2. 授業中の課題,配布資料の要点をまとめてノートに整理すること.
(自学上の注意)
継続的な学習に取り組むと共に,課題は必ず自力で解き,内容を理解して身につけること.
評価
到達目標の(1)~(4)について,2回の試験(テスト)と課題で評価する.
(総合評価)
・総合評価=0.8×(2回の定期試験の平均)+0.2×(課題)
(単位修得の条件について)
・総合評価が60点以上を合格とする.
(再試験について)
・再試験は総合評価が60点に満たない者に対して実施する.なお,全ての課題を提出した者に対して受験資格を与える.
・ただし,正当な理由なく定期試験を欠席した者には再試験は行わない.
授業の属性・履修上の区分
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
1.機械材料の開発と発展 (1)材料の形態と昨今の材料 2.結晶構造 (1)結晶格子 |
材料開発の変遷と動向を理解し,優れた材料特性を得ることの意味を理解できる.
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2週 |
2.結晶構造 (2)最密充填構造 |
結晶構造における,最密充填構造が理解できる.
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3週 |
2.結晶構造 (3)充填率 |
各種結晶構造における,充填率が理解できる.
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4週 |
2.結晶構造 (4)ミラー指数 |
結晶構造の表し方である,ミラー指数でこれを説明することができる.
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5週 |
2.結晶構造 (5)合金の原子配列 (6)結晶構造の欠陥 |
合金の濃度を原子%および質量%の両方で計算,換算する方法を理解できる.
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6週 |
3.材料の機械的性質と変形 (1)引張,硬さ,靱性,疲労 |
引張,硬さ,靱性,疲労の各物理的性質の意味が理解できる.
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7週 |
3.材料の機械的性質と変形 (2)塑性加工 (3)金属のすべり変形 |
機械的性質の検査方法を理解し,荷重-伸び線図,比例限度,弾性限度および降伏点,硬さ測定原理,延性,展性,靱性あるいは脆性,疲労破壊,S-N 曲線の見方や使い方を示すことが出来る.熱間加工,温間加工および冷間加工の長短所や変形機構を理解できる.
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8週 |
3.材料の機械的性質と変形 (4)転位と変形機構 |
転位の概念と各種変形機構が理解できる.また,降伏,加工硬化,降伏条件式,相当応力及び体積一定則の塑性力学の基本理念が説明できる.
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2ndQ |
9週 |
前期中間試験
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到達目標 (1), (2)
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10週 |
前期中間試験の解答と解説 4.材料の状態変化 (1)相変化と変態点 |
理解度確認と分からなかった点を把握し.理解できる. 材料の状態変化における,相変化と変態点が理解できる.
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11週 |
4.材料の状態変化 (2)純金属と合金の凝固 |
純金属と合金の凝固過程の違いが理解でき,説明できる.
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12週 |
4.材料の状態変化 (3)相律,合金状態図(溶解度曲線) |
融解・凝固現象,潜熱および変態点について学び,熱分析曲線が理解できる.純金属の凝固過程や合金凝固時の,てこの関係,液・固相線,溶解度曲線等が理解できる.
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13週 |
5.合金の状態図 (1)全率固溶型 |
全率固溶型の状態図が表す組織を理解できる.
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14週 |
5.合金の状態図 (2)共晶型 |
共晶型状態図が作成されていく過程やその読み方および使い方が理解できる.また,融液から常温の固相状態に至る,それぞれの段階における相の名称や状態,濃度や質量比を理解できる.それ以外に各反応内容と状態変化を学び,状態図の読み方が説明できる.
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15週 |
前期期末試験 |
到達目標 (3), (4), (5)
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16週 |
前期期末試験の解答と解説 |
理解度確認と分からなかった点を把握し.理解できる.
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 機械系分野 | 工作 | 降伏、加工硬化、降伏条件式、相当応力、及び体積一定則の塑性力学の基本概念が説明できる。 | 3 | 前9 |
平行平板の平面ひずみ圧縮を初等解析法により解くことができる。 | 3 | 前9 |
軸対称の圧縮を初等解析法により解くことができる。 | 3 | 前9 |
材料 | 機械材料に求められる性質を説明できる。 | 3 | 前1 |
金属材料、非金属材料、複合材料、機能性材料の性質と用途を説明できる。 | 3 | 前1 |
引張試験の方法を理解し、応力-ひずみ線図を説明できる。 | 3 | 前6,前7 |
硬さの表し方および硬さ試験の原理を説明できる。 | 3 | 前6,前7 |
脆性および靱性の意味を理解し、衝撃試験による粘り強さの試験方法を説明できる。 | 3 | 前6,前7 |
疲労の意味を理解し、疲労試験とS-N曲線を説明できる。 | 3 | 前7 |
機械的性質と温度の関係およびクリープ現象を説明できる。 | 3 | 前6,前7 |
金属と合金の結晶構造を説明できる。 | 3 | 前2,前3,前4 |
金属と合金の状態変化および凝固過程を説明できる。 | 3 | 前5,前10,前11 |
合金の状態図の見方を説明できる。 | 3 | 前12,前13,前14 |
塑性変形の起り方を説明できる。 | 3 | 前7,前9 |
評価割合
| 試験 | 課題 | 合計 |
総合評価割合 | 80 | 20 | 100 |
基礎的能力 | 0 | 0 | 0 |
専門的能力 | 80 | 20 | 100 |